日本スポーツ振興センターが出している、競技者のための暑熱対策ガイドブック というものがあります。暑熱化のパフォーマンスに関してとても参考になりますが、全部を読むとなるとけっこう大変なものです。
ですので今回は箇条書きにはなりますが、重要なポイントに絞ってご紹介をさせていただこうと思います。
ということで今回は日本スポーツ振興センター 競技者のための暑熱対策ガイドブック よりです。

▶暑熱環境下のパフォーマンス
暑熱環境では慣れや水分補給等、服装等を考慮してても原則、持久性運動パフォーマンスは低下する

Vo2MAXの70%強度運動をエルゴメーターで疲労困憊まで行う持続時間のテストでは、3℃の環境下では80分以上の持続ができたが、40度の環境下ではおよそ30分程度しか持続ができなかった。

運動時の適度な体温上昇は運動能力を高めるが、過度な上昇は運動能力低下を引き起こす。特に深部体温の過度な上昇が持久性運動パフォーマンスを低下に深く関わっている。
また運動中の過度な深部体温の上昇はパフォーマンスの低下だけではなく、認知機能の低下を引き起こす。

基本的に短時間の運動では暑熱環境による影響が少ないが、運動時間が長い場合の影響は大きい。
暑熱環境下でポジティブな影響
・サイクリングでも30秒×2セットの最大パワー発揮上昇
・15秒間の×5セットのピークパワー生産上昇
・30秒間の平均パワー発揮上昇
ネガティブな影響
・60%Vo2MAXでサイクリングで疲労困憊までの時間低下
・70%Vo2MAXでサイクリングで疲労困憊までの時間低下
・シャトルランテスト(スプリント有り)走行距離の低下、スプリントは変わらず
・全力2分間の筋力発揮の低下

▶暑熱順化
暑熱順化の効果
・安静時の深部体温の低下
・発汗開始時の深部体温の低下、
・皮膚血流量の増加
・熱放散能力の向上
・血漿量の増加など
暑熱順化の効果として、Vo2MAXの増加もある。

暑熱順化を効果的なものにするためには、深部体温を1℃以上上昇させる必要がある。
一般的にはVo2MAXの50~60%の強度で60~100分の中強度運動がよく用いられる。
暑熱順化にかかる期間は7~10日程度必要。
順化により安静時の深部体温が低下し、熱貯蔵量が増加し、暑熱環境下でのパフォーマンスが向上する。
最近ではVo2MAXの70%程度で30分間の高強度運動でも同様の効果が得られることも報告されている。

暑熱順化で重要なのは体温や皮膚温を上昇させ、熱放散反応を刺激すること。
暑熱順化は一度適応すると、1週間程度では消失しないが、トレーニング感覚を3日以上明けないほうが良い。



▶暑熱環境下における身体冷却
運動前に深部体温を下げておくことで、暑熱環境下での運動パフォーマンスは向上する。
ただし筋温の過度な低下はパフォーマンスの改善が見られない。プレクーニング(身体冷却)は筋温を過度に下げずに、深部体温を低下させることがポイント。

運動中の身体冷却は体温上昇を抑制し、パフォーマンスの維持、向上ができる可能性がある。
具体的にはアイスベストと水分補給で持久性パフォーマンスが向上したことが報告されている
またアイススラリー(シャーベット状の飲料)を用いることで、発汗抑制となり、水分の損失を減らし脱水のリスクを低下させる。(無効発汗の抑制)※無効発汗:多湿環境下での汗をかいても蒸発しづらい発汗のこと
他にも、暑熱環境下の運動前、セット間の休憩時に水スプレー(18℃)を身体に吹きかけることで、運動時において心拍数増加が抑制されることや温熱感覚が改善されることが確認されている。


▶暑熱環境下における水分補給
脱水による影響は体重の2%までは著しい体温上昇はないが、それ以降1%の脱水につき、直腸音0.3℃の上昇と心拍数の約10bpmの増加が引き起こされる。
つまり脱水によってもパフォーマンスの低下が引き起こされる。
体重の2%以上の脱水で持久性パフォーマンスの低下、3%以上の脱水でスプリントパフォーマンスが低下する。

糖質飲料を500ml摂取した際、飲水から15分間で200~250mlしか吸収されなかった。
水分補給はできるだけ少量をこまめに摂取する。
また飲料の温度は低いほうが吸収が早い。

ウォーミングアップ時に冷たい飲料(クラッシュアイス)を摂ることで、運動中の深部体温の上昇を抑え、無駄な発汗を防ぐことができる。

暑熱環境下では基本的に、飲料の温度の低い方が持久性パフォーマンス発揮に有利に働く傾向がある。

運動後の水分補給の目安は、運動終了後1時間以内に、体重損失分と同量、またはそれより2割程度プラスした量を補給することが推奨されている。
運動後の水分補給では電解質を含んだ飲料の摂取が体水分の回復には効果的
暑熱環境下での試合やトレーニング後は糖質 + タンパク質飲料を摂取することで、暑熱環境下でのコンディション維持や向上に役立つ可能性がある。


▶暑熱環境下におけるパフォーマンスを高めるためには
カフェインは、通常環境下において、持久力や間欠的能力を向上させるという研究報告がある。

“低濃度のカフェイン摂取”(体重1kgあたり3mg)は暑熱環境下においても、パフォーマンス発揮に影響を与える可能性がある一方、“カフェインがパフォーマンス発揮になぜ効果的なのか”という詳細なメカニズムに関しては今も不明な点が残っている。
またカフェインは副作用として尿意や頭痛等には注意が必要。必ず実際に試してみることが大切。

▶まとめ
今年も暑い夏がきております。
暑熱順化を進めることである程度の暑さには対応ができるようになりますが、やはり危険なほどの気温のときのトレーニングはおすすめできることではありません。
十分な対策をとってくれぐれも無理のないように、体に気をつけつつライドをお楽しみいただければと思います。

ということで今回は日本スポーツ振興センター 競技者のための暑熱対策ガイドブック よりでした。

参考URL
競技者のための暑熱対策ガイドブック
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/jigyou/pdf/shonetsu_2-23pp.pdf
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/jigyou/pdf/shonetsu-24-43pp.pdf

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