前回のお話はこちらからどうぞ。

SLC5 はWINSPACEの17年の技術を集約したオールラウンドバイクとです。
SLC5はメーカーの推しているポイントとしては、やはり空力です。
前作SLC3と比較して、48km/h時には脅威の16.5Wの出力削減になるということです。敏感な人の場合、3~4Wの出力削減で体感ができるという話もありますので、16.5Wともなると確実な速さを感じることができそうです。

前作のSLC3は、バイシクル・オブ・ザ・イヤー2025を受賞した素晴らしいバイクです。
ワタクシ自身もSLC3でレースも含め約13000kmを使用してきました。
そんなSLC3と比較して、どのような差があるのか、どのような違いがあるのか、そういったところをお伝えできればと思います。

ということで今回はWINSPACEの17年にわたる技術の結晶 空力を手に入れたSLC5 500km走行インプレッション!!そんなお話しです。


✓インプレの前に
インプレの前にライダー情報(ワタクシの)です。
身長:176cm位
体重:61kg前後
FTP:5倍ぐらい?最近測ってないのですが、時々自動検出で算出されています。
月間走行距離:1200~1500km位
練習はほぼ平地で上りは苦手です。

WINSPACE SLC5:Mサイズ(ST480mm、TT535mm)
コンポ:ULTEGRA R8170 SHIMANO + DURA-ACEパワーメーター
ホイール:LUN HYPER Light D45
タイヤ:前 GOOD YEAR Eagle F1R Supersuports
後 Panaracer AGILEST FAST TLR 28ⅽ 
実測重量:必要部品(ボトルケージ・サイコンマウント等)を全部入れて7.2kgぐらい
ULTEGRA組のペダルレスで6㎏台!

旧使用機材:WINSPACE SLC3
R8170組 HYPER Light チューブレス仕様で車体重量7.2kg
※ペダル、ボトルケージ、マウント類込み
約13000㎞使用
※重量的にはSLC3もSLC5もほぼ同等

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▶SLC5 インプレッション!
✓一踏み目の違い
実際に乗る前の不安、い
つも新しいバイクのときは考えることなのですが、現在のSLC3とそこまで大きな変化を感じることができなかったらどうしよう。SLC3ってものすごく良いからな、と不安を覚えます。

クリートをはめるためにぐっと力を入れた瞬間、なにか違うと感じました。
バチンとクリートを入れて2,3回ダンシングで漕ぎ出しました。
このときに正直な話です。SL7の漕ぎ出しの感覚に似ていると感じました。
漕ぎ出しの軽さ、軽けれどもSLC3とはすこし違った感覚でした。

その後現在まで500kmほど走行をしてみて体感していることですがSLC3 とはかなり違うバイク、という印象になります。

▶詳細インプレ
✓空力性能に関して
無風の日から、爆風暴風の日まで体感しております。
空力性能に関しては、2つのポイントでお話をしてみようと思います。
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風に関しては主に2つがあるというのが持論です。
①正面からの風
いわゆるヨー角0°、向かい風の場合だけではなく、風がない状態でも基本的には前に進むことで前方向からの風にあたっているような状態になります。
真正面からの風は切り裂くしかありませんし、かき分けるようなイメージです。

この真正面、ヨー角0°のときの抜けの良さ、速度が上がれば上がるだけしっかりと感じることができます。また真正面からの風、いわゆる向かい風が力強く吹いた際にも、前から押される感覚が少なく感じますし、そのままパワーをかけていくとしっかりと風抜けよく進んでいくように感じます。
そして下り、めちゃくちゃ速いです。

②ヨー角のついた風
いわゆる斜め前方向からの風です。
これは切り裂くというよりかは帆走効果であったり、全く別にいなすようなイメージです。
帆走効果はホイールへの依存性が強いですが、それでもホイールからフレームへ流れる風の流れ、ヘッドチューブが受けるヨー角のついた風、強ければ強いほどにSLC3では感じなかった前に引かれるように、吸い込まれるように感じます。別の言い方では押されているのに進みがそこまで重たくならないようなイメージです。

空力性能自体は直接目で見ることができないものですので、あくまでも体で感じた部分になってしまいますが、双方ともに非常に良いです。
またフレームがエアロ形状になることで心配していた横風時の車体の挙動ですが、これはSLC3と差を感じることはありませんでした。オールラウンド系のエアロフレームの強みだと思われます。

✓巡行性能
SLC3に比べて確実に良くなっていると感じます。
一人で走っているときよりも、複数人で走っているときにメリットとして大きく感じやすかったです。というのも平坦にしても、下りにしてもいつもと同じぐらいのパワーをかけると前に詰まってしまう、要は進みすぎてしまいます。特に40km/hを超えてくるような、高速域でこの傾向が強いと感じました。
また下りでもいつもよりも足を止めている時間、脚を回していてもパワーをかけていない時間が長くなったように感じます。
後述のコーナーリング性能とも相まって、楽に速く走れるということが何よりも影響が大きく最大のメリットです。

✓乗り心地
乗り心地は速く走るためにも重要な要素であり、できるだけ良い方良いことに間違いありません。
というのも明確な理由があります。
まず乗り心地が良いほうが体へのダメージを軽減できます。25cよりも28cのほうがエアボリューム増やせることで乗り心地を良くすることでライド中の負担もそうですし、ライド後の疲労感も少なく抑えることができます。

もう一つの理由として乗り心地が優しい場合、タイヤの空気圧を高く設定することができます。
これは実際に走行する路面状況によりますが、基本的に空気圧が高いほうが転がり抵抗は低くなります。(※高すぎると転がり抵抗は増します)しかし実走ともなれば路面の荒れやギャップ等で不快感だけではなく、体が暴れてしまうことによるパワーロスの影響はかなり大きいです。
空気圧をある程度上げても、乗り心地を確保できるフレームの性能はとても重要が、逆に車体の剛性が落ちてしまっては元も子もありませんので、バランスが重要だと思います。

もちろんタイヤそのものや空気圧の設定、ホイール等によっても大きく差が出ますが、今回はフレームセットのみで乗り心地を考えます。
乗り心地に大きく影響を与える部分は主に、フレーム(シートポストや後ろの三角)やフォークの動きです。フレームは柔らかければ乗り心地が良く、振動や衝撃の吸収性も優れます。しかし逆にパワーをかけたときにパワーがフレームに吸収されてしまったり、伝達時間が遅く、反応が鈍く感じる場合もあります。
フロントフォークは路面の追従性が良いほうが良いことは間違いありませんが、動きすぎてしまうとステアリングに影響を及ぼしてしまいます。
これらはある意味相反するところで、両立させるバランスが難しいのだと思います。

SLC5のフロントフォークはSLC3に比べてよりしなやかになっている印象で、これがまた良い仕事をします。それでもフロント周りの剛性に影響を与えるコラム部の剛性はかなりしっかりとしています。
ですのでフォーク自体はよく動くようになっているけれども、剛性が落ちているとはちょっと違うイメージです。
実際にSLC3とSLC5のフロントフォークを比べてみるとフォーク部は形状的な影響もあるのかもしれませんがSLC5のほうが横方向へのしなりが大きいです。SLC3のほうがしなりが少なく硬いです。

これはリア三角でも同じことで衝撃や振動吸収性は上がり、脚への負担も明らかに差を感じるほど良くなっているのですが、反応性は一切落ちていません。
ではSLC3とSLC5のリアのエンド部はというと、ほぼ差はありませんが微妙にSLC5のほうが硬いです。一定のレベルまでは同じぐらいなのですが、しならせていくと奥の方で超硬くなるのがSLC5です。
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ということは乗り心地への影響は、エアロ形状のシートポストも良いのかもしれません。


✓脚当たり
これも前述の乗り心地と重なる部分があるように思えますが、全く別物です。
高弾性カーボン等を用いて、BB周りをガチガチに固めるとおそらく抜群の反応の良さになりますが、逆に硬すぎてしまって踏み負ける、という状況になってしまう場合もあります。
ものすごく簡単に書くならば、剛性とは力に対して歪まない、変形しにくい性質をいいます。思いっきり踏んだときでもBB周りがしっかりとパワーを受け止めてくれるので、クランクが回転しチェーンを介して駆動を後輪に伝えることができます。逆にBB周りが柔らかければ、踏んだパワーの何割かはフレームが吸収してしまいます。このロスは少ないほうがよく進む感じがありますが、逆に少なすぎると硬すぎる、足にくるフレームになってしまうこともあります。
ホイールなんかでも同じで剛性が高いものは、抜け(ピークポイントの通過時間)やいわゆる跳ね返りがとても早く、跳ね返りを脚が受け止めることで疲れやすさや、抜けの良さからパワーのかけづらさから踏みづらさを感じる場合があります。

このバランスは各メーカーの味付けというか、狙いがあるのだと思います。

では肝心要なSLC5はどうなのかというと、非常に脚に優しく感じ、いわゆる脚あたりが良いフレームです。4時まで進む感、4時以降の跳ね返りというか嫌な硬さの少なさが良いです。それでいて進むのが凄いところです。疲労が溜まってくるライド後半でも踏めます。
それなのに思いっきりパワーを掛けたときの反応も抜群に良いのが凄いと感じたところです。
これはレースなどの局面でもものすごく大切な性能だと感じました。

SLC3×HYPER Lightの場合は、力に任せて思いっきり踏んでみると進むは進むのですが若干脚にきやすいイメージがありましたが、SLC5×HYPER Lightの場合はどのように踏んでもしっかりと進んでくれますし、脚あたりの良さを感じます。ケイデンスが高くても、低くしてもどちらでもOKなイメージです。
高いパワーを持続できる人向けのレースバイクではなく、レースでも十分な性能を持ちながらも疲労でペダリングがズレてきてしまったとしても進めることができる性能があります。

走行中の疲労感の低さも脚あたりの良さからくるものだと思います。先日も130km、1000mUPの灼熱のロングライドに行ってまいりましたが、強度は控えめではあったものの5分程度の区間では最大平均パワー更新をし、比較的最後まで垂れずに踏めていました。
また走行後の疲労感の少なさも良いところです。走行後当日、翌日の疲労感の少なさ、これは想像もしていなかったメリットでした。

✓剛性バランス
個人的な感想ですがこの剛性バランスはSLC5で空力よりも影響が大きく、大きな進化を遂げたと感じているところです。
前述のように脚あたりの良さ、快適性、振りやすさ、かかりの良さ、全ておいてかなり高いレベルでまさにレースバイク、というイメージです。

またこれはSLC3に乗っているときは全く気になってはいませんでしたが、SLC5に乗り換えて、実際に本気で乗って走って踏んでみてわかったことがあります。
SLC3の硬さです。これは踏み方の問題かもしれませんがSLC5に比べるとやはり若干の硬さ、前述のような踏みづらさがあったのだと感じました。(踏み方のせいかもしれません)
SLC5の剛性バランスは非常に素晴らしく、強いパワーはどこまででもしっかりと受け止めてくれ、ペダルにかけたパワーの100%がそのまま、むしろ120%ぐらいになって推進力に変わっていくような感覚です。それなのに前述のように脚あたりが優しいのが本当に凄いところです。

このパワー以上に進む感覚は、強くパワーを掛けたときだけの恩恵ではありません、
パワーがそこまで高くない、足の重さで軽く回しているような状況下でも、少ないパワーでもパワーロスの少なさを感じることができます。

SLC3でもパワー伝達のロスが大きいように感じたことはありません。むしろしっかりしてスプリント等でもしっかりとパワーを受けて止めて、後ろから蹴っ飛ばされたかのような鋭い反応をしてくれます。SLC5の場合はほんの少しだけため感があるような印象です。

実際の硬さ的にはおそらくSLC3よりも若干しなるようになっているように感じます。
剛性を確保しならがらも、しなるところはしなる、タメ感がプラスされたような印象です。
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✓コーナーリング
もうコーナーはとにかく速いです。
(赤い彗星ではありませんが)想定の3倍の速度で曲がるぐらいの印象です。
本気でむちゃくちゃに速く安定して曲がれます。
いつも通りにブレーキを当ててしまうと減速しすぎてしまうようなイメージです。
特に下りのコーナーがどえらい速いです。
速いと言うとか、倒し込みからバンク中まで安定感が高いのでスピード感があまりないのですが、速度を見るとかなり速く走れています。フロントフォークが旧作よりもよく動くようになっている影響もあると思います。これにより快適性の向上だけではなく、路面の追従性が向上しコーナーリングの安定感や粘りが増し、速く走れるように感じていると考えられます。
だからといってフォークが弱いわけではなく、ヘッド周りの剛性感は速度域のかなり高い下りの強いブレーキングでも十分だと感じています。


▶気になった点
①右側チェーンステー
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右側のチェーンステー後方の広がりが意外と強く、通常のペダリングでは当たることはありませんが、最初のうちは右足のかかとの内側が若干擦れる場合がありました。
クリート角度のセッティングの問題かもしれませんが、今までのバイクではあまりなかったことです。
これはリアディレイラーハンガー部のUDH化の影響があると考えられます。

構造上のリアのエンド幅は142mmですが、UDH対応フレームのほうがフレーム自体が広がっています。

②フロントフォーク
乗り心地が良く、しなやかに動くことでコーナーリングのスピードもかなり上がるのですが、ダンシングでねじるようにパワーを掛けた際に、若干ディスクローターに擦りやすくなったように感じます。

③ヘッドパーツ
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こればかりはSLC5だけではなく、最近のフル内装でエアロ系のトップカバーを用いたバイク全般的に言えることですが耐水性、水分に対しての防御力は決して高くありません。
組み際にしっかりとグリスを入れること、定期的にクリーニングをすることは必要です。

▶まとめ
SLC5ですが、基本的にSLC3の性能をそのまま全部引き上げたようなバイクです。
ではSLC3の進化バージョンなのかというと、はっきり言ってその限りではないというのが正直なところです。というのもSLC3とSLC5、個人的な意見ですが似ているようでも実は意外と別の性質のバイクだと感じています。
SLC3 のほうが乾いたようにパリッと硬く、比べてSLC5はというとしなやかで粘り強い剛性感ようなイメージです。もちろんSLC5が柔らかいということではありません。ダンシングのリズムはワタクシの場合はSLC5のほうが取りやすいように感じましたが、これも好みの問題もあるかもしれません。

ともあれSLC3もそうですが、走る、曲がる、止まる、基本的なバイクとしての動作がどれも非常に高いレベルで行うことができ、速く、快適に、安定感よく走れるバイクです。特に下りの安定感は軽量バイクにありがちなヒラヒラ感も少なく、安心して下ることができます。
更にSLC5は空力性能も向上し万能すぎてしまって悪いところを探すほうがが難しいです。

ということで今回はWINSPACEの17年にわたる技術の結晶 空力を手に入れたSLC5 インプレッション!!ですが、個人的には空力性能もさることながら、どんな回し方でも進む脚あたりの良さと剛性バランスの変化の恩恵が非常に大きいように感じました。そんなお話でした。


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