一昔前は「ロードバイクはとにかく軽いほど速い」という“重量神話”的なことは広く信じられていました。
しかし最近では考え方が大きく変わり、今では ①空力の改善、②転がり抵抗の軽減 が速さに直結する2大要素として注目されています。
その中でも「転がり抵抗」という言葉。よく耳にはするけれど、
・そもそも転がり抵抗って何?
・実際どれくらいの差があるの?
このあたりは少々分かりづらい部分だと思います。
そこで今回は、実際の数値も交えながら「転がり抵抗とは何か」を解説しつつ、ロードバイクで手軽にできる改善方法(交換パーツ)をシンプルにまとめてみました。
ということで今回のテーマは「転がり抵抗って?ロードバイクにおける改善ポイントを簡単にまとめる」、そんなお話です。
▶そもそも転がり抵抗とは??
ロードバイクのタイヤは走行中、ただ転がっているように見えて、実際には地面との接触で「エネルギーをロス」しています。この「進みを邪魔する力」こそが 転がり抵抗 です。
もう少し細かく言うと、
・タイヤが地面に押しつぶされるときの変形
・路面のデコボコに沿うときの摩擦
等、こういった小さなロスが積み重なって、前に進む力が少しずつ削られてしまいます。つまりものすごく簡単に言うならばタイヤが転がろうとするのを弱める力です。
例えば数値で言うと、40km/hで走るのにあるタイヤだと250W必要 だとします。
ところが転がり抵抗の小さいタイヤなら、同じ速度を出すときのパワーは235Wしか必要がなくなります。この15Wというパワーの違いですが、これはよく聞くこともある「ギア一枚変わるくらいの差」になります。
タイム的なお話ではタイヤを替えるだけで、距離にして40km走行では約1分以上短縮できる計算になります。
こういった影響で転がり抵抗が小さいタイヤは「同じ力で漕いでもよく進む」し、逆に抵抗が大きいタイヤは「なんだか重い、進みにくい」と感じるんです。
例えるなら、
床の上をキャスター付きの椅子でスーッと滑る → 転がり抵抗が小さい
床の上をキャスター付きの椅子でスーッと滑る → 転がり抵抗が小さい
絨毯の上で同じ椅子を押す → 転がり抵抗が大きい
こんなイメージです。
✓例
例えばロードバイクで250W 出して走っているとします。
もし転がり抵抗が20Wであれば、実際に出しているパワーは250Wでも前に進むことに使われているパワーは230W分しか前に進むためのパワーとして使われていないということになります。
この転がり抵抗としての20Wが前述のように「タイヤの変形や摩擦による損失」ということです。
つまりパワーは高いほうが良く、転がり抵抗は低いほうが良い、ということです。
▶転がり抵抗を数値で見る
ここではあのBicycle Rolling Resistanceの実際のテストデータを見ていきます。
・Continental GP5000(高性能・レース向け)
→ 転がり抵抗:約10W(40km/h条件)
・Vittoria Zaffiro Pro(トレーニング・耐久向け)
→ 転がり抵抗:約20W前後
差は1本あたり10W、前後で合計20Wです。
同じ250Wで走っても、GP5000なら230Wが推進力に使えるのに対し、ザフィーロだと210Wしか進む力に変わらないイメージです。
ザフィーロと比べると、GP5000では同じパワーでも約1.2km/h速く走れる計算になります。
ちなみに20Wの差って、FTP250Wの人にとっては8%近い消耗になると考えるとものすごい差だと思います。▶Bicycle Rolling Resistanceを見る
引き続き「Bicycle Rolling Resistance」です。
Bicycle Rolling Resistanceでは転がり抵抗が細かく測定されています。
Bicycle Rolling Resistanceでは転がり抵抗が細かく測定されています。
条件は以下の通りです。
条件
速度:42.5 km/h
荷重:42.5 kg(片輪に相当、つまり前後で合計85kg想定)
空気圧:100 psi(6.9 bar)※実際の走行よりも少々高め、有料は低圧まで見れます。
ローラーテスト(標準化された金属ドラム)
つまり最速の「Corsa Pro Speed TLR 28c の場合 42.5 km/h で転がるとき、片輪あたり 6.7W の損失がある」という意味です。(前後2本なら 合計約13.4W のロスになります)
▼テスト結果まとめ
| タイヤ | 転がり抵抗(片輪) | 前後合計ロス | 実質推進力 | 平地速度(40km/h近辺) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Vittoria Corsa Pro Speed TLR 28c | 6.7W | 約13.4W | 約236.6W | 約40.2 km/h | 世界最速クラス |
| Continental GP5000 25c | 10W | 約20W | 約230W | 約39.7 km/h | 定番のレースタイヤ |
| Vittoria Zaffiro Pro | 20W | 約40W | 約210W | 約38.7 km/h | トレーニング向け耐久タイヤ |
もっとわかりやすくするために実走で例えてみます。
例えば平地5分のセグメントを走った場合を考えてみます。
・GP5000(高性能タイヤ) → 約39.7 km/h、5分で 3,307m
・Zaffiro Pro(トレーニングタイヤ) → 約38.7 km/h、5分で 3,223m
結果はというと、約7秒のタイム短縮です。7秒、たったの7秒と侮ってはいけません。
この7秒は距離にするとなんと84mの差です。84mも開いていたら追いつくことを完全に諦めるレベルの差です。
この7秒は距離にするとなんと84mの差です。84mも開いていたら追いつくことを完全に諦めるレベルの差です。
これがレース終盤のスプリント前なら、完全に勝敗を分けるほどの差になります。
▶転がり抵抗を減らすポイント
①まずはタイヤ選び
②チューブレス、もしくはチューブの材質でさらに数W削減まず大前提として「タイヤ選び」がすべての基本です。
最近のタイヤの進化は本当にすごいです。 単純に軽い重いだけではなく、「転がりの軽さ」「グリップ感」「乗り心地」までセットで進化しています。
特にレースタイヤは分かりやすく効果が出やすいですし、モデルによっては普段のライドでもしっかりと違いを体感できるレベルです。
※ただし転がり抵抗が低すぎるタイヤには、パンクしやすかったり雨天のグリップが弱かったりといったデメリットもありますので要注意点です。
例えば Continental GP5000 は「転がり・耐久・グリップ」のタイヤとしてのバランスが非常に良く、レースから日常ライドまで万能に使える代表格です。
一方で Vittoria Corsa Speed や Veloflex Record などは超低抵抗でレース専用のイメージです。確かに速いのですが、その代わりにパンクリスクや雨天の不安定さが大きく、日常ライドには向きません。ということを踏まえて。
次に効いてくるのがチューブで、通常のブチルから交換することでしっかりと良さを感じられますので、ここも侮れないポイントです。
ブチルチューブと比較して、、、
・ラテックスチューブ → 約2〜3W削減可能。 ゴムが柔らかく、路面追従性が良いため変形ロスが少ない。かなり乗り心地は良くなるが、自然減圧の早さがネック。
・TPUチューブ → 約2〜4W削減。ラテックスと同等か、製品によってはさらに低い転がり抵抗。加えて重量も非常に軽いのでヒルクライム勢には特に人気。ただし耐久性や乗り心地はラテックスに比べてもシビア。
昨今のTPUブームもあり入手性も良いので、迷ったらまずTPUを使ってみることをおすすめいたします。
昨今のTPUブームもあり入手性も良いので、迷ったらまずTPUを使ってみることをおすすめいたします。
チューブレスにしても効果は大きく、タイヤ+チューブの組み合わせ次第では前後合計で5〜7Wは簡単に変わります。 5〜7Wの削減は平地5kmのセグメントでも 約30m以上の差 がつく計算です。30m前に出られたら絶望するレベルです(笑)
ですので「ただタイヤとチューブを替えただけでも確実に速い!」と感じる場合も多々あります。
③空気圧の最適化
最後はとても大切な空気圧です。
「とにかく高圧が正解」「とりあえずパンパンに入れとけ!」というのはもう昔の考え方です。
・高すぎる空気圧
跳ねて接地が安定せず、かえってロス増加。
タイヤの転がり抵抗的にも不利になりますし、乗り心地が悪くなるのでライダー自身がパワーを出しにくくなる、という弊害も出てきます。
・低すぎる空気圧
タイヤが大きく潰れて変形が増え、やはり抵抗が増加します。
もちろんグリップ感や安心感は増しますが、平地巡航には向きません。
実際には「体重」「路面状況」「タイヤの種類」で最適値が変わります。
Bicycle Rolling Resistanceでも100psi(6.9bar)固定のデータがよく使われますが、実走ではそれより低めの方がトータルで速いケースも多いです。
体重61kgのワタクシの場合は、28cTLRは乗り心地と反応性のバランスを取って4.5BAR前後で運用しております。TPUを使用する場合は最低5BARです。
体重61kgのワタクシの場合は、28cTLRは乗り心地と反応性のバランスを取って4.5BAR前後で運用しております。TPUを使用する場合は最低5BARです。
まとめると、タイヤ選び → チューブ選択 → 空気圧調整 の順で詰めていくと、10〜15Wぐらいの削減効果があり、これは機材投資の中でもトップクラスにコスパが良い改善です
転がり抵抗は数字で見ると「たった数W」や「たったの数秒」の差の場合もありますが、実走に置き換えると数十メートルの差、時には勝敗を分けるレベルの差になります。
転がり抵抗低減で一番効くのはタイヤ選びです。
そこにチューブやチューブレスを組み合わせ、最後に空気圧を最適化する。この3つを順番に整えるだけで、10〜15Wくらいは削減ができる場合もあり、機材投資の中でもトップクラスにコスパの良い改善です。
ほんの一例ですが、Corsa N.EXT CL + ブチル → Agilest Fast TLR への変更で、前後で12〜14W節約、実走で40m前後の差(5分走行で) が狙える計算となります。
ほんの一例ですが、Corsa N.EXT CL + ブチル → Agilest Fast TLR への変更で、前後で12〜14W節約、実走で40m前後の差(5分走行で) が狙える計算となります。
しかも速く走れるだけではありません。同じ速度であっても“楽に走れる”のが大きなポイントです。体力の消耗が減るので、後半の余裕で差が出るはずです。ロングライドでも終盤まで脚が残りやすくなり、結果的に楽しく走れる時間が増えるわけです。
「頑張って踏んでいるのに進みが悪い」と感じている方ほど、まずは転がり抵抗の見直しがおすすめです。脚力を鍛える前に抵抗を減らすだけで、“同じ力で確実に速く・楽になる”体験ができます。
ということで今回は「転がり抵抗」について、数字も交えて簡単に解説をしてみました。
ただしここで紹介した数値は、あくまでも試験環境(ローラードラム上)での結果です。実走では路面状況や空気の流れ、そしてライダー自身の走り方によって、同じような差がそのまま出るわけではありません。
それでも「相対的にタイヤやチューブでここまで差が出る」という事実は変わりませんので、機材を見直すうえでの参考には十分になると思います。
ぜひご自身のライド環境に合わせてお試しいただければと思います。
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