〜LSD・テンポ走で「摂れない」を防ぐための現実的な考え方〜
冬のライドでは、寒さの中で体温を維持するためにエネルギー消費が増え、さらに基礎代謝も上がるため、夏よりも糖質補給が重要だと言われます。
しかし実際には、冬に起きやすい問題は「重要だと分かっているのに、摂れない」ことです。

寒さで喉の渇きを感じにくく、低血糖の初期症状も分かりづらい。
さらにグローブや厚着の影響で、補給食を取り出す・開ける・口に入れるという一連の動作そのものが難しくなります。

結果として、LSDやテンポ走の後半で
「思ったより踏めない」「翌日に疲労が残る」
そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

✓冬のLSD・テンポ走で想定条件
今回の記事では、冬場の超鉄板の低~中強度のロングライドを想定しています。
・距離は 100〜120km前後
・気温は 0〜5℃程度の真冬
・強度は、LSDからテンポ走まで
長時間走り続けられる強度で、ソロライドだけでなくグループライドで一定時間まとまって走る状況も含みます。

ペースや数値を厳密に定義するのではなく、
「後半になるにつれて脚が重くなる」
「最後まで同じ感覚では走れない」
そんな感覚が出やすいライドをイメージしてください。

またこの記事は、「レース用の極端な高糖質補給」について書くものではありません。

冬のLSDやテンポ走を、質を落とさず走り切ること、そして 次の日に疲労を残しにくくすること。
そのための、現実的な糖質補給の考え方をテーマにしています。
・ロングの後半で思った以上に疲れてしまう方、
・翌日の脚の重さに心当たりがある方には、
一度立ち止まって見直すヒントになるはずです。

ということで今回は  
冬ライドの補給はトレーニングの一部|LSD・テンポ走を良い練習にするための補給ポイント
そんなお話しです。
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■冬は「糖質が足りていないこと」に気づきにくい
冬は汗をかきにくく、喉の渇きも感じにくくなります。
そのため、補給が遅れていることに気づくタイミングが、夏よりもどうしても遅れがちです。

それに加えて冬は、単純に寒さと戦っていることで空腹感そのものに気づきにくいという側面もあります。さらに気温が低い環境では、体温を維持するために基礎代謝が上がり、夏場よりも糖質を多く使ってしまう傾向があります。

その結果、ライド中に次のような状態が起こりやすくなります。
・体は冷えている
・心拍はそれほど高くない
・それなのに、脚だけが重くなってくる
この感覚は、単なる寒さではなく、糖質不足の入り口であることも少なくありません。

冬の厄介なところは、「明確な異変」として現れにくい点です。
気づいたときには、すでにペースを保つのが難しくなっている。そんなケースも多いのではないでしょうか。

本来であれば、冬は「問題が起きてから摂る」のではなく、問題が起きる前に淡々と入れていく意識が理想です。

ただし、これは言うほど簡単ではありません。
量やタイミング、補給の内容まで考え始めると、意外とやることは多く、走りに夢中になっていると、どうしても後回しになりがちです。

だからこそ冬の補給は、走りながら判断するものではなく、走る前に決めておくとよいと思います。

次の章では、「では実際にどれくらい、どうやって摂ればいいのか」その現実的な目安を整理していきます。


どれくらい摂ればいいのか?(冬の現実的な目安)
難しい理論は省いて、
まずはこのくらいを基準に考えると分かりやすいです。
・最低ライン:40g/時
・目安:50〜60g/時
60g/時と聞くと、多く感じるかもしれません。
※必要な糖質量は、体重や体質によって差が出る場合があります。
本記事では、多くの人が失敗しにくい目安として紹介しています。

ちなみに一般的なエネルギージェル一個あたりの糖質量は20~30g前後の物が多いです。
ただしこれは、「ジェルを一気に2個食べる」という意味ではありません。

数字がピンとこない方は、補給の“形”で考えると分かりやすくなります。
・最低でも:1時間にジェル1個
・それに加えて
ドリンクに糖質(パラチノースやマルトデキストリンなど)を入れておく

この組み合わせであれば、特別に意識しなくても1時間あたり40g前後は自然にクリアできます。

そこに余裕があれば、
・ジェルを半分ずつ刻む
・ようかんなどの補助的な固形を足す

といった形で、50〜60g/時に近づけていけば十分です。

初心者〜中級者の方であれば、まずは「1時間にジェル1個+糖質入りドリンク」この形を崩さず続けることが、失敗しにくい第一歩になります。

理想的には、15〜20分おきに少量ずつ補給できるのがベストです。
ですが冬は、
・寒さ
・グローブ
・走行状況
これらが重なり、「15〜20分おきに少量ずつ補給する」という理想的な形を実行するのは、正直かなり大変です。
分かってはいるけれど、気づいたら忘れてしまう。結局、中途半端になる。そういった経験がある方も多いと思います。

やらなくなるくらいなら、もっと単純でいい、そこでおすすめなのが、考えなくても続けられる形にまで落とし込むことです。

またアラート機能を使うのも有効で、サイクルコンピューターの時間アラートや補給アラートを使うのも、非常に有効です。
冬は感覚が頼りにならない分、時間で区切って補給を促してくれる仕組みがあるだけで、摂り忘れを大きく減らせます。

まとめると
・理想は早め・小分け
・ただし、続かないならやり方を単純化する
・最低でも 40g/時 を下回らない
・迷わない仕組みを作る
完璧を目指すより、確実に続く形を選ぶこと。
それが、冬のLSDやテンポ走を後半まで崩さず、後半の失速や回復に影響します。


「止まらない」より「しっかり摂る」
LSDやテンポ走では、できるだけ止まらず走り続けたい。その考え方自体は間違っていませんし、教科書的な書籍でも「止まらずに走り続けるほうが効果が高い」と書かれていることがあります。

ただしそれは、補給がスムーズに行えることが前提です。

実際の冬場のライドでは、補給を取ろうとすると、思った以上に動作が増えます。
・分厚いグローブで細かい操作をする
・冷えてかじかんだ手で包装を開ける
・うまく開かずにもたつく
・ゴミを落としてしまうこともあります
こうした動作で呼吸が乱れ、心拍が不必要に上がったりしまうことも少なくありません。
特に冬場はかじかんだ手でウインドブレーカーのファスナーも締められなくなることがよくあるのに、細かな作業なんてそう簡単にはできないものです。

そのような状態になるくらいなら、短く止まって、確実に補給したほうが結果として効率が良いという場面も、冬には多くあります。

冬場は、夏よりも呼吸のコントロールが難しくなります。
その状況で無理に走りながら補給し、心拍やペースを崩してしまっては本末転倒です。
停車はロスではなく、トレーニングの流れを整える一部として考える。そう捉えると、冬の補給はかなり楽になります。

短時間停止の具体例
・10〜30秒だけ止まる
・呼吸を整える
・確実に補給する
・その後、再びペースに戻る
これだけで、心拍がダラダラと上がることも防げますし、練習の質の向上、危険防止にもなります。

停車はロスではなく、次につなげるための投資です。

また止まらずに我慢することが強さではありません。
強い人ほど、きちんと食べている傾向にあります。

 私の実践している補給のポイント
ソロライドの際は、自分のタイミングで補給が行えますが、逆にグループライドの場合はというとその限りではありません。ついつい遠慮したり、お見合いしてしまい結果的に補給のタイミングを逃してしまうことがあります。
それが重なることで、糖質不足のまま走ってしまう状況に陥ることも少なくありません。

そんなときでも、さっと補給ができるように、持っていく補給食の内容に少しだけ気を使ってあげると良いと思います。
一般的なゼリー飲料のキャップタイプよりも、専用の補給食のほうが、補給にかかる時間を短くできる場合があります。また、補給食は事前に少し開けておくだけで、成功率が大きく変わります。

集団での休憩のタイミングが、必ずしも自分の補給タイミングに合うとは限りません。
自分のタイミングで摂れる補給食の形態を選ぶことも、大切なポイントです。

また、もう少しでライドが終わるからといって、最後の補給を我慢してしまうパターンもよくあります。
しかしこれも、余計な疲労を溜めてしまう原因になります。
ライド後の回復のためにも、糖質と水分は必要です。
最後だから我慢するのではなく、最後だからこそ回復のために摂る。
その意識を持つことをおすすめします。


冬の補給は「走りの質」と「回復」を左右する
冬場は、走っている最中も重要ですが、翌日に疲労を持ち越すかどうかに差が出やすい季節です。
某 超高級補給食メーカーの担当者も次の日のために食べる、というお話をしておりました。

補給がうまくいった日はライド中の糖質不足を防ぎ、筋グリコーゲンの枯渇を抑えることができます。
その結果、運動中に筋肉を分解してエネルギーを補おうとする状態に入りにくくなり、翌日の脚が軽く、次の練習にもスムーズにつながります。

逆に、糖質が足りないまま走り続けると、体は不足分を補うために、筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。
冬は寒さによるエネルギー消費も重なるため、この状態に気づかないまま走ってしまいやすく、結果として疲労が深く残りやすくなるのが厄介なところです。

少し立ち止まって呼吸を整え、確実に補給することは、トレーニングの流れを断ち切る行為ではありません。無理に走り続けて糖質不足のまま進むよりも、筋肉を守るための材料を、その場で補っておくことで、ライド後から翌日までの回復が大きく変わります。

糖質を最後まで我慢することなく摂取することは、次の練習へつなげるための、良い引き継ぎになります。
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まとめ|冬の補給は「その日」だけではなく「次の日」のためにも
冬のライドでは、糖質補給の重要性は分かっていても、寒さや装備、走行状況によって思うように摂れない場面が多くなります。
だからこそ冬の補給は、感覚に任せるのではなく、走る前にライド計画の一環として考え、走りながらはしっかりと実行するものになります。
・最低でも 1時間にジェル1個+糖質入りドリンク
・理想は小分け、続かないなら単純化
・必要なら短く止まって、確実に摂る
それだけでも、後半の失速や、翌日に残る疲労は大きく変わります。

少し立ち止まって補給することは、トレーニングを止める行為ではありません。
筋肉を守り、回復を早め、次の練習につなげるための判断です。

冬のLSDやテンポ走を、ただ「走り切る」のではなく、次の日まで含めて良いトレーニングにするためにもとても大切なことです。

ということで今回は
冬ライドの補給はトレーニングの一部|LSD・テンポ走を良い練習にするための補給ポイント
そんなお話しでした。

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