年末のとある日、それは突然やってきました。
Garminでは、決して珍しくはない不具合――起動ループです。

悲しいことに完全にEdge 540は沈黙し、もはや文鎮と呼ぶことすらできない、ただただやかましく音を発する高価な物体になってしまいました。
大切に使ってきたサイクルコンピューターが、ある日突然使えなくなる。この残念感は、なかなかのものです。

手元からGarminが消え、代わりとして使い始めたのが、以前レビュー記事にてご紹介をさせていただいた、昨今人気の格安系サイクルコンピューター、COOSPOのCS600 です。
実際に本気で使い始めてから約2週間。用途は明確で、完全にトレーニング、メインはインターバルトレーニングでの使用です。

では、最近の格安サイコンは実際どうなのか。
いわゆる“現行サイクルコンピューター界の王者”とも言えるGarminと、何が違うのか。
そのあたりを、使い込んだからこそ見えてきた細かな点も含めて、少し掘り下げてみようと思います。

なお、今回はナビ機能については評価対象外です。
これはワタクシ自身Garminを使っていた頃から、ナビをほとんど使っていなかったから。今回見たかったのはただ一つ、「トレーニング用途としてきちんと成立するのかどうか」。それだけです。

しかしながら今回は、本気のトレーニング用途に限らず、
「格安サイコンと高級サイコンで迷っている」
「実際、何がどれくらい違うのか知りたい」
そんな方にとっても、判断材料になる内容だと思います。

実際に使い込んでみて、印象はどう変わったのか。それとも、やはり価格なりだったのか。
今回は、格安サイコンを本格導入 2週間、本気のトレーニング運用で見えてきたこと、そんなお話です。
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■実際の使い方と前提条件
今回の使い方は、Garminを使っていた頃とほぼ同じです。
心拍数をメイン指標に、パワー、ラップ平均パワー、ラップ時間、ケイデンスを確認します。心拍は数値だけでなく、曲線(グラフ)表示も併用します。インターバル中はラップを切り、強度の目安として使います。

要するに、目的はトレーニングです。
その場で細かく分析するためではなく、強度を外さないための確認用として使っています。

この使い方は、ガッツリとしたインターバルトレーニングに限らず、意外と多くの方が使っているのではないでしょうか。
たとえば、ほとんどが普通のサイクリングでも、特定の区間だけ、あのセグメントだけ頑張りたいとき。そんな場面でもラップ機能を使うことはあると思います。

ラップ機能は非常に有用です。使い方を覚えておくだけで、ライド後の分析の幅がぐっと広がります。

このような前提で使った結果ですが、トレーニング中に問題になるような不自由さは一切感じませんでした。
以降、細かな仕様を見ていこうと思います。

※補足として
今回はCOOSPO CS600を例に話を進めていますが、「格安サイクルコンピューター」という言葉の中にも、考え方や作り込みにはそれなりに幅があります。
機種やメーカーによって思想や作り込みには差があり、すべてが全く同じ挙動をするわけではありません。

ただし、表示設計やアプリ側の作り込み、付加機能の考え方など、価格帯が近い製品同士であれば「似た傾向」が見られる場面も多くあります。

本記事では、COOSPOを一つの具体例として取り上げつつ、現在の格安サイコン全体に共通しやすい特徴や、価格帯による思想の違いを見ていく、というスタンスで読んでいただければと思います。


✓想像以上に良いと感じた点
①GPSの反応は良好
トンネルに入ると「GPS信号を失いました」と表示されますが、トンネルを抜けるとすぐに再キャッチされます。この反応は極めて早い印象です。
GarminもGPS精度が弱かったり、感度が悪いわけではありませんので、運用上あえて若干の鈍さを持たせている可能性もあります。

②バッテリー
バッテリーはかなり長持ちします。体感的にはEdge 540よりも持つ印象です。充電速度も早く、運用で不自由を感じることはありません。

③タッチパネル
冬用グローブでもしっかり反応します。
とは言っても冬用グローブではさすがにページ送りなどは多少の鈍さを感じますが、素手であればかなり速い操作にも追従します

④ライド記録中の設定変更
ライド中に「やっぱりこの項目を見たい」と思うことはよくあります。
CS600ではスマホ接続を使えば、ライド中でも表示項目の変更が可能でした。これは地味ですが非常に便利で、ライド後にはついつい忘れがちな表示項目の設定変更を、その場で試しながら行える点は非常に良いところです。

⑤アプリ同期
アプリ同期は非常に速く、アップロードも快適です。
ただしGarminのように「保存=自動同期」ではなく、アプリを開いて本体と接続し、同期する必要があります。

⑥ライド記録
記録の安定性という点でも、不安を感じる場面はありませんでした。

⑦ 雨天使用での信頼性
実はこの2週間の使用期間中に、2回ほど完全に濡れる状況がありました。
1回はしっかりとした雨の中での走行、もう1回は雨上がりで、路面も含めてかなり水を被るコンディションです。

さすがに画面がびしょびしょになる状況では、タッチパネルの感度は良好とは言えませんでした。
ただし、誤作動はほとんどなく、操作感としては雨天時のスマートフォンよりも安定しており、意図しない入力に悩まされることはありませんでした。
ただし、それでも動作自体に問題はなく、表示や記録の途切れなども一切ありませんでした。

走行後も特別な処置は行わず、そのまま通常使用を続けていますが、今のところ不具合は出ていません。

防水性能については、スペック表だけでは分からない部分も多いですが、
実走でしっかり濡らしても問題が出なかったという事実は、トレーニング用途としては十分な安心材料だと感じました。

正直なところ、「練習としてはこれで十分では?」と思う場面が多かったのも事実です。


✓それでも感じた“差”
一方で、細かな部分では差を感じます。
今回のメインはこちらです。

①最小枠での6桁表示方法
表示設計の違いです。Garminは時間表示(時:分:秒)において、1時間を超えると「時」を極力小さくし、「分・秒」を大きく表示します。練習中に実際よく見るのは分と秒で、時の優先度は低い。こうした“見せ方の工夫”は、実際の運用をよく理解していると感じます。
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CS600は表示が均一で、読めないわけではありませんが、一瞬の視認性ではGarminに一歩譲る印象です。

②アプリのラップ詳細
ラップ詳細はサイコン本体側での差は殆ど無いように思えます。ラップ詳細画面の表示項目を切り替えていく操作等はGarmin同様です。(※上部表示項目数はCS600は2項目まで)
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ライド後、サイコンでラップ詳細を確認する分には、ほぼすべての項目を見れますので問題がありません。
しかしアプリでラップ詳細は確認しようとすると、速度しか確認できませんでした。
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データ上のラップ記録はあるようなので、スマホアプリ側の仕様の問題だと思われます。
ただしSHIMANO Connect Lab等の外部アプリを使用すれば普通に見ることができます。

③ラップボタンの挙動
ラップボタンの挙動も、停車から走り出し時に使用した際には、音と動作が一致しない場面があり、ここはやや気になるポイントです。

④極小文字の表示
Garminは通常使用する文字の大きさは最小枠の表示でもある程度の大きさになるように調整されています。
しかしそれだけではありません。表示として走行中はほぼ読めないだろうぐらいの数字も表示されることです。おそらく走行中に読め、ということではなく停車時などに見れればよいかなぐらいの、走行中に必要なメインの数値ではない、サブ的な数値も表示させることができます。これはとても便利な機能です。
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⑤通知
Garminではライド中の着信通知だけでなく、ライド後のパワーメーターやDi2など、バッテリー残量を送信するセンサー類の低下通知がスマホに届きます。これは非常に便利な機能です。
CS600では、現時点ではこの機能は確認できませんでした。
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⑥ フルカラー液晶の“余白”
CS600はフルカラー液晶を採用しています。ナビ用途では、色分けによる視認性の向上は大きなメリットになると思います。ただ、今回のようにトレーニング数値をメインに使う場合、フルカラーの性能をまだ活かしきれていないと感じる場面がありました。

たとえば、心拍数やパワーの高さに応じて表示色が変わる、一定のゾーンを超えると色で直感的に分かる、といった表現です。数値そのものは確認できますが、色による“瞬時の判断材料”は、現時点では限定的です。

トレーニング中に求められるのは、情報量の多さよりも「一瞬で分かること」です。フルカラー液晶であれば、こうした表現の幅はまだまだ広げられるはずで、この点は今後のアップデートや進化に期待したいところです。

逆に言えば、現時点ではトレーニング数値中心の使い方では、フルカラーであることの恩恵はそこまで大きくないとも言えます。モノクロでも成立する世界に、カラーが上乗せされている、という印象です。

※ただしこれらのことは、使い方の理解不足や、今後のアップデートで評価が変わる可能性がある点は、前提としておきたいところです。


■ まとめ:結局、サイコンに何を求めるのか
Garmin特有のトレーニングステータスや負荷バランス、ClimbPro、パワーガイド、リアルタイムスタミナ、推定発汗量、カロリーバランス。
こうした独自指標や付加価値は、やはり一流メーカーであるGarminならではの強みであり、今もトップに君臨するサイクルコンピューターであることに変わりはないと改めて考えさせられました。

一方で、多くのサイコンにプリセットされているワークアウトメニューについては、必須かと言われると少し疑問も残ります。
ZwiftやTrainingPeaksなど外部サービスからインポートできる環境が整っていれば、サイコン側に用意されていなくても困らないケースは多いと思います。
トレーニング理論や組み方の情報も、今はネット上に十分すぎるほどあります。

その結果として、サイコンは「正確に記録する装置」、分析や解釈は「外部サービスで行うもの」、という分業が、今の時代では自然に成立するようになりました。

この前提に立つと、格安サイコンはもはや妥協の選択肢ではありません。
COOSPO CS600のように、付加価値こそ少ないものの、付加価値以外の部分は非常に優秀で、トレーニング用途として十分に成立します。
注意点や割り切りは必要ですが、それを理解した上で使うなら、不満はかなり少ないはずです。

一言で言うならば、Garminは今もトップに君臨するサイコンであり、追従する格安サイコンは“付加価値を削った代わりに、実用を磨いた存在” だと思います。

結局のところ、決め手は価格ではありません。
「サイコンに何を求めるのか」、
「どこまでをサイコンに任せたいのか」、
そこを自分の言葉で説明できるかどうかです。

選択肢が増えた今だからこそ、“何を使うか”ではなく、“なにゆえそれを選ぶのか”。一度立ち止まって考えてみる価値は、十分にあると思います。

ということで今回は格安サイコンを本格導入 2週間、本気のトレーニング運用で見えてきたこと、そんなお話しでした。


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