ロードバイクの変速性能というと、まず思い浮かぶのはディレイラーのグレードや変速調整ではないでしょうか。
確かに、ディレイラーであり変速機そのものの性能や、調整の精度は重要です。
しかし実際に整備をしていると、「どれだけ丁寧に調整しても、どうしても本来の変速性能が発揮できない個体」が存在することも事実です。
では、その差はどこから生まれるのか。
今回は、原因が分かりづらい変速性能の差について、
変速性能はディレイラーだけで決まらない、
調整ではどうにもならない場合もあります。
変速性能はディレイラーだけで決まらない 変速性能を支えるフレーム設計の話
調整ではどうにもならない場合もあります。
変速性能はディレイラーだけで決まらない 変速性能を支えるフレーム設計の話
そんなお話をしてみようと思います。

■変速性能の話
基本的に、SHIMANOのコンポーネントはすべてSHIMANO製品を使用することを前提に開発されています。
特に12速(ULTEGRA以上)では、SHIMANOの最先端テクノロジーである HYPERGLIDE+ により、
スプロケットの歯先形状、チェーン側のプレート形状・面取りに至るまで、極めて高度で繊細な設計が施されています。
この前提条件が崩れると、少なからず変速性能に影響が出ることがあります。
また、変速性能を語るうえで注意したいのは、整備台上で確認できる変速性能は、本来の性能のごく一部に過ぎないという点です。
パワーをかけていない状態での変速は、ある意味で「できて当たり前」です。
SHIMANOの変速性能の真価が発揮されるのは、実走行中、しかもレースに近いような高負荷がかかっている状況です。
その条件下において、
正しく組み付けられ、完璧に調整されたSHIMANOの12速ドライブトレインは、現時点で世界最高水準、事実上“世界一”と呼べる変速性能を持っています。
■変速不良の原因
本題です。
現在の変速調整は、まずSHIMANOのマニュアルに沿って、寸分狂いなく基本セッティングを出すことから始まります。
特にDi2では、マニュアル通りの調整こそが最重要です。
基本が出せていない状態では、その後の微調整や味付けは成立しません。
しかし、マニュアル通りに調整し、可能な限り追い込んだとしても、
・パワーをかけた時の変速が決まらない
・どうしても変速がワンテンポ遅れる
・パワーをかけた時の変速が決まらない
・どうしても変速がワンテンポ遅れる
こうした症状が残るケースがあります。
この場合、「調整が甘い」「ディレイラーの性能が足りない」と考えられがちですが、
実際には調整そのものが大きく間違っているケースは多くありません。
それでも決まりきらない変速。
そのときに疑うべきなのは、ディレイラーそのものではなく、それを支えている構造側です。
■変速性能の土台とは
変速性能を支える土台となる部分は、
リアはディレイラーハンガーとエンド部、
フロントはフロントディレイラーの直付け台座と、その周辺構造です。
この土台が不十分な場合、どれだけ高性能なディレイラーを使っても、変速性能を最大限に引き出すことはできません。
✓リア側の問題
リア変速において最も重要な要素のひとつが、ディレイラーハンガーの剛性と精度です。
(なお、ディレイラーハンガーのアライメントが適正に取れていることを前提とします。)
(なお、ディレイラーハンガーのアライメントが適正に取れていることを前提とします。)
Silcaのディレイラーハンガーに関する資料でも指摘されていますが、
剛性や精度の低いハンガーでは、シフト動作中にハンガー自体がたわみ、結果として変速精度が著しく低下するケースがあります。
実際には、
剛性不足のハンガーがシフト中に数度単位で変形することも報告されており、
このわずかな変形が、12速のような高精度ドライブトレインでは致命的なズレとなって現れます。
また、問題はハンガーだけではありません。
特にリムブレーキ時代のフルカーボンエンドを採用したフレームでは、
クイックリリースの締付け力にエンド部が負けてしまい、
ホイール装着時にエンドが変形してしまうケースも少なくありません。
このような状態では、
ホイールの位置が安定せず、ディレイラー位置も毎回微妙に変わってしまいます。
結果として、どれだけ丁寧に調整しても、再現性のある安定した変速性能を得ることは困難になります。
つまり、
リア側の土台となる構造に問題がある場合、
「調整が出ない」「変速が決まりきらない」といった症状は、必然的に起こると言えます。

✓フロント側の問題
フロントディレイラーも、リアと同様に「土台」の影響を強く受けます。
現行のDi2フロントディレイラーは、サポートボルトを使用することを前提に設計されており、
モーターの駆動力も、その構造を前提としたパワー設定になっています。
そのため、サポートボルトを適切に当てられるフロントディレイラー台座の構造は、
現在では事実上必須と言えます。
しかし、サポートボルトを当てていても、
フロントディレイラー台座そのものや、その根本となるフレーム側が動いてしまえば、
変速の再現性は一気に失われてしまいます。
重要なのはサポートボルトの有無もさることながら、
台座自体が変形せず、その力を受け止められる構造であるかどうかです。
だからこそ、フロント変速の完成度は、
ディレイラー単体ではなく、フレーム側の設計と剛性を含めた
「土台」で決まると言えます。
これは、Di2というシステムの欠点というよりも、
Di2がフレーム側に求める完成度が、従来よりも高くなった と捉えるほうが自然でしょう。
Di2の調整は、基本的にマニュアル通りのセッティングがすべてであり、
その状態で完璧に決まれば、最高レベルの変速性能を発揮します。
一方で、フレーム設計や台座剛性に起因する問題を、
調整によって吸収できる余地は、機械式に比べて少ないのも事実です。
機械式変速であれば、ワイヤーテンションやオーバーシフト量などで
「あと一歩」を詰められるケースもありますが、
Di2では構造側の限界を、調整で覆い隠すことができない場合があります。
これは優劣の話ではなく、調整思想の違いによるものです。
これは優劣の話ではなく、調整思想の違いによるものです。
だからこそ、
フロント変速の完成度は、ディレイラー単体の性能ではなく、
フレーム側の設計と剛性を含めた“総合性能”で決まる と言えます。
■改善が進むリア、残されたフロント
リア側については、ディスクブレーキ化とスルーアクスル化が進み、
エンド剛性の向上やUDHといった共通規格の普及により、全体として改善傾向にあります。
一方で、フロントディレイラー台座については共通規格がなく、フレーム専用設計であることがほとんどです。
となると、最終的に頼れるのはフレームメーカーの設計思想になります。
数グラム、数十グラムの軽量化も大切ですが、
変速性能を支える土台となる部分については、剛性や精度、耐久性を優先して設計してほしい。
これは整備をする立場としても、ユーザーとしても強く感じる部分です。
■まとめ
変速性能は、ディレイラーや調整だけで決まるものではありません。
リアではディレイラーハンガーとエンド部、
フロントではディレイラー台座とフレーム側の剛性。
この「土台」がしっかりしていなければ、どれだけ高性能なコンポーネントを使っても、本来の変速性能を引き出すことはできません。
軽さだけでなく、精度と剛性。
変速性能を本気で求めるなら、改めて注目すべきポイントだと思います。
ということで今回は
変速性能はディレイラーだけで決まらない 変速性能を支えるフレーム設計の話ということで今回は
そんなお話しでした。
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・お知らせ
私事で恐縮ですが、明日2月11日(水)は、
近親者の葬儀のため、臨時休業とさせていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
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