今日なんだか、パワーが出づらい。
そんな日、ありませんでしょうか。
同じワークアウトで、強度設定も変えていません。体感もそこまで悪くないのに、画面の数字だけが妙に低い時があります。
そんなときは、もちろんワタクシにもあります。
普段なら普通にこなせているメニューなのに、今日はなぜか伸びない。「弱くなったのではないか」と一瞬だけ頭をよぎることもあります。
昨今はパワー管理が当たり前になりました。Zwiftでも実走でも、練習の中心はワットです。便利ですし正確ですし、ごまかしが効かないのも魅力です。ですが数字は時として残酷で、だからこそ、数字が下がると気持ちまで少し落ちます。
けれども、よほどのことでもない限り、積み上げてきたものが突然なくなることはありません。
もちろん、崩れることがまったくないとは言いません。ただそれは、多くの場合、身体が出していた小さな信号を無視し続けた結果です。いきなり今日だけで失われる、という話ではありません。
むしろ逆の経験もあるはずです。
何気なく流している日に限って妙にパワーが出る。脚が軽く、「今日は調子が良いな」と感じる日です。
出ない日もあれば、出すぎる日もある。
この振れ幅には、たいてい理由があります。
ということで今回は、このパワーの振れ幅の話。「今日はパワーがでないな」と感じたときに、焦ってよくないことをしないための話です。
ロードバイクでパワーが出ない日|考えられる原因と向き合い方。そんなお話しです。

■ パワーメーターに関して
「今日は出ない」と感じたとき、最初に確認することは機材です。
「今日は出ない」と感じたとき、最初に確認することは機材です。
まずは数値を計測しているそのもの、パワーメーターの確認です。
自分のことを考えるのは、そのあとでも遅くありません。
パワーメーターの精度に必要なこと、それが校正です。
校正は本当に大切です。理想は毎日毎回。走行中に気温が大きく変わる日、たとえば10℃以上変わるような日は、途中で取り直してもよいぐらいです。
校正は本当に大切です。理想は毎日毎回。走行中に気温が大きく変わる日、たとえば10℃以上変わるような日は、途中で取り直してもよいぐらいです。
ほんのわずかなズレでも、積み重なれば無視できない差になります。実際、ワタクシの体感では大きく動くことは多くありませんが、それでも10Wずれていれば話は変わります。SSTで10W違えば、別メニューです。
取り付けの確認も同じです。
増し締めやガタの確認は、もう習慣のようなものです。取り付け部に緩みがあれば、どんなに「高精度」と言われている機材でも正確には測れません。機材は正直ですが、万能ではありません。
たとえば冬の朝。
家の中と外では気温がまるで違います。そのまま外へ出てすぐに踏み始めれば、センサーの温度補正が追いついていないこともあります。
走り出す前に校正する。これをクセにしておくだけで、余計なモヤモヤがひとつ減ります。
SHIMANOのパワーメーターは、本体ボタンを押すだけで校正できます。この手軽さは正直ありがたいところです。使う側が横着をしなければ、かなり安定した数値を出してくれます。機材の確認を習慣にしておくだけで、複数あるであろうパワー不調の可能性をひとつ減らせます。
パワーが出ない=自分が弱い、だけではないということです。

■機材のチェック
そしてもうひとつ。
意外と見落としがちなのが、ポジションや機材の微妙な変化です。
サドルがほんの数ミリ下がっていた。
シートポストがわずかに動いていた。
クリートが少しズレていた。
そんな小さな変化でも、踏み心地ははっきり変わります。
「今日はなぜか重い」と感じていた原因が、実はポジションだった、ということも珍しくありません。
機材は正直ですし、身体も正直です。
数ミリのズレで、踏み心地は変わります。
数字が落ちた理由が、実はポジションだった。そんなことは、決して珍しくありません。
■パワーの出ない要因
✓ 外気温による影響
冬、寒くなればなるほど、パワー出づらく・出しづらくなります。
これは誇張でもなんでもありません。
普通に、出ません。
夏は主観でも分かりやすいのは、暑い、危ないと、自分でも「あ、これはまずいな」と感じやすいです。明らかに暑さによってタレてきますので。だから「ああ、暑さのせいだな」と素直に納得できます。
しかし冬は厄介です。
寒さにはわりと耐えられてしまう。走っていれば身体も温まりますし、ウェアも年々進化しています。昔よりずっと快適です。だから「今日は寒いからパワーが出ない」とは感じにくいのです。
ですが実際には、筋温が低ければ出力はきちんと落ちます。神経の立ち上がりも鈍くなります。脚が重いのは気のせいではありません。ちゃんと理由があります。
ワタクシは冬でも雨でも基本実走ですので、この低温によるパワー抑制は身にしみています。スピードが落ちるだけでなく、純粋に体が硬く踏みにくい、回しにくい、フォームを取りづらいと感じます。その差は10Wどころではありません。条件が悪ければ20W以上違うこともあります。
しかし、それは能力が落ちたわけではありません。
単純に、寒さの影響を体が受けているからです。
冬の影響は、自分では気づきにくい。
だからこそ厄介です。
画面の数字を見て「今日はダメだ」と判断する前に、外気温を思い出してみる。それだけで気持ちの持ちようが変わります。
寒い時期にパワーが出づらいのは、珍しいことではありません。むしろ自然なことです。
過去のデータを振り返って、パワーと気温を並べてみると、その差にあらためて驚くことがあります。思っている以上に、数字は正直です。
✓ 時間帯による影響
たとえば早朝。まだ脳も身体も完全には起きていない時間です。さらに朝食を食べてすぐ、胃の中でまだ食べ物を消化しているようなタイミング。
こういうとき、まったくパワーが乗らないことがあります。
脚に極端な疲労があるわけでもなく、身体もそれなりに動いている。それなのにパワーがどうにもこうにも低く感じます。
逆に、消化吸収の時間を十分に取ったあとや、起床時から数時間経ったあとの時間帯は、驚くほどパワーが出やすいと感じることもあります。
もちろん個人差はあります。朝が得意な方もいると思います。ワタクシ自身も朝は得意な方ですが、それでも起床から1時間後のパワーと、起床3~5時間後のパワーの出方はかなりの差が出ます。
この時間帯によるパワーの差を知らないと、「今日は調子が悪い」と判断してしまうこともあります。
実際にはただ時間が悪かっただけ、少したてば戻る、ということも少なくありません。
✓ 体調の影響
そして最後は、もっとも厄介なもの。体調です。
その体調を大きく左右するのが、睡眠です。
これはもう、正直に言って超重要です。
寝不足の日は集中力も落ちますし、同じ強度でも妙にきつく感じます。パワーが出ないというより、「踏み続ける気力が削られている」と言ったほうが近いかもしれません。
脚がどうこう以前に、気持ちが持たない。メンタルが弱く、よし行くぞ!となりづらい、あの感じです。
さらに仕事やプライペートの疲労もあるでしょう。
TSSには表れませんが、人間の身体はひとつです。日中に神経を使い、ストレスを抱え、帰宅してから無理に踏む。それでパワーが出ないのは、ある意味当然です。むしろ調子よかったら心配になります。
前日の糖質量については、ワタクシ自身は即座に影響を感じるタイプではありません。ただ、中長期的に糖質が不足していると、回復力の遅れを感じることがありました。
個人的には、糖質は多めのほうが調子が安定します。ですので、極端に制限することはほとんどありません。
「今日はパワーが出ない日だな」というサインを無視して、無理に数字を合わせにいくと、一度や二度なら大きな問題にならないこともあります。ですが、それを習慣にしてしまうと話は別です。小さな無理の積み重ねが、ある日きちんと体調不良として返ってきます。
これは、本当に注意したほうがよいところです。
さらに言えば、「なんとなくパワーが出ない日」が続くときは、少しだけ注意が必要です。
いきなり大きく崩れることはあまりありません。
最初はほんの少しの違和感です。
「今日は少し低いな」
「まあ、こんな日もあるか」
その違和感を無視して、帳尻を合わせることを続けていると、いつの間にか“常に出づらい状態”になっていることがあります。
慢性疲労や、いわゆるオーバートレーニングの入口は、たいていここから始まります。
ある日突然ガクッと落ちるのではなく、静かに、じわじわと近づいてきます。
ワタクシも過去に、パワーが出ない日を「気合いで何とかする日」に変えてしまっていた時期があります。あれは、正直まったくもって賢い選択ではありませんでした。
疲労は溜まりすぎていないか。
これは、本当に大切な問いです。
「今日は出ない」というのが単発なのか、連続しているのか。
その違いを見ておくだけでも、大きなリスクを減らすことにつながります。
■ それでも出ない日
あれこれ確認しても、それでもやはり「今日はパワーが出ない」という日はあります。
そういう日は、もう潔く認めてしまったほうが楽です。
普段できているメニューだからといって、今日も同じ数字を出さなければならないわけではありません。大切なのは、適切な刺激を与えて、きちんと回復させることです。成長はその繰り返しの中で起こります。
ワタクシも昔は、帳尻を合わせようとして踏み倒したことがありますが、大抵は後味の悪い終わり方をしました。妙に疲れだけが残り、その後何日も引きずるような疲労を負ってしまうこともありました。
ワタクシも昔は、帳尻を合わせようとして踏み倒したことがありますが、大抵は後味の悪い終わり方をしました。妙に疲れだけが残り、その後何日も引きずるような疲労を負ってしまうこともありました。
その日だけ、その瞬間だけ頑張った感を味わうだけの、薄味の練習です。
同じ辛さで数字が低い日もあれば、
同じ数字なのにやけに軽い日もある。
このパワーの変動は異常ではありません。むしろ普通です。
パワーは積み上げで決まります。1回のワークアウトが少し低かったからといって、これまでの積み重ねが消えることはありません。そんなに簡単に消えるなら、我々の努力はあまりにも報われません。
今日はパワーが出づらい日であったならば、今日はそのパワーの中で練習をする。それで十分です。
無理に帳尻を合わせなくても、積み重ねはちゃんと続いています。
■おわりに
今や本当に身近な数値となったパワーですが、確かに正直です。
ですが、そのパワーであり数字が何を示しているのか、数字の裏側までは教えてくれません。
寒さなのか、時間帯なのか、体調・疲労なのか。
あるいは単に今日はそういう日なのか。
画面に出ている数値だけを見ていると、つい自分の実力のすべてだと錯覚してしまいます。
けれど、よほどのことがない限り1日や2日の数字で、積み上げてきたものが消えることはありません。
むしろ怖いのは、パワーが出ない日のサインを無視して、無理に合わせること、これを繰り返し続けることです。小さな違和感を踏み潰していくと、ある日きちんと身体が止めに入ります。
今日は出ないと感じたら、まず無理をするのではなく、原因を考えることの大切さです。
パワーはあくまでも数値であり一つの指標ですが、主役は自分の身体です。
数字に振り回されるのではなく、パワーという便利な道具を使いこなす。それくらいの距離感でちょうどいいのだと思います。富士ヒルに向けてより一層力が入る時期かと思いますが、くれぐれも無理をなさらないようにご注意ください。
ということで今回はロードバイクでパワーが出ない日|考えられる原因と向き合い方、そんなお話でした。
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