ディスクブレーキの鳴き、想像以上に多いのでしょうか。
答えはシンプルで、実はそこまで多いものではありません。現代のディスクブレーキはよく出来ています。普通に使っていて、いつも鳴き続けるようなものではありません。
それでも、鳴くときは鳴きます。
あの「ファーーーンッ!」という低めの音。信号待ちで振り返られるあの瞬間。できれば味わいたくないものです。
ワタクシもこれまで少なくない数の鳴きを見てきました。ローターが悪いのか、パッドが悪いのか、洗車のせいか、雨のせいか。いろいろ試します。削る、洗う、焼く。静かになったと思っても、また鳴く。
ここが厄介なのです。
なぜ止まらないのか。
なぜ直ったように見えて再発するのか。
ということで今回は
ディスクブレーキの鳴きはなぜ止まらないのか?原因と見分け方を解説
そんなお話しです。
▶止まる鳴きと止まらない鳴き

▶キャリパーの不具合

※テカリとオイルの滲みは間違わないように注意が必要です。
▶レジンとメタル
メタルパッドは密度が高く、油分が内部まで浸透しにくい傾向があります。油が付着しても、レジンより復活する可能性は高いと感じています。雨の日や湿度の高い日には鳴くことはありますが、乾けば収まりやすい。効きも安定している。

■まとめ
パッドだけを疑うのではなく、周辺環境を含めて見ること。それがディスク鳴きと向き合う第一歩です。
鳴きが収まらずにパッドを新品に交換する際は、必ずディスクローターの脱脂も合わせて行うことを強くおすすめ致します。
ということで今回は、
ディスクブレーキの鳴きはなぜ止まらないのか?原因と見分け方を解説、そんなお話しでした。
まず、鳴きといえば多くの場合、雨天走行やウエット路面でブレーキが濡れる状況下で発生します。
これはもう、ある意味では通常運用の範囲です。ディスクブレーキは構造上、水分が入れば鳴くことがあります。ここに驚く必要はありません。

このときは、しばらくブレーキを使えば水分が飛び、鳴きはとまることがほとんどです。ローターとパッドが温まり、接触面が乾燥すれば音は消えていきます。
これは制動熱で飛ばすというよりも、単純に乾かしているイメージに近いです。
路面の水分にわずかな油分が混じっていたとしても、表面に付着した程度であれば、制動を繰り返すことで揮発し、鳴きは止まります。こうしたケースは一過性です。
また雨天走行やウエット路面での単純な水分付着が原因の鳴きは、前後同時に鳴くことが多く、同じパッドを前後で使っていればなおさらです。
この範囲であれば、過度に心配する必要はありません。
では、どこまでが「通常」で、どこからが「異常」なのか。
この判断が非常に重要になります。
たとえば、雨の走行直後に鳴いていたものが、しばらくしたら静かになっている。と翌日も静か、これは典型的な正常範囲の鳴きです。
しかし、片側だけが強く鳴き続ける場合。乾いても、翌日になっても鳴きが消えない場合。
ここからは話が変わります。
前後同時ではなく、どちらか一方だけが異様に鳴く。制動力もどこか頼りない。
こうなったときは、単なる水分とは考えにくいです。内部に何かが残っている可能性を疑うべき段階です。
ここから先が、いわゆる「収まらない鳴き」の領域です。
洗車は?と疑われることもありますが、洗車自体は正しい方法で行っていれば、ほとんどの場合原因とはなりません。
▶運用由来の汚染
ここまで読んでくださった方なら、もうお気づきかもしれません。
ディスクブレーキの鳴き自体、決して多いことではありません。現代のパッドは本当に優秀です。通常使用でずっと鳴き続けるほうがむしろ不自然です。
ではなぜ鳴くのか。
ワタクシ自身、整備をしていて強く感じていることがあります。
洗車は?と疑われることもありますが、洗車自体は正しい方法で行っていれば、ほとんどの場合原因とはなりません。
意外に思われるかもしれませんが、ワタクシは自分のバイクでは実験的にキャリパーをカバーせず、ドライブトレインにはディグリーザーも使いますし、ブレーキダストも落とすべく中性洗剤で泡泡にして、じゃぶじゃぶ洗っています。それでも洗車由来で鳴きが出たことはありません。
むしろ怖いのは、洗車ではなくチェーンオイルの運用方法です。
チェーンオイルの付けすぎ。
走行中の飛散。
ディグリーザーの残留。
このあたりが、本当の意味でディスクブレーキの天敵です。
とくにオイルの“付けすぎ”は深刻です。余分なオイルは走行中に飛びます。後方に、横に、そして風に乗ってローターへ付着し、じわじわとパッドを汚染していきます。
ディグリーザーも同じです。チェーン洗浄後に拭き取りが不十分だと、残留成分がオイルの粘度を下げ、飛び散りやすい状態を作ってしまいます。
結果としてブレーキに付着し、ほんのわずかな油分でも鳴きにつながります。
結果としてブレーキに付着し、ほんのわずかな油分でも鳴きにつながります。
ひとつ簡単な判定方法があります。リアホイール右側のリムに油汚れが付いていないか確認してみてください。チェーンオイルが飛び散っている場合、多くはこの部分にオイル汚れの痕跡が残ります。もしここがベタついているなら、日頃のメンテナンス方法を見直したほうがよいかもしれません。
ワタクシ自身は、もう何年もチェーンワックスを使用しています。ワックスは原則としてほぼ飛び散りません。油を撒き散らさない。それだけでディスク環境はかなり安定します。
もちろん、すべてを防げるわけではありません。雨の降り始めなど、路面に浮いた油分が舞い上がることもあります。これはもう運の要素もあります。ただし、その程度であれば多くは乾燥とともに収まります。
ディスクブレーキは繊細です。しかし、過剰に神経質になる必要はありません。正しくチェーンを管理し、無駄な油を飛ばさない。それだけでトラブルの多くは防げます。
鳴くブレーキには理由があります。
そしてその理由はパッド以外のところにある場合もあります。
もちろん、鳴きの原因は油だけではありません。ディスクローターの残量不足や歪み、表面の荒れ、パッドのガラス化などが影響することもあります。ブレーキは摩擦で成り立つ機構ですから、接触面の状態が悪ければ振動は起きます。
ただし、今回取り上げている”制動熱を入れても止まらない鳴き”の多くは、内部に残った油が関係しているケースが少なくありません。
▶キャリパーの不具合
前述のように、多少の表面汚染であれば、制動を繰り返して温度を上げることで油分を飛ばすことができる場合もあります。軽度であれば、これで収まります。
ではなぜ、鳴きが止まらない状態になるのでしょうか。
最も多い原因は、パッドが何らかのオイルを内部まで吸ってしまった場合です。とくにレジンパッドです。レジンは素材構造上、油を内部まで吸い込みやすい性質があります。ここは後ほど詳しく書きますが、構造的に弱いのです。
この状態になると、表面をいくら削っても、洗っても、炙っても再発します。内部に染み込んだ油は、ブレーキの熱で再び滲み出てきます。静かになったと思っても、数日後にまた鳴き出す。経験上、この段階に入ったパッドはほぼ交換しかありません。
そしてこの“止まらない鳴き”の典型例が、キャリパーからのオイル漏れです。
キャリパーからのオイル漏れと聞くと、ポタポタ垂れているような状態を想像するかもしれませんが、実際は違います。ほとんどの場合、一目で分かるレベルではありません。ほんのわずかに、にじむだけです。
ではどうやって見抜くのか。
① パッドのバックプレートへのオイル滲み
通常、この部分にオイルが付着している場合、ピストンシールからの漏れの可能性が非常に高いです。パッドの表面ではなく、裏側に油染みがある。これがサインです。

※テカリとオイルの滲みは間違わないように注意が必要です。
② ブレーキダストの質
通常のキャリパー周りに付着するブレーキダストは、さらさらした粉のようなものです。ところが、どこかからオイルが滲んでいると、ダストが油を含み、ベタつくようになります。指でこすれば分かります。乾いた粉か、粘り気があるか。この差ははっきりしています。
ここまで来ると、パッドだけ交換しても根本解決にはなりません。キャリパー側の処置、場合によっては本体交換が必要になります。
止まらない鳴きには、必ず理由があります。
そしてその理由は、意外と静かに、見えないところで始まっています。
▶レジンとメタル
続いてはパッドの種類に関してです。
レジンは一度でもしっかり油を吸ってしまったものは、基本的に鳴きを完全に消すことはかなり難しいです。
レジンは一度でもしっかり油を吸ってしまったものは、基本的に鳴きを完全に消すことはかなり難しいです。
基本的に焼いても、削っても、一時的な改善にしかならないことが多いです。静かになったと思っても、数日後にまた鳴き出す。ほんの少しのきっかけ、たとえば軽い雨や強めの制動をきっかけに、再び「ファーン」と鳴く。こうなると内部に油が残っている可能性が高いです。
逆に、処置してそのまま鳴かなくなるケースは、内部まで吸っていなかった場合がほとんどです。つまり“まだ浅い”段階だったということです。
レジンパッドは構造上、多孔質です。要するに細かい空間が無数に存在しているスポンジのようなイメージです。その空間を伝って油分が内部まで浸透しやすい。だから厄介です。表面をいくら焼いても、内部から滲み出た油が再び摩擦面に現れ、鳴きが再発します。
ちなみに、バーナーでパッドを焼くという方法。これは正直おすすめしません。パッドは制動熱に耐える設計ではありますが、バーナーの局所的な高温までは想定されていません。実際に某ブレーキパッド専門メーカーの方とも話題になりましたが、あれは非常に危険とのことでした。変質や性能低下のリスクがあります。
ではメタルはどうか。
メタルパッドは密度が高く、油分が内部まで浸透しにくい傾向があります。油が付着しても、レジンより復活する可能性は高いと感じています。雨の日や湿度の高い日には鳴くことはありますが、乾けば収まりやすい。効きも安定している。
少なくともShimanoのメタルパッドは、鳴きづらさと制動の安定感の面ではレジンよりも安定しています。摩耗はやや早いですが、それでも安心感があります。
そして余談ですが、弊店でも扱いのあるGalferのローターは、セミメタルまたはメタルパッド推奨です。代理店からの正式な案内です。レジンだとパッド側が負けやすいとのことでした。ローターの特性とパッド材質の相性は、実際に存在します。
鳴きは偶然ではありません。必ず理由があります。そして一時的に鳴いたとしても、その後収まるかどうかが、大きな分岐点になります。

■まとめ
ディスクブレーキの鳴きは、気持ちの良いものではありません。信号待ちで振り返られるあの瞬間、できれば味わいたくないものです。ただ、必要以上に恐れる必要もありません。
水分による一時的な鳴きは、乾けば収まります。これは通常運用の範囲です。問題は内部に残る油です。レジンパッドがしっかり吸ってしまった場合、表面処理では戻りません。静かになったように見えても、いずれ再発します。
片側だけが鳴き続ける。制動熱を繰り返し入れても止まらない。バックプレートに油染みがある。ブレーキダストがベタつく。こうしたサインが出ているなら、疑うべきは内部汚染やキャリパーの滲みです。
そして継続的な鳴きは、ただの「うるさい」では終わらないことがあります。思わぬトラブルの前兆になっているケースもあります。
また大切なのは、鳴いてからどうするかではなく、鳴かせない運用です。チェーンオイルを付けすぎない。余分な油を残さない。飛散させない。ディスクブレーキは油と相性が悪い、それだけの話です。
ディスクブレーキは正しく扱えば、安定していて、コントロール性も高く、非常に優れたシステムです。鳴きには必ず理由があります。理由があるということは、必ずどこかに“兆し”が出ます。
静かなブレーキは偶然ではありません。整った運用の結果であり、健康な状態です。
もし今、ブレーキが鳴いているなら、まずは原因を探してみてください。ブレーキではなく、別の場所が元凶になっていることもあります。
鳴きが収まらずにパッドを新品に交換する際は、必ずディスクローターの脱脂も合わせて行うことを強くおすすめ致します。
ということで今回は、
ディスクブレーキの鳴きはなぜ止まらないのか?原因と見分け方を解説、そんなお話しでした。
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