もはやロードバイク用ヘルメットの超定番というべき存在まで上り詰めた、KABUTOのAERO-R2です。
レース会場でも、富士ヒルのスタートラインでも、その姿を見ない日はありません。
ワタクシ自身も発売当初に購入し、その後別のカラーを買い直し、何年にもわたり使用してきました。フィット感も悪くなく、性能に不満もなく、いわば「安心の王道」です。
ただ、1点疑問に思うことがありました。
AERO R2を、本来の最大空力を発揮する形では使用していない、ということです。
AERO R2を、本来の最大空力を発揮する形では使用していない、ということです。
エアパスプレートは外したまま。どこへ行ったのか分かりません(笑)。
最高空力性能を謳うバイザーは、実質ほぼ未使用です。
それでも特に不満があったわけではなかったのですが、——
ならば。
プレートも、バイザーも使わないなら、それらに依存しない設計の方が早く走れる、楽に走れるのではないか、ということです。
そんな疑問から、今回候補に上がった中の一つが、LIMAR AIR ATLAS UAP でした。
なお、LIMARはワールドツアーチームも実戦で使用しているブランドでもあります。
いわば「プロスペック」でありながら、国内ではまだ情報が少ない存在です。
正直なところ、情報は驚くほど少なく、公式資料をなぞったような説明ばかりで、実走インプレはほとんど見当たりません。国内レビューも皆無に近い状態です。
だからこそ、試す価値がある!ってものです。
王道から一歩外れた選択肢は、本当に“外れ”なのか。
そればかりは実際に試してみないとわかりません。
ということで今回は
王道からあえて外す|KABUTO AERO-R2 vs LIMAR AIR ATLAS UAP エアロヘルメット徹底比較 です。

■ 外観比較
比較対象はもちろん長年愛用している、KABUTO AERO-R2 です。
・AERO R2:S/M(55–58cm)245g(カタログ値)
・LIMAR AIR ATLAS UAP:M(54–58cm)276g(カタログ値)
✓ 前面

全体の形状、設計思想の違いが見て取れます。
R2は前面にエアインテテーク、サイドにはボルテックスジェネレーター的な突起構造があります。
これらの構造により、正面からの空気の流れを意識したような印象です。
一方、AIR ATLAS UAPは前面だけでなく、サイド・上面にも広くインテークが配置されています。
通気性と重視しながら空力も狙う、という設計思想が感じられます。
実際の通気性能については、後述します。
✓ 上面

この角度では設計の違いがより明確です。
R2は中央にエアパス構造を持ち、センターから後方へ空気を抜く構造です。
縦方向にやや長く、直進安定を意識した形状に見えます。
一方、LIMAR AIR ATLAS UAP の最大の特徴は、後方に装着される拡張パーツ「UAP System」(取り外し可能)です。
ヘルメット全体は丸みを帯びたシルエットで、そのラインがUAP Systemへとなだらかに繋がります。
この構造により、単なるロングテールではなく、様々なヨー角からの風を後方へ整えて流す設計思想が感じられます。。
✓ 側面
R2は後端が丸く、比較的オーソドックスなエアロ形状で、後方のウェイクスタビライザー(PAT.)が特徴です。
AIR ATLAS UAPはUAP System構造もあり、後部のUAP Systemが明確に張り出し、整流を意識したラインで、後頭部側面にまでエアインテークがあります。
極端なロングテールではなく、
「やりすぎていないエアロ」という印象です。
このデザインは好みが分かれると思ますが、個人的には好きです。
このデザインは好みが分かれると思ますが、個人的には好きです。
✓ シェル比較(重要)
シェル構造はかなり印象が違います。
写真を見ると、
・AIR ATLASの方がシェルの厚みがしっかりしている
・EPS(発泡素材)の露出が少ない
・塗装範囲が広い
という点が確認できます。
AERO R2は軽量性を重視した構造に見えます。
この構造差が重量差に影響している可能性は高いと考えられます。
■ 重量比較
✓AERO R2(エアパスプレート・バイザー無し)

実測 237g
カタログ値より軽く、非常に優秀な数値です。
✓AIR ATLAS UAP

実測 292g(タグ無し290g)
カタログ値(276g)との差は、UAP拡張パーツの影響が大きいと考えられます。
ともあれ、前述のように全体的、特にサイド部のシェルの厚みが全然違いますので、その分の重量差だと思われます。
また、重量配分にもわずかな差が見られます。
AERO R2は逆さに置いた際、ほぼ水平に安定しますが、AIR ATLAS UAPはわずかに後方へ傾きます。
これは両者の重量配分の違いによるものと考えられます。
特にUAPは後頭部側に拡張構造を持つため、重心がやや後方寄りに設定されている可能性があります。
■ サイズ感とフィット
これは要注意なところですが、双方カタログ上はMサイズ~58cmまでの数値的には同じサイズ感の製品ですが、AIR ATLAS UAPのほうが明らかに、一回り小さく見えます。
パッケージから出した瞬間「小さいな」と感じたぐらいです。
双方Mサイズですが、サイズ感的には
AERO R2はアジャスターを調整したくなるサイズ感、フィット感若干甘め、サイズ感大きめ、最終的にはアジャスターを締めて固定、汗対策のヘッドバンド(HALO)をしてちょうどよい。そんなイメージです。
一方のAIR ATLAS UAPは頭はほんの気持ち浅めではありますが、アジャスターを調整しなくても頭蓋骨の形にピタリとハマる、シェルそのものが頭蓋骨に沿う密着型です。
圧迫感はなく、面で支えるフィット感です。
ただし注意点として、頭の形があっていなかったり、AERO R2でギリギリ入るぐらいのサイズ感の場合は、同サイズだときつい可能性があります。
ヘルメットはあくまでも頭の形に合うかどうか「相性」がありますので、ワタクシ自身の頭の形にはAIR ATLAS UAPのほうがジャストフィットしてくれたようです。
やはり最新のヘルメットのアジアンフィット、侮れないです。
そしていわゆるきのこ感です。
サイドの厚みの割に被ってみると、正面から見たシルエットがスリムです。

■アイウェアとの相性
ヘルメット選びで意外と重要なのが、アイウェアとの相性です。
今回は”KOO Spectro”で確認しました。
(個人的に最近、めっきりKOO派です。)
(個人的に最近、めっきりKOO派です。)
大きく分けて2つの観点があります。
① アイウェア着用時の干渉
ヘルメットによっては、アイウェアを着用した際に、テンプル(ツル)の後方がヘルメットに干渉して、押されることがあります。
長時間ライドでは、このわずかな干渉がストレスになります。
AIR ATLAS UAPは、
・ツルの干渉なし
・アイウェア上部のフレームも干渉なし
という結果でした。
フィットが密着型であるにもかかわらず、アイウェアとのクリアランスはしっかり確保されています。
かなり深い前傾をとってもアイウェアの上部が気になることもありませんでした。
この点は非常に優秀です。
② アイウェア収納構造(アイウェアベッド)
走行中にアイウェアを外し、ヘルメットに差す場面もあります。
ここはKABUTO AERO-R2のほうが上でした。
R2はインテーク形状が深く、アイウェアがピタリと固定されます。
一方、AIR ATLAS UAPは浅く差す分には問題ありませんが、深く差し込むとテンプルが頭に刺さります(笑)
Spectroの場合はこの傾向がありました。
もちろんアイウェアの種類によって結果は変わる可能性があります。
③ 空力とのバランス
そもそも空力を重視するのであれば、ヘルメットにアイウェアを差したまま走ること自体が理想とは言えません。
外す場合は、後頭部下にかけたり、ジャージポケットに収納するほうが合理的かもしれません。
■ 実走での違い
まず、どちらかが劇的に速い、ということはありません。
というのもAERO R2も空力的に明らかに劣っているような製品ではないからです。
というのもAERO R2も空力的に明らかに劣っているような製品ではないからです。
しかし、以下のような違いは感じました。
・高速巡航時に頭が軽い(特に下りも)
・向かい風で自然に進む(調子が良い時のように感じる)
・首の補正動作が減る
LIMAR AIR ATLAS UAP は、風洞実験だけでなく実走テストも重ねられているとされていますが、体感としても空気の流れが整っているような印象を受けました。
重さに関してです。
重量は実測値で約50g重いにもかかわらず、重さは一切感じることはありませんでした
数値だけを見ると不利に見えますが、体感では逆です。
これは重量そのものよりも、
・フィットの質
・重心位置
・シェルの安定感
が影響している可能性があります。
断定はできませんが、少なくとも「重い」と感じることはありませんでした。
風の抜け方・通気性についても違いを感じました。
AIR ATLAS UAPは、後頭部に向けてスースーと抜ける感覚があります。
R2では感じられたことのない感覚で、風の流れ方が異なる印象です。
これまでR2の風抜け感に慣れていたからこそ、AIR ATLAS UAPの“後方へ流す”ような抜け方がより明確に感じられました。
設計思想の違いが、風の流れにも表れているのかもしれません。
■ まとめ
ロードバイクのヘルメットは、もはや単なる安全装備ではありません。
空力性能により、速く走るための“ギア”のひとつ。そう言ってもよい存在になっています。
みんな大好きGCNの風洞テストでは、一般的なヘルメットとエアロヘルメットで45km/h時に最大約16Wの差が示された例もあります。
今回始めて購入してみたLIMAR AIR ATLAS UAPは、風洞と実走テストを重ね、通気性や重量を犠牲にせずエアロ性能を追求する——
というメーカーの主張は、少なくとも体感としては納得できるものでした。
ワタクシ自身の実際に使ってみた感想として、重さは特に気になることはなく、高速巡航での安定感や向かい風での自然な進み感が印象的でした。
そして何よりも重要なのは、フィット感です。
ヘルメットの評価は頭型との相性で大きく変わります。
今回ワタクシの頭にはLIMAR AIR ATLAS UAP が明確に合いました。
しかしこれは万人に当てはまる話ではありません。
KABUTO AERO-R2 が合う方も当然いると思います。
だからこそ、可能であれば購入前に必ず試着して、自分の頭に合う一つを選ぶべきだと感じました。
ということで今回は、
王道からあえて外す|KABUTO AERO-R2 vs LIMAR AIR ATLAS UAP エアロヘルメット徹底比較
そんなお話でした。
もちろんお取り寄せも承っております。
気になる方はお気軽にご相談ください。
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