昨年の冬頃の話です。
SHIMANOのDURA-ACEホイールが、各所で一斉に値を下げ始めました。

単なる年末の在庫処分SALEといえばそれまでですが、大手各社あまりにもタイミングが揃っていたことに違和感を覚えていました。
そこから予想できることはもちろん「次が来るのではないか」という空気が業界内に流れていたことです。

そして今回の報道です。

つい先日、行われたのレース、Omloop Het NieuwsbladでMathieu van der Poel(以下マチュー)が使用していた未発表のホイールの存在です。

写真を拡大すると、リムには「622 × 23TC」との表記があります。
内幅23mm、フックあり、ワイドタイヤ前提設計であることが読み取れます。

さらに報道によれば、このホイールは昨年春にマチューが使用していたものと同型の可能性があるといいます。

もしそれが事実であれば、話は少し具体的になります。

昨春に実戦投入。
冬に現行モデルの値引き。
そして今、改めて表舞台に姿を見せた。

ここでひとつ、無視できないルールがあります。
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■ UCIの規定という時間軸
自転車競技を統括するUnion Cycliste Internationale(UCI)には、機材に関する技術規則があります。

その中のひとつに、いわゆる「12か月ルール」と呼ばれる規定があります。

プロレースで使用されたプロトタイプ機材は、原則として初使用から12か月以内に市販されなければならない、というものです。

市販を前提としない“プロ専用機材”の使用を防ぐための規則です。

正当な理由がある場合には延長申請が可能ですが、認められるのは一度のみとされています。
延長後も、市販可能な状態にすることが前提です。

もし販売されなければ、その機材は競技での使用が認められなくなります。

もちろん、今回のホイールがどの形式で登録されているのかは外部からは分かりません。
既存モデルの改良扱いであれば別の扱いになる可能性もあります。

それでも、昨年春から実戦投入されているという情報が事実であれば、時間はすでに動いていることになります。

発売が近いと見るのは、自然な流れかもしれません。

■ 実戦で確認された新型ホイール
✓ リム表記:622 × 23TC
・700c(ETRTO 622)
・内幅23mm
・TC=Tubeless Crocheted(フックあり構造)
・フックレス(TSS)ではない
現行Dura-Ace WH-R9270-C50-TLが内幅21mmであることを踏まえると、2mm拡大されています。

✓ 対応タイヤ幅
リムに貼られたステッカーには、最大許容空気圧とともに対応タイヤ幅が示されています。
最小幅:28mm
最大幅:45mm
28mm以上を前提とした設計であることが確認できます。

✓ カーボンスポーク採用
画像からは、金属スポークではなくカーボンスポークが使用されていることが確認できます。
エアロ断面形状
隠しニップル仕様
ハブ形状は現行に近い印象

SHIMANOとしては大きな構造変更です。

リム側面には製品ロゴが確認できません。
試作段階の可能性、正式発表前の仕様であることがうかがえます。

✓ リムハイト
記事内の記述および写真から、50mmクラスのリムハイトであると見られています。
現行と同様、50mmクラスのオールラウンドハイトと見られます。


■ 今回のホイールから考えられること
内幅23mmに30cタイヤを装着した場合、実測で31〜33mm前後になる傾向があります。
タイヤの銘柄や形状によって多少の差はありますが、おおよそその範囲です。

現在の主流は28cです。
一方でプロの世界では、今回のように30cもすでに一般的になりつつあります。

そしてSHIMANOの製品更新周期を考えると、先を読んだ設計でなければ数年単位で戦うことはできません。

これらの点を踏まえると、外幅は31〜32mmクラスで設計されている可能性があります。

もしそうであれば、

28mm最適化から、30mm最適化へ。

単なるトレンド追従ではなく、実走の積み重ねから導かれた最適解への移行と見ることもできます。

また、フックレスへ移行していない点もSHIMANOらしさと言えるでしょう。

尖らない。
それでも、ど真ん中をまっすぐ進む。

今回の設計も、その延長線上にあるように見えます。


■ 肝心の新型コンポは…
今回のホイールのように、実際のレース機材の写真や報道から、ある程度の製品化に関する情報は読み取ることができます。

しかしです。
肝心のコンポーネントについては、現時点でほとんど何も見えてきません。

これまでであれば、新型コンポーネントの刷新は、コンポ単体ではなくホイールなども含めた同時発表が一般的でした。
いわば“一斉更新”です。

しかし近年は、その流れではなくなってきています。

ペダルの更新は長らく止まったまま。
リムブレーキも刷新というより、型番を整理しながら継続している状況です。

まとめて大きく発表する、という形ではなくなってきているのだと思います。

今回の新型コンポーネントに関しても、
・スパイショットはほぼ皆無
・テスト機材の流出もなし
・目に入るのは特許関連の情報程度
という状態です。

つまり、風は立っていない。極めて穏やかなままです。

Shimano という企業体質を考えれば、情報管理が徹底されていることは事実でしょう。

しかし少なくとも現時点では、“動いている形跡”は見えません。

そう考えると、
・今回の更新はホイール単体である可能性が高い
・コンポは、まだその時ではない
このように考えるのが自然ではないでしょうか。

正直なところ、かなり楽しみではあります。
ただ、その出番はもう少し先になりそうです。



■ まとめ
今回は、おそらく製品化が近いと思われるカーボンスポーク採用の新モデル、型番はWH-R9370ではないかと推測されるホイールの話でした。

・初期タイプは昨年春に実戦投入
・冬には現行モデルの一斉値下げ
・そして今回、改めて姿を見せた新型ホイール
そのスペックは、内幅23mm、ワイドタイヤ前提設計、そしてカーボンスポーク採用です。

しかし確実に、現代の実走環境へ最適化されています。
尖らせるのではなく、ど真ん中を貫く。それが今回の進化に見えます。

個人的には、SHIMANOがカーボンスポークを採用したことは、かなり思い切った決断だと感じています。

あとは、この技術がULTEGRA以下のグレードにどう反映されるのか。
リムのワイド化は進むとしても、カーボンスポークまで採用するのか。
それとも、そこに明確な差別化を設けるのか。
このあたりは、今後の注目点です。

一方で、コンポーネントはまだ静かなままです。
だからこそ、今回の動きはホイール単体の刷新と考えるのが自然でしょう。

新型DURA-ACEホイールは、発売が近いのではないかと見ています。

しかし新型コンポーネントはというと――まだ、その時ではないのかもしれません。

SHIMANOは、発表するまでは何も語らない企業です
楽しみは、少し先へ取っておくことにします。


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