Michelin Power Cup TLRは、現在非常に評価の高いチューブレスレディタイヤの一つです。
今回はワイドリム(内幅23.4mm)環境で約2200km使用し、その実走インプレッションをまとめてみました。
■ なぜパワーカップを選んだのか
今回はワイドリム(内幅23.4mm)環境で約2200km使用し、その実走インプレッションをまとめてみました。
■ なぜパワーカップを選んだのか
しなやかさと転がり性能の評価が高いタイヤとして知られている
Michelin Power Cup TLRです。
また、ワイドリム環境でどのような挙動になるのかも、実走で確認してみたいと思っていました。
今回使用したのはMichelin Power Cup TLR 28Cです。
パワーカップを使う前は、
・フロント:Eagle F1 SUPER SPORT R TLR 28c
・リア:Panaracer AGILEST FAST TLR 30c
という組み合わせで使用していました。
フロントのEagleに関しては全く不満がありませんでしたが、今回は思い切って、前後ともに MICHELIN Power Cup TLR に変更してみました。
本当は30cも視野には入れていましたが、パワーカップはワイドリム(内幅23mm前後)に装着すると、かなり太くなる傾向があります。
空気充填後の太さを考慮して、今回は 28c を選択しました。
それでも、AGILEST FAST の28cと同じくらいの太さになるのではないかと予想していました。
実際には
・組み付け直後:29.8mm
・使用後:30.6mm
まで広がりました。
このあたりは、だいたい予想通りです。
また、Bicycle Rolling Resistance でも優秀な結果が出ているタイヤなので、一度使ってみたいと思っていたというのも正直なところです。
ということで、今回は Power Cup TLR を実際に使ってみたインプレッションを書いていきます。

■ 使用環境
今回のテスト環境は以下の通りです。
走行距離 トータル:2268km
前後ともにパワーカップ TLR 28cリアは1113km時点で再利用不可なほどのパンク。
その後、フロントをリアへ移して 1155km使用。
※この際にフロントは Eagle F1 SSR に交換
・体重:約 61kg
・フレーム:WINSPACE M6 Mile Master
・ホイール:Lún Hyper Light
・ホイール:Lún Hyper Light
・リム内幅:23.4mm
・タイヤ実測幅:約30.6mm(使用後実測寸法)
※28C表記ですが、ワイドリムの影響もあり、実測では30mmを超えるサイズになりました。
・空気圧:おおむね 4.4〜4.8bar
・使用季節:主に 冬季
※最低気温は −8℃。パンクが発生したときは −4℃ でした。
今回のインプレッションは、この環境で約2200km走行したうえでのものになります。
特に今回は
・ワイドリム(内幅23mmクラス)
・ワイドリム(内幅23mmクラス)
・実測30mm超のタイヤ幅
・比較的軽量ライダー
という条件になりますので、同じタイヤでも環境によって印象は変わる可能性があります。
その点は前提として読んでいただければと思います。
AGILEST FASTもとても良く転がるタイヤですが、パワーカップもAGILEST FASTとは少し違った感触の転がり方をするタイヤだと感じました。
そしてもう一つ、非常に強いゴム感のあるしなやかさです。
比較となるAGILEST FAST の30cはかなり摩耗をしていた状態、ということを考慮しても、AGILEST FASTの30cと乗り心地、コンプライアンスに大きな差はないと感じました。
このことからもパワーカップは比較的柔らかめのタイヤだと感じています。
■ 第一印象
走り出してまず感じたのは軽く転がる、走りの軽さです。
重量の差は、AGILEST FASTの30cとは10gの差です。
ですが、これは10gの差を感じているのではなく、転がり抵抗そのものの低さだと思います。
重量の差は、AGILEST FASTの30cとは10gの差です。
ですが、これは10gの差を感じているのではなく、転がり抵抗そのものの低さだと思います。
Power Cupで最も強く感じた長所は、この転がり性能だと思います。
前に進む抵抗が少なく、直線ではとてもよく進みます。
AGILEST FASTもとても良く転がるタイヤですが、パワーカップもAGILEST FASTとは少し違った感触の転がり方をするタイヤだと感じました。
直進性能に関しては、かなり優秀だと感じています。
そしてもう一つ、非常に強いゴム感のあるしなやかさです。
よくある軽量タイヤのように、ケーシングが柔らかいという感じではありません。
そうではなく、ゴム感が強いという印象でした。
実際に走り出してみると、タイヤが路面を掴みながらも、どこか「もちもち」とした独特の感触があります。
このあたりは、これまで使ってきたタイヤとは少し違う方向のしなやかさだと感じました。
比較となるAGILEST FAST の30cはかなり摩耗をしていた状態、ということを考慮しても、AGILEST FASTの30cと乗り心地、コンプライアンスに大きな差はないと感じました。
このことからもパワーカップは比較的柔らかめのタイヤだと感じています。
■ コーナーリングの特徴
その後乗り込むことで、一つ気がついた大きな特徴、ワタクシに取っては小さくはないデメリットに気が付きました。それは何かというと、コーナーリング時の独特なクセのような反応があります。
・一定以上バンクすると、「ゴーッ」というロードノイズが発生
・コーナーリング途中でのフロントからの巻き込み感と減速感
が出ます。
重要なのはコーナーリング中、一定のバンク角を超えると発生する、ということです。
特に低速~中速コーナーで強く感じました。
つまりコーナーリングが遅いということです。
同条件で比較したタイヤ
・AGILEST FAST
・Goodyear Eagle F1 R SuperSport
これらでは減速感や巻き込み感は一切出ませんでした。
そのためパンクを機会に、フロントをEagleへ変更しました。
結果、コーナーリングの速度は明らかに上がりました
なぜかどうかは不明ですが、推測では23mmを超えるワイドリムとパワーカップの設計があっていな異可能性等が考えられます。
■ 考察
今回のコーナーでの違和感について、写真や摩耗の状態から少し考えてみました。
まず、組み付け前のタイヤを見ると、
Eagle F1 SSRとPower Cupでトレッド幅にそこまで大きな差はありません。
組付け前の状態では、EagleとPower Cupのトレッド幅には大きな違いは見られません。
しかしホイールに組み付けて空気を入れると、トレッド幅には明確な差が現れます。
実際に測定してみると、
Eagleが 26.5mm に対して、Power Cupは 23.3mm とかなり狭くなっています。
さらにタイヤの摩耗状態を見ると、トレッドの外側まで接地しているような跡が確認できます。

なお、ワタクシ自身は低速域のコーナーリングではペダルを回した際に ペダルヒットする程度までバイクを倒すことがあります。
このレベルのバンク角であれば、フロントタイヤはトレッドのかなり外側まで接地する可能性があります。
このことから考えると、コーナーで感じていた
・ゴーという摩擦音
・減速感
・フロントの巻き込み感
これらの正体は、深いバンク時にトレッド外の部分が接地していることによる抵抗増加ではないか、と考えることができます。
トレッド部分は、当然ながら転がり抵抗を抑えることを前提に設計されています。
しかしトレッド外の部分は、必ずしも転がり性能を考慮した接地を想定しているわけではありません。
そのため、強いバンクでトレッド外が接地すると、
・摩擦音が発生する
・転がり抵抗が増える
・フロントの挙動に違和感が出る
という現象として現れている可能性があります。
では、なぜこのような現象が起きるのでしょうか。
■ ワイドリムとの相性についての仮説
ここで一つ思い出したのが、以前から聞くことのある
「Power Cupは旧ETRTO規格を前提にした設計ではないか」
という噂がどこから出てきたのか、その理由の一端が見えてくるようにも感じました。
ただしこれは、出どころがはっきりしている情報ではなく、あくまで海外フォーラムなどで見かける噂レベルの話です。
しかし今回の現象を整理していくと、この話と一致する部分も見えてきます。
組み付け前の状態ではトレッド幅に大きな差はありません。
ところが、ワイドリムに組み付けて空気を入れると、Power Cupのトレッド面は相対的に狭く見える断面になります。
この差は、リム内幅によるタイヤの膨らみ方の違いで説明できる可能性があります。
もしPower Cupが、現在よりもやや狭いリム内幅を前提に設計されているとすると、現在のような内幅23mmを超えるワイドリムでは、タイヤの膨らみ方が設計時の想定と変わってしまう可能性があります。
その結果、
・トレッド面の位置関係が変わる
・強いバンク時にトレッド外が接地しやすくなる
という動きが起きているのかもしれません。
もちろん、これはあくまで今回の観察から導いた一つの仮説です。
しかしこうして一つ一つ現象を紐解いていくと、
「Power Cupは旧ETRTO設計ではないか」
という噂がどこから出てきたのか、その理由の一端が見えてくるようにも感じました。
■ 耐久性とトラブル
2268kmの使用中に発生したトラブル
・リアセンタートレッドの亀裂

使用状況としては、基本的に氷点下でもウエットでも走りますのでそこまで優しい環境下ではないと思います。
実際に少々過酷気味に使用してきたパワーカップの印象としては、傷が付きやすいわけではない、しかし傷が入るとパンクにつながりやすい、ということです。
つまり傷は入りづらいですが、入るとパンクにつながるような深いものになりやすい印象です。
✓摩耗耐性

✓摩耗耐性

フロントで約1100km使用した後、リアに移動してさらに1100km。
累計約2200km走行した状態です。
センターのモールドラインはまだ薄く残っており、極端な台形摩耗も見られません。
はっきり言って、摩耗耐久性自体は全く悪くない印象を持っています。
少なくとも摩耗という意味では、耐久性が低いタイヤとは感じませんでした。■ 追記 気温による変化
その後800km(累計3000km)走行してみての追記となります。
流石に3000kmともまると若干ですが、トレッド面のセンターは扁平化により摩耗を感じるようになっております。
①トレッド面の傷に関して
この記事を書いた時期は真冬で、使用環境は −8℃〜数℃程度の低温でした。
流石に3000kmともまると若干ですが、トレッド面のセンターは扁平化により摩耗を感じるようになっております。
①トレッド面の傷に関して
この記事を書いた時期は真冬で、使用環境は −8℃〜数℃程度の低温でした。
この時期は、トレッドに深い傷が入ることがある、という印象をもっていました。
ところがその後、気温が上がり 氷点下を走らなくなってからも使用を続けているのですが、トレッドに入る傷の量が明らかに減りました。
もちろん路面状況や走り方など条件の違いもあるため、これだけで断定はできません。
しかし体感としては、氷点下の低温時の方がトレッドが傷つきやすい印象があります。
もしそうだとすると、MICHELINのコンパウンドは低温時にやや硬くなり、その結果として傷が入りやすくなっている可能性も考えられます。
あくまで今回の使用環境で感じた一つの仮説ですが、氷点下では通常の気温と比較して、傷が入りやすいのかもしれないと感じたポイントでした。
②気温とタイヤの柔らかさに関して
②気温とタイヤの柔らかさに関して
一年のうちでももっと寒い時期を終え、徐々に気温が高い日(8~10℃以上)がでてきました。
気温が上がったことで感じた変化ですが、明らかに乗り心地が良くなり、タイヤがしなやかに動くように感じました。
低温時に感じていた「やや硬い印象」が薄れ、タイヤ本来のしなやかさが出てきたような感覚です。
新品の状態は低温時でも柔らかさを感じていましたが、摩耗が進行するにつれ硬さを感じるようになっていました。しかし気温が上がることで、低温時に感じていた嫌な硬さが取れ、全体的に丸くなったような印象を受けました。
摩耗は進行していますが、やはり気温が上がることでもタイヤはしなやかに動くようになるようです。
もちろん、これはPower Cupに限った話ではなく、AGILEST FASTなど他のタイヤでも低温では硬さを感じることはあります。
ただ今回の印象としては、Power Cupは特に温度の影響を受けやすいタイヤなのかもしれないと感じました。
あくまで使用環境からの一つの仮説ではありますが、氷点下と10℃前後でフィーリングの変化を感じているのは事実です。
■まとめ 総評
Power Cup TLRは、
・転がりが非常に軽い
・ゴム感(弾力性)のあるしなやかさ
という魅力を持ったタイヤで、直線ではとてもよく進み、走っていて気持ちの良いタイヤだと感じました。
しかし一方で、条件によってはコーナーで特徴的な挙動が出る可能性もあります。
今回のワタクシ自身の使用環境では、ワイドリムとの組み合わせによって、コーナーで減速感や巻き込み感といった挙動が現れました。
逆に言えば、現行モデルの中ではナローリムとの相性が良い、貴重なタイヤなのかもしれません。
逆に言えば、現行モデルの中ではナローリムとの相性が良い、貴重なタイヤなのかもしれません。
今回の結論を正直に言うなら、「良いタイヤだが、条件によって弱点もある」という印象です。
タイヤは性能だけでなく、ホイールやリム幅との相性も大きく影響する、そんなことを改めて感じたテストでした。
では肝心の
「で、結局どうなの?」
という話ですが……
ワタクシはかなり好きです(笑)
多分また使います。直線の気持ちよさと、独特のしなやかさ、このタイヤならではの魅力は確かにあります。
ただし、使う環境によっては少しクセのあるタイヤになるかもしれません。
そこだけは残念なところです。新型のパワーカップ、ぼちぼち来るのではないかと思っているのですが、楽しみです。
ということで今回はMichelin Power Cup TLRレビュー|2200km走ってわかった長所と弱点。そんなお話しでした。
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