Panaracerから登場した新型ロードバイク用タイヤ AGXERO TLR。
AGILESTシリーズの新モデルとして登場し、耐パンク性やグリップ性能の向上が大きくアピールされています。
しかし実際のところ、
・AGILEST FASTとの違いは何なのか。
・転がり抵抗はどうなのか。
・レース用タイヤとして本当に速いのか。
気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、Panaracer AGXERO TLR(28c) を実際に装着し、約130kmほど実走してみました。
乗り出しの印象、コーナリング性能、剛性感、乗り心地など、実際に走って感じた特徴をまとめてみます。
AGILEST FASTとの違いや、このタイヤがどんな用途に向いているのかも含めて、実走インプレッションとして紹介します。
AGXERO、初乗りはいきなりのウエットの幹線道路、いいテストになる! pic.twitter.com/JVJ9d43Bt5
— Teppei.Y 目指せ走れるメカニック!! (@ff_cycle) March 4, 2026
■ 初代AGILEST TLRの印象
まず前提として、初代AGILEST TLRは25cも28cもかなり使い込みました。
使い込んだうえでの正直な感想としては、
「クリンチャーが得意なメーカーが作ったTLR」
という印象が強いタイヤでした。
パナレーサーはクリンチャータイヤの評価が非常に高く、同社の軽量チューブ R-Air と組み合わせたクリンチャー仕様では、剛性バランスが非常に良いと感じていました。
ところがTLRになると印象が変わります。
チューブが存在しない分、タイヤ単体の構造がそのまま性質として現れるため、高出力をかけたときにタイヤの腰の弱さを感じる場面がありました。
そのため
・クリンチャーでは非常に完成度が高い
・しかしTLRはしなやかだが、場面によっては腰砕け感がある
というのが、当時の率直な印象でした。
その後に出たAGILEST FASTはクリンチャーから使用していましたが、これは確かに速いタイヤで、腰砕け感も一切なく、非常に気に入っていました。
■ AGXEROについて
では、今回登場した AGXERO はどのようなタイヤなのでしょうか。
メーカーの説明によると、今回の開発コンセプトは
・耐パンク性能の向上
・グリップ力の強化
この2点が大きなポイントになっています。
その結果として、従来のAGILEST系タイヤと比較すると重量は約20g増加しています。
この重量増は、トレッド厚やケーシング構造の変更によるものではないかと考えられます。
つまり今回のAGXEROは、
これまでの「転がり重視のAGILEST系」とは少し方向性が異なり、耐久性や安心感を強めたモデル、として位置付けられているようです。
メーカーのポジションマップを見ると、AGXEROは
・AGILESTより上のパフォーマンス
・FASTほどのレース志向ではない
という位置に置かれています。
では、実際に走るとどう感じるのでしょうか。

■ AGXERO TLRの使用条件
今回テストした条件です。
サイズ:28c(リアのみ)
リム内幅:23.4mm
リム外幅:31mm
空気圧:4.5bar
実測幅:装着直後 28.6mm
130km走行後 29.0mm

公式では、内幅23mmリム装着時で約30mmという数値が示されています。
しかし今回のように、23mmよりもさらに広いリムに装着しても29mm程度と、やや細めな印象でした。

同社の AGILEST FAST は同条件でおおよそ30mm程度になります。
タイヤを組み付ける際に触った感触でも、AGXEROは明らかにタイヤ自体の剛性が高いように感じました。
組付けは極めて楽でした。
組付けは極めて楽でした。
AGILEST FASTとAGXEROを双方を平置きして比較すると、タイヤ単体の幅はほぼ同じです。
そのため、AGXEROはタイヤが膨らみ(伸び)にくい構造になっている可能性があります。
それでもリム外幅よりも約2mm細い状態となると、リムヒットには多少気を使う場面が出てくるかもしれません。
またエアボリュームがやや少なくなるため、コンプライアンスの面ではやや不利になる可能性も考えられます。
実測重量:271g
(カタログ重量は270gなのでかなり正確だと思います。)
ライダー体重:61kg
バイク重量8.5kg前後
■ 実際に乗ってみた感想 AGXERO インプレッション(カタログ重量は270gなのでかなり正確だと思います。)
ライダー体重:61kg
バイク重量8.5kg前後
✓乗り出しの印象
プロモーションも多く、期待値はかなり高い状態で試しました。
まず一発目、乗り出しの最初に感じたのは、残念ながら軽さはあまり感じない、ちょっとだいぶもっさりしているな、という感想でした。
まず一発目、乗り出しの最初に感じたのは、残念ながら軽さはあまり感じない、ちょっとだいぶもっさりしているな、という感想でした。
ここ最近はAGILEST FASTやパワーカップなど、転がり抵抗の低いタイヤを多く使用していたことも影響していると思います。
それでもやはりどうしても、重いというほどではありませんが、いわゆる低転がり抵抗タイヤのような軽快さはありませんでした。
そのため「転がりの軽さ」を一に期待すると、少し印象は違うと思いました。
もちろん重量の影響もあるのかもしれません。
AGILEST:250g、FAST:275g
それと共に感じたのは乗り出しの印象としては、VittoriaのCORSA N.EXTに近いイメージです。
転がりが軽いわけではありませんが、タイヤの剛性感はしっかりとしていて、頑丈で安心感のある乗り心地、というタイプのタイヤです。
もちろん重量の影響もあるのかもしれません。
AGILEST:250g、FAST:275g
AGILESTは重量が軽く、FASTは転がり抵抗が低く、双方非常に軽快に感じるタイヤです。
一方、今回のAGXEROは270g、
転がり抵抗はAGILEST同様、となるとやはり重さを感じざるを得ないのかもしれません。
転がり抵抗はAGILEST同様、となるとやはり重さを感じざるを得ないのかもしれません。
また交換前に使用していた Michelin Power Cup は約285gと重量は重いのですが、実際の走行では軽快に感じます。
このあたりを見ると、やはりタイヤは重量よりも転がり抵抗の影響の方が、走行感覚には大きく影響しているのかもしれません。
※大きな上りを走っていない影響も考えられます。
※大きな上りを走っていない影響も考えられます。
それと共に感じたのは乗り出しの印象としては、VittoriaのCORSA N.EXTに近いイメージです。
転がりが軽いわけではありませんが、タイヤの剛性感はしっかりとしていて、頑丈で安心感のある乗り心地、というタイプのタイヤです。
✓走行時の違和感
走り出してすぐ、違和感のようなものを感じました。
それは直進時の走行感です。
なんというか、いつものタイヤよりもリア側の動きが少し敏感になったような印象がありました。
それは直進時の走行感です。
なんというか、いつものタイヤよりもリア側の動きが少し敏感になったような印象がありました。
ふらつくというほどではありませんが、直進時の安定感がやや薄く感じられます。
最初は理由がよく分からなかったのですが、しばらく走っているうちに、おそらくこの特徴が原因ではないかと感じました。
AGXEROは見た目は普通に丸いタイヤです。
装着した際も、一般的な28cよりやや細く見える程度で、特別尖っているような印象はありませんでした。
しかし実際に走ると、接地の感覚はやや三角形に近い印象を受けました。
これは旧モデルRace Evo4 を思い出させるような感覚です。
センター接地面が少なく感じ、バンクした際に接地面が広がるような感覚があります。
結果的に倒し込みが速く、バンクが付いた状態でもぴたりと安定している印象です。
あくまでも推測の粋ですが、転がり抵抗を下げるためにセンター接地を絞っている設計ではないかということです。その結果として、直進ではやや接地感が少なく感じるものの、コーナーリング時には高い安定とグリップを生む、という特徴になるのかもしれません。
✓コーナー性能
前述のように、コーナリング性能はかなり良いです。
倒し込みは極めて俊敏で軽く、バンクした後の安定感も非常に高いです。
そのため、コーナーでは安心感を持ってかなり速いペースで走れるタイヤだと感じました。
もちろんタイヤを滑らすような乗り方はしないので限界値はわかりません。
それでもグリップ感は高く、ロードインフォメーションも比較的わかりやすい方だと思います。
後心地としては柔らかくしなやかに曲がっていく感覚ではありませんが、がっちりを路面を掴みながら曲がっていくような印象でした。
ウエット走行を含めても、縦横ともにグリップ力はかなり高いのではないかと感じました。
✓剛性の変化
正直なところ、初代 AGILEST TLR は剛性感がやや弱いと感じていました。
高出力で踏んだ際に、場面によってはタイヤの腰が少し逃げるような感覚があったためです。
しかし今回の AGXERO では、その部分が明確に補強されているように感じました。
タイヤの腰は非常にしっかりしており、高出力で踏んでも腰が抜けるような感覚はなく、ダンシングでも反応は非常に良好でした。
この点は旧モデルよりも明確に進化しています。
この剛性感の高さの影響だと思いますが、40km/h以上の速度域での動きは抜群に良いです。
高速でも安定しますし、安定感も抜群です。
おそらくこのタイヤはレース使用、高速巡航、高出力対応といった条件を想定して設計されているのではないかと感じました。
そのため、ある程度速度が乗った状態、あるいは出力がしっかり出ている状態で、本来のパフォーマンスを発揮するタイプのタイヤなのかもしれません。
✓乗り心地
個人的には、もう少し AGILESTのようなしなやかさを期待していました。
しかし実際に乗ってみると、その点はやや厳しく、AGXEROは基本的にコンプライアンスが高いタイヤではないと感じました。
特に路面が荒れてくると印象ははっきりします。
印旛沼周辺のような荒れた舗装では、低速域での突き上げがかなり強く、衝撃を直接受けているような感覚があります。
これはおそらく、タイヤ自体の剛性を上げたこと、が影響しているのではないかと思われます。
タイヤ自体の剛性アップの影響で、そのままでは硬くなりすぎるため、トレッドゴムの柔らかさでしなやかさを出しているようにも感じました。トレッドサイドに刻まれているトレッドパターンも、しなやかさを出すための設計、ということもあるのかもしれません。
結果として、
・タイヤ構造はしっかりしている
・タイヤ構造はしっかりしている
・トレッドの柔らかさでしなやかさを出す
というバランスになっているように感じました。
この印象にはタイヤ自体の硬さも影響していると思います。
組み付け時に感じたタイヤ自体の硬さもあり、
AGILEST FASTと比べるとタイヤの膨らみ方が少し違うように感じました。
実測タイヤ幅もFASTより約1mmほど細く、その結果として
・エアボリュームの差
・ゴムの硬さ
この2つが合わさり、今回感じた コンプライアンスの低さにつながっているのかもしれません。
また、もう少し空気圧を下げることも考えました。
しかし一般的に空気圧を下げると、転がり抵抗は増える傾向があります。
これ以上走りの重さを感じる方向にはしたくなかったため、今回は 4.5barのまま使用しました。
✓ 高速域
このタイヤ、速度を上げると豹変します。
なぜかは不明ですが不思議なことに、速度が上がってくると重さを感じづらくなる、軽く感じる、という感覚があります。
乗り始めではややもっさりした印象を受けたのですが、巡航速度に入ってくると、その印象が徐々に薄れていきます。
つまり乗り出しと巡航時でタイヤの印象が変わるタイプ、だと感じました。
そして速度が上がった状態では、このタイヤの特徴がよりはっきりと現れます。
40km/hを超えるような巡航状態からの
・コーナー進入
・ブレーキング
・再加速
といった、出力を大きく変化させる場面でも、非常に安定しています。
特に高出力で踏み込んだ際の挙動は非常にしっかりしており、タイヤの腰が逃げるような感覚はありません。
そのため、ある程度の速度域、あるいは出力が出ている状態では、このタイヤはやはりレース用途を意識して設計されている、という印象を強く受けました。
▶ 初期ではわからないこと
とは言っても、まだ走行距離は約130km程度です。
そのため、いくつかの点については、現時点ではまだ判断できません。
✓耐摩耗性
まずは耐摩耗性です。
トレッドゴム自体はやや硬めの質感で、傷の入りにくさという点では確かに強そうな印象があります。
そのため耐摩耗性も、おそらく高いのではないかと感じています。
ただ、このタイプのタイヤでよくあるのは、トレッドで柔らかさを出している構造の場合、摩耗や経年劣化によって乗り味が大きく変わるという点です。
摩耗が進んだり、ゴムが硬化してくると、サイドウォールではなくトレッドでしなやかさを出しているタイヤは、急に乗り心地が悪くなるというケースがあります。
もっとも、このタイヤはレース用途も意識したモデルですので、そもそも年単位で使うことを前提としたタイヤではないのかもしれません。
このあたりは、もう少し距離を乗ってみないと判断できない部分です。
✓タイヤ形状の変化
もう一つは、タイヤの膨らみ方です。
今回の実測では
・装着直後 28.6mm
・130km走行後 29.0mm
となりました。
こればかりは乗り込んでみないと分かりませんが、タイヤ自体の剛性感を考えると、そこまで大きく伸びるタイプではない可能性もあると思います。
個人的には、もう少し膨らんでエアボリュームが増えると、コンプライアンスの面ではさらに良くなるのではないかとも感じました。
✓傷の入りにくさ
一方で、耐カット性能はかなり高そうです。
今回のテストでは、完全ウェットの幹線道路(砂利が浮いた路面)をしっかりと走行しましたが、
トレッドに目立つ傷は確認できませんでした。
また、AGILESTでは「パンクしやすい」という声も一部で見られましたが、保存用のパラフィン(白い粉状の保護剤)の処方が変更されている可能性もあり、その点も影響しているのかもしれません。
このあたりも、もう少し走行距離が増えてから改めて確認したいところです。
■ まとめ
満を持して発売された AGXERO ですが、個人的には少し謎の多いタイヤでもあります。
すでにフラッグシップモデルとしてAGILEST FAST という存在がある中で、なぜその方向ではなく、 AGILEST系をベースに改良したモデル が出てきたのか。
特に現在は、ロードバイクタイヤにおいて転がり抵抗の低さは、非常に重要視される時代です。
そうした流れの中で、あえて最も低転がり抵抗を狙ったタイヤではないモデルを開発してきたのは、どういう狙いなのか少し考えさせられるところでもあります。
個人的な感想としては、もし迷ったらAGILEST FASTを選択する方が分かりやすいと思います。
少なくとも私の使用経験では、AGILEST FASTは特別パンクしやすいタイヤという印象はなく、しっかりと速さを体感できるタイヤ、「このタイヤは速い」と素直に感じられるモデルでした。
例えば今後控える富士ヒルのようなヒルクライムを考えた場合、コーナーリング性能よりも、やはり速さを優先したくなるものです。
重量差もわずか5g程度であれば、転がり抵抗の低い AGILEST FAST を第一選択にするライダーが多いのではないでしょうか。
その一方で、あえてAGXEROを選ぶとすれば、用途は少し変わってくると思います。
・雨天での安心感
・コーナーリング時の安定感
・耐久性や対パンク性能
こういった要素を重視するのであればAGXERO という選択になるのではないでしょうか。
ワタクシの場合であれば、雨の予報があるレースや、路面状況の悪い地方のロングライドならAGXEROを選択すると思います。
ワタクシの場合であれば、雨の予報があるレースや、路面状況の悪い地方のロングライドならAGXEROを選択すると思います。
AGXEROはFASTの上位下位というモデルではなく、狙いの違うタイヤという印象でした。
ということで今回は
Panaracer AGXERO TLRを実走インプレ。期待値の高い新作タイヤを130km走った印象
そんなお話しでした。
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コメント
コメント一覧 (2)
https://x.com/i/status/2023538446590243237
FASTのCL, TLRを気に入っているんですが、あえて履き替える必要は今のところなさそうですね…
該当部分は記事内で訂正させていただきました。
FASTを気に入っておられるのであれば、無理に履き替える必要はないと思います。