来る富士ヒルに向け、一年の中でも最もつらい時期が終わろうとしています。
これから少しずつ暖かくなり、トレーニングにも力が入ってくる時期です。

この時期は、気温の上昇とともに身体にも変化が出てきます。

それは「パワーが出やすく感じる」ことが多くなる、ということです。

冬の間は空気も重く、なかなか前に進まない。ペダルも重く感じることが多かったと思います。
しかし春の訪れとともに速度が上がり、それに合わせてパワーも出やすくなる、ということはよくあります。

もちろん、冬場の練習の成果で調子が上がっている部分もあるでしょう。
ただそれだけではなく、単純に気温が上がってパワーを出しやすくなっている、という要素もあります。

寒さという制限要因の影響が小さくなることで、同じ脚でも出力が出しやすくなる、ということです。

この変化が冬場の積み重ねと重なり、この時期はパワーを見ていると右肩上がりに上がっていくことも珍しくありません。
特に冬の間しっかり積み上げてきた人ほど、その傾向は強く出ます。

ただし、この右肩上がりの時期は、そこまで長く続くものではありません。

これが永遠に続けばいいのに、と思うこともありますが、そう上手くはいきません。
一定期間のあとには停滞することもありますし、場合によっては途中で一度落ちることもあります。

問題は、その落ちるタイミングです。

もしそのタイミングがレース本場、富士ヒルの直前になってしまったら、少しもったいないことになります。
しかし実際にはこのようなこと、非常によくあることです。

では如何にこのような失敗例のようにならないようにするのか、というのが今回のお話しです。。
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■ 富士ヒルで必要な練習
本題に入る前に、まず富士ヒルの特徴を踏まえたうえで、必要な練習について少し触れておきます。

教科書的な話では、富士ヒルのようなヒルクライムでは、SSTのように一定ペースで踏み続ける練習が重要だと言われます。これはワタクシ自身も間違いではないと思っています。

試走を含め、一人で走る場合、この能力は特に大切になります。

ただし、です。

「ヒルクライムだから一定ペースだけで良い」というほど、実際のレースは単純ではありません。
いくらヒルクライムといっても、レースになると状況は変わります。集団で走るとペースは決して一定ではなく、ところどころでインターバルがかかります。

集団走行は後方に行けば行くほど、そのインターバルは強くなります。

勾配が上がったところで頑張らなければならない、というよりも、むしろその逆で、勾配が緩んだ瞬間の加速で余計に踏まされることはよくあります。

ときには中切れを埋めるために脚を使うこともあるでしょう。

つまり富士ヒルで集団走行を想定する場合、
・一定ペースで踏む力
・インターバルに対応する力
この両方が必要になります。

とはいえ、富士ヒルは基本的にはFTP付近を長時間踏み続けるレースです。

ですので富士ヒル前は、一定ペースで踏む練習だけではなく、高強度に反応できる力も準備しておく必要があります。

ということを踏まえて、本題へ。


■ 富士ヒルに向けて気をつけたい4つのこと
パワーが上がっているからといって、高強度をどんどん増やしていけば良いわけではありません。
この時期は高強度を入れることと同時に、まず基本となる土台が崩れていないかを確認することも大切です。
そのうえで、富士ヒルに向けたトレーニングで気をつけたいポイントをいくつか挙げてみます。

① 早すぎる時期の高強度
前述のように暖かくなると、パワーが出やすく・出しやすくなります。
もちろん気温の上昇とともに空気の密度も下がりますし、体も柔らかくなりタイムも伸びる傾向にあります。

そんな時期は、ついつい焦って高強度を入れたくなります。
なぜならば調子が良いですし、パワーも出やすく高いと感じるからです。

もちろん高強度はうまくはまれば一気に伸びることもありますが、基本的にはハイリスクな練習でもあります。続けすぎれば、どこかで疲労が表面に出てくることもあります。

ここでやりがちなのが、調子が良いからどんどん高強度をやってしまうことです。
頻度(ボリューム)もそうですし、強度もそうです。
パワーが上がっているからといって、高強度をどんどん増やしていけば良いわけではありません。

この時期は高強度とともに、まず基本となる土台が崩れていないかを確認することも大切です


② 練習バランスの崩れ
もう一つ気をつけたいのが、練習量のバランスです。

高強度が増えてくると、どうしても走行距離や時間が落ちやすくなります。
強度の高い練習は疲労も大きいため、結果として長く走れなくなるからです。
上りの練習やインターバルはやっているのに、気づけば総量は減っている。そんな状態になってしまうこともあります。

強度だけではなく、低強度の時間も含めて全体のバランスを見ることが大切です。
低強度の時間や練習の総量(ボリューム)が減ることで、長く踏み続けるベース能力やFTP付近の持続力の低下が起こる場合があります。

また、高強度中心の練習になるとコンディションの振れ幅も大きくなりやすくなります。
調子が良い日は非常に強く踏める一方で、少し疲れが残っている日はまったく踏めない、という状態になりやすいからです。
そして、このような状態の中で起こりやすいのが「4月に強くなりすぎる」という現象です。

いきなりVo2MAXとかの高強度をバンバン入れるのではなく、まずはテンポ走やSSTなどの一定ペースの強度の安定を見るのが良いと思います。

その状態を作ってから、徐々に高強度を入れていきます。
焦って早く始めるよりも、少し遅いくらいのほうが結果的に本番に合わせやすいと感じています。

またその際は、パワーだけではなく、心拍も合わせて見ておくと状態が分かりやすくなります。
SSTのつもりで踏んでいても、気温が上がると調子がよく感じやすいので、知らないうちにL4やL5の強度になってしまうこともあります。これは思わぬ疲労をためてしまうことにもなりますので、注意が必要です。

ですのでパワーが上がったからといって、すぐにFTP設定を更新するのではなく、まずはそのパワーで走ったときの心拍の安定度を、数週間ほど見てみるのも一つの方法です。

長めのライドでパワーと心拍の関係を見てみると、今の状態が見えてくることがあります。

③ 4月に強くなりすぎる
暖かくなってパワーが出やすくなり、冬の積み重ねも重なって数字がぐっと伸びる時期です。

このタイミングで強度を増やしすぎると、ピークが少し前倒しになってしまうことがあります。

その結果、4月はとても調子が良かったのに、5月に入ると伸びが止まったり、少し落ちてしまう。そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

富士ヒルは6月です。
できれば4月ではなく、もう少し後に調子のピークを持っていきたいところです。


④ ピークづくりの失敗
これは個人的な感覚ですが、富士ヒルが終わって疲労が抜けた頃が一番速いと感じたことが過去にも何度もありました。

レースが終わり、練習量も少し落ちて、身体が軽くなってきた頃。そのタイミングで走ると妙に脚が回ることがあります。

もしそうだとすると、本番の時点はまだ疲労が残っていた、つまり万全の状態ではなかった可能性があります。

富士ヒル前になると、最後の仕上げとして練習を詰め込みすぎてしまうこともありますし、逆に休みすぎてしまうこともあります。

極端に変えるよりも、普段のリズムに近い状態のほうが結果は安定しやすいと感じています。



■ まとめ
暖かくなってくると、脚は自然と軽く感じるようになります。
パワーも出やすくなり、数字も伸びやすい時期です。

だからこそ、つい踏みたくなったり、高強度を増やしたくなること。
それ自体は決して悪いことではありません。

ただ、その流れのまま強度を増やしすぎてしまうと、気づかないうちにピークが前倒しになってしまうこともあります。
4月に強くなりすぎて、5月に停滞する。そんな話は珍しいことではありません。

富士ヒルは6月です。

できれば、その右肩上がりの流れを、もう少しだけ長く保ちたいところです。

焦って強くなるよりも、少し余裕を残しながら積み上げていく。
そのほうが結果として、本番に調子を合わせやすいのではないかと思っています。

春は、調子が上がり始める季節です。
同時に、少しだけ冷静さも必要になる季節なのかもしれません。

少しでも、皆様が本番で最高のパフォーマンスを発揮するための参考になれば幸いです。

ということで今回は
気温が上がるこの時期 富士ヒルに向けたトレーニングで失敗しないために、そんなお話しでした。


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