先日ご来店いただいたお客様より、12速用チェーン CN-M8100の持ち込み取付のご依頼をいただきました。
買い置きしていたものとのことです。
見た目はごく普通のSHIMANOの12速チェーンです。
箱もあり、説明書も入っていて、パッケージもそれらしく見えます。
ぱっと見では特に違和感はありません。
ただ、実際に手に取ってみると、どうにも妙です。
普段から毎日のようにSHIMANOの製品には触れていますが、今回は開封前の時点から少し引っかかるものがありました。
さらに中身を見ていくと、その違和感は気のせいではなさそうです。
細部を見れば見るほど、「これはちょっとおかしいのでは」と思う点がいくつも出てきました。
このあたりで、ふと「もしかして偽物ではないのか?」という考えが頭をよぎります。
そこでお客様に確認してみると、某国の通販サイトで購入されたものとのことでした。
もちろん、見た目だけで即座に断定することはできません。
ですがチェーンは、見た目が似ていればそれで良いという製品ではありません。特に12速ともなると、わずかな違いが動作や耐久性、安全性に直結します。
今回は、実際に怪しいと感じたポイントを整理しながら、本物と見比べて分かった違いをまとめていきます。
見た目が似ているから大丈夫。
そう思ってしまいがちな部品だからこそ、一度しっかり確認しておいた方がよさそうです。
■ 怪しいと思ったポイント
①パッケージ

まず最初に違和感が出たのはパッケージです。
国内正規品と見比べると、とにかく艶が強くテカテカしています。
正規品はもう少し落ち着いた質感で、ここまで光り方が強くなることはありません。
この時点でなにか引っかかります。
そしてもう一点。
正規品判定のようなシールが貼られていました。

それっぽい見た目ではあるのですが、
正直なところ、このシール自体にどこまで意味があるのかは分かりません。
少なくとも、これが付いているから本物と判断できる材料にはなりません。
②説明書(仕様書)

次に違和感が出たのが説明書です。
左が正規品、右が今回同梱されていたものです。

内容自体はそれっぽく作られていて、
おそらくネット上のマニュアルをベースに並べたような印象です。
ただし、紙の質感が明らかに違います。
正規品はかなり多くの言語での記載があり、その影響かかなり薄手の紙で、印刷も安定していますが、
今回のものは、いわゆるコピー用紙のような軽い質感です。
細かい部分ではありますが、
普段触っていると、この違いははっきり分かります。
③クイックリンクのパッケージング
ここも分かりやすい違和感のひとつです。
通常、クイックリンクはチェーンとは別に梱包されています。
紙パッケージの中でも、独立した形で入っているのが一般的です。
今回も開封時に「クイックリンクが入っていない」と感じたため、
最初は単純な同梱漏れかと思いました。
ですが実際にはそうではなく、
チェーン本体が入っているビニールパッケージの中に、そのまま一緒に入っていました。
この時点で、パッケージングの扱いとしては明らかに違和感があります。
④ 出荷時のグリスの違い
触った瞬間に分かる違いがここです。
新品の際に防錆目的等で塗られているグリスの感触が、
普段のSHIMANOのものとはまったく異なります。
普段のSHIMANOのものとはまったく異なります。
これは言葉での説明が難しい部分ではありますが、
実際に触れば確実に分かるレベルで違います。
正規品は粘度のある、しっかりとしたグリスが均一に入っていますが、
今回のものはそれとは別物で、かなり軽いです。
イメージとしてはグリスというよりも、さらっとしたオイルに近い感触です。
ここは経験的な判断にはなりますが、
普段触っている感覚からすると明確に異質です。
⑤クイックリンク
外観もよく見ると違いがあります。

左が正規品、右が今回のものです。
刻印されている内容自体は同じように見えますが、
全体の雰囲気が少し違います。
エッジの処理や形状も、微妙に差があります。
さらにこちら。

ピンの部分が不自然に凹んでいるのが分かります。
裏側から見てみます。

こちらも左が正規品です。
ピン周辺のアウターリンク形状が異なっており、
仕上げの精度にも差が見られます。
単体で見れば気づきにくいかもしれませんが、
並べて比較すると違いははっきり出ます。
⑥チェーン
チェーン単体での判別は、正直かなり難しいです。

上の2本が今回のチェーン、下が正規品です。
ぱっと見では大きな違いはありません。
エッジ処理もよく似ています。
エッジ処理もよく似ています。
ただし細かく見ていくと、いくつか差があります。
まず刻印。今回のものは文字がやや太く、大きく見えます。
正規品の方が細く、シャープな印象です。
次にピン部分。正規品に比べると、今回のものはピンがやや太く見えます。
ただしこれらも、あくまで並べて比較した場合に分かるレベルです。
単体で見て「これは偽物だ」と判断するのは難しく、
見た目だけでは判別しづらいというのが正直なところです。
■ なぜこれが問題なのか(安全性)
ここまで見てきた通り、見た目には似ている部分もあります。
ですが問題は「似ているかどうか」ではありません。
チェーンは単なる消耗品ではなく、駆動力を直接受け止める重要部品です。
特に12速チェーンはクリアランスが非常にシビアで、わずかな寸法差や加工精度の違いでも、変速性能の低下、異音の発生、摩耗の進行の早さといった形で影響が出ます。
ここまではまだ性能の話です。
本当に問題なのはその先で、材質や熱処理の違いは外観では判断できないという点です。
見た目が似ていても、ピンの硬度、プレートの強度、表面処理の精度が異なれば、耐久性はまったく別物になります。
そしてチェーンの場合、それがどうなるかというと、最悪は破断です。
走行中にチェーンが切れた場合、急激なトルク抜けからバランスを崩し、落車につながる可能性があります。
特にダンシング時や高負荷時であれば、リスクはさらに高くなります。
もうひとつ重要なのは、見た目では判別が難しいことです。
今回のように並べて比較すれば違いは見えてきますが、単体で見た場合に判断するのは非常に困難です。
つまり、「見た目がそれっぽいから大丈夫」
という判断が、そのままリスクになります。
今回の個体が必ずしも危険であると断定することはできません。
しかし、パッケージ、同梱状態、グリス、仕上げといった複数の違和感が重なっている以上、正規品と同等の品質が担保されているとは考えにくい状態です。
チェーンはコストを削る部品ではありません。
少しでも違和感がある場合は、使わないという判断が最も安全です。
■ まとめ
チェーンだけではなく、その他のパーツであっても、100%の真贋判定はメーカーであるSHIMANOであっても行わない、というアナウンスもあります。怪しげな製品を個別に判定するのではなく、正規店での購入を推奨するというスタンスです。
今回のチェーンについて、100%偽物であると断定できるだけの確証があるわけではありません。
ただし、ここまで見てきたように、いくつもの違和感が重なっているのも事実です。
そして重要なことは、チェーンは安全性に直結する部品だということです。
見た目が似ていれば済むものではなく、もし中身が別物であれば、その影響は性能だけでなく安全性にも及びます。
見た目が似ていれば済むものではなく、もし中身が別物であれば、その影響は性能だけでなく安全性にも及びます。
仮にこれが偽物であった場合、そのリスクは非常に大きいと言えます。
だからこそ、少しでも怪しいと感じた時点で使わないという判断が重要です。
だからこそ、少しでも怪しいと感じた時点で使わないという判断が重要です。
価格差は数百円から、せいぜい千円台程度です。その差額を惜しんで安全性を失っては元も子もありません。
また、怪しい製品を購入すること自体にも意味があります。
軽い気持ちで買ってみる、ネタとして試してみる、そういった行為も含めて、結果的にはそうした製品を扱う業者へお金が流れることになります。
軽い気持ちで買ってみる、ネタとして試してみる、そういった行為も含めて、結果的にはそうした製品を扱う業者へお金が流れることになります。
本当にこういった問題がなくなってほしいと考えるのであれば、怪しい製品はネタでも買わないという選択が必要です。
売れなければ市場から消え、一人ひとりの判断の積み重ねが環境を変えていきます。
売れなければ市場から消え、一人ひとりの判断の積み重ねが環境を変えていきます。
見た目が似ているだけでは判断できないからこそ、
どこから来た製品なのか、その背景まで含めて選ぶことが重要です。
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