チューブレスレディタイヤでパンクしたとき、
「シーラントで塞がらなければ終了」と思っていませんか?
実際、チューブレスのパンクはシーラントで自動的に塞がるケースが多く、そのまま走行を続けられるのが大きなメリットです。
しかし現実には、シーラントで塞がらないパンクも確実に存在します。
このとき多くの場合、「チューブを入れる」という判断になります。
もちろんそれは正しい対処法です。
ただし、状況によってはその前にもう一段、試せる方法があります。
今回は、実際に発生した2箇所同時パンクの事例をもとに、シーラントで止まらなかったパンクを、チューブを使わずに走行可能な状態まで戻す方法を解説します。
この方法は、シーラントの性能や鮮度、そして傷の状態に大きく依存します。
すべてのケースで通用するものではありません。
それでも、
・シーラントが効かなかった
・空気が抜けきった
・もうチューブしかない
そう判断する前に、まだ選択肢が残っている場合があるということです。
これは、チューブレス運用だからこそ可能な実用的な対処法のひとつです。
今回はその判断基準と具体的な手順を整理していきます。
■ パンク発生
先日、雨上がりの幹線道路というパンクの教科書事例のようなところで運悪くパンクをしました。
路面にはガラス片が散乱しており、見た瞬間に嫌な予感はありました。
しかし交通量も多く、避けることができずそのまま通過。結果として、通過直後に見事にパンクです。
とはいえ、パンク自体はそこまで珍しいものではありません。
普段であれば、そのままシーラントで止まるケースがほとんどです。
今回も同様に「そのうち止まるだろう」と考えていたのですが、様子が違いました。
シーラントが吹き出す量が明らかに多く、そしてすぐに異変に気付きます。
減圧が異常に速く、通常では考えられないスピードで空気圧が落ちていきました。
最初は「かなり大きな穴が空いたのではないか」と考えました。
しかし実際に確認してみると、傷自体はそこまで大きくありません。いわゆるカット系のパンクで、サイズ的にもシーラントで止まってもおかしくないレベルです。
そして原因はすぐに分かります。
パンクは1箇所ではなく、2箇所同時に発生していたのです。
これが今回のポイントでした。
実際、現在テスト中のTANNUSシーラントは非常に優秀で、1箇所のパンクであれば、多少大きめの傷でも今のところ塞がらなかったことはありません。
しかし2箇所になると話は別です。
単純に漏れる空気の量が増えるため、空気圧はかなり早く落ちてしまいます。
今回もフロントタイヤでしたが、本来であれば途中で漏れが落ち着くはずのところ、空気圧はみるみる下がり続けました。
最終的には、リムが地面に当たる感覚が出るほどまでペコペコの状態になります。
ここまで来ると、通常であればその場でチューブを入れる判断になる状況です。
■ 判断

画像の通り、シーラントはかなりの量が吹き出していました。
減圧も非常に早く、空気圧はほとんど保持できない状態です。
ここまで抜けてしまうと、「もうチューブを入れるしかない」と考えるのが一般的だと思います。
実際、チューブを入れてしまえば確実に走行できますし、それが最も正攻法の判断です。
ただし、その後の処理――
タイヤ内部に飛び散ったシーラントの清掃や、再度チューブレスへ戻す作業など、
どうしても手間が増えるのも事実です。
そこで今回はあえて、
「本当にもうチューブしかないのか」
という視点で、もう一段試してみることにしました。
■ パンクの状態
今回のパンクは2箇所でした。
1箇所はピンホールです。
これはサイズ的にも小さく、シーラントが機能していれば問題なく止まる可能性が高い傷です。

問題はもう1箇所でした。
こちらは約3mmのカット系のパンクです。

※画像は帰宅後撮影
つまり今回の判断はこうなります。
・ピンホールはシーラントに任せてよい
・実質的に問題なのはカット系の1箇所のみ
・この1箇所をどう処理するか
この切り分けが重要です。
もしこの段階で、傷が大きな裂けであれば話は終わりです。
チューブを入れるしかなく、場合によってはタイヤブートなどの処置が必要になります。
しかし今回の傷は、そこまで致命的な状態ではありませんでした。
見た印象としては、
「シーラントが効く条件さえ整えば、止まる可能性があるサイズ」です。
ここで、
・完全に不可能な傷なのか
・条件次第で止まる傷なのか
この見極めができるかどうかで、取れる選択肢が変わってきます。
今回は後者と判断しました。
■ チューブを入れない復旧方法と判別
ここは非常に重要なポイントです。
シーラントは派手に吹き出し、空気圧がほぼゼロになっても、必ずしもシーラントが空になっているわけではありません。
これは実際に経験したことがある方ほど分かると思います。
パンク時、シーラントは勢いよく吹き出し、フレームや脚にも飛び散ります。
見た目としてはかなり派手で、「もう中身は全部出た」と感じる状況になります。
そして空気圧もペコペコになるため、
「もうシーラントは残っていない=終了」
と判断しがちです。
しかし実際には、そうとも限りません。
タイヤを開けてみると、意外と内部にシーラントが残っていることがあります。
もちろん状態によりますが、一瞬で完全に空になるケースばかりではありません。
※シーラントが乾燥している、もしくは元々量が少ない場合はこの限りではありません。
つまり、空気圧が走行不能なほど減圧した=終わりではない、ということです。
この「残っているシーラント」を使って傷を塞ぐ。
これが今回の方法です。
①空気を入れてみる
前提として、今回の傷は「シーラントで止まる可能性があるサイズ」でした。
そのため、まずは残っているシーラントで再度塞げるかを試します。
ここで重要なのは、いきなり通常圧まで入れないことです。
傷が塞がっていない状態で高圧をかけると、残っているシーラントが再び吹き出し、完全に失われる可能性があります。
まずは超低圧(1~2bar程度)から試します。
この圧では多少の漏れは正常です。
重要なのは「漏れるかどうか」ではなく、漏れ方の質です。
✓低圧でもダメな場合(復旧困難)
・1~2bar程度の空気圧がかからない
・吹き出してくるのがほぼ空気のみ(シーラントが出てこない)
・吹き出してくるのがほぼ空気のみ(シーラントが出てこない)
この場合は、シーラントが機能していない可能性が高く、復旧は厳しいです。
素直にチューブを入れる判断が適切です。
✓低圧なら何とか耐える場合
・逆に1~2bar程度で少し漏れるが圧はかかる
・少量でもシーラントが吹き出している状態
これらであれば、まだ望みがあります。
・少量でもシーラントが吹き出している状態
これらであれば、まだ望みがあります。

圧をかけると、シーラントがゆっくりと出てくる状態。
これは、内部にまだ有効なシーラントが残っている証拠です。
② 傷を固める
低圧である程度耐えられることが確認できたら、次の段階です。
タイヤを回して、シーラントをパンク箇所に集めます。
可能であれば、低速で安全に走れる場所で少し転がした方が効果的です。
圧がかかることで、シーラントが傷口に押し込まれ、固まりやすくなります。
やっていることは単純で、
「残っているシーラントを傷口に行き渡らせて、固まる時間を与える」
これだけです。
ただし注意点があります。
・段差やギャップは避ける
・強い衝撃を与えない
固まりかけたシーラントが再び吹き出す可能性があります。
この段階では、完全に止まっていなくても問題ありません。
重要なのは、漏れ方が明らかに穏やかになっているかどうかです。

わずかに滲みはあるものの、概ね止まっている状態です。
③ 加圧してみる
ある程度安定してきたら、ここで初めて空気圧を上げていきます。
ここでもポイントは同じで、一気に上げないことです。
おすすめは、1barずつ上げて様子を見ることです。
・少し入れる
・漏れないか確認
・問題なければもう少し入れる
これを繰り返します。
一気に圧をかけると、せっかく形成されたシーラントの膜が破れ、振り出しに戻ることがあります。
逆に段階的に圧をかけることで、膜が安定したまま保持されやすくなります。
今回もこの方法で圧を戻していき、最終的には約3.8barまで回復しました。
そのまま問題なく走行でき、無事に自走で帰宅できました。
チューブレスのパンクというと、
・シーラントで塞がる
・シーラントで塞がる
・塞がらないなら終了、あとはチューブを入れるだけ
という二択で考えられがちです。
しかし現実には、その中間があります。
つまり、「その場では止まらなかったが、低圧で落ち着かせることで復帰できる」というケースです。
特に今回のように、
・パンク箇所(傷)が大きすぎない
・パンク箇所(傷)が大きすぎない
・シーラントがまだ少し残っている
・低圧ではある程度粘る
という条件が揃っているなら、いきなりチューブを入れる前に試してみる価値はあります。
これは裏技というより、一つの現実的な応急処置です。
もちろん、この方法は万能ではありません。
・傷が大きすぎる
・サイドカット
・低圧でも全く保持できない
・シーラントがほとんど残っていない
・そもそもシーラントの性能がイマイチ
こういった場合は、無理をせず素直にチューブを入れる方が正解です。
また、この方法で復旧できたとしても、あくまで応急処置です。
完全修理ではなく、帰宅するための手段として考えるべきです。
それでも今回改めて感じたのは、
空気が大きく抜けた後でも、まだ取れる手段が残っている場合があるということです。
「シーラントで止まらなかったから終了」と決めつけず、一度状態を見て判断する。
それだけでも、パンク時の選択肢は確実に広がります。
チューブを入れるのは正攻法です。
ただ、その前にもう一手打てる場合がある。
それもまた、チューブレス運用のメリットのひとつだと思います。
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