前回、FC-R9200‐PとCYCPLUS T3の検証しました。
その結果として見えてきたのは、
検証のきっかけとなった左右バランスや最大パワー以上に、
FC-R9200-Pが200〜300Wの常用帯において、約5%前後低めに出ている可能性があるという点でした。
ただし、あの時点ではまだ、
・本当にその傾向が再現性のあるものなのか
・条件によって変化するのか
といった部分までは切り分けきれていませんでした。
そこで今回は、もう一段踏み込んで、
この差が再現するのかどうかを確認することにしました。
今回特に見たかったのは、次の2点です。
・前回と同様の差が再現するのか
前回と同じような条件で比較した際に、
FC-R9200-PとCYCPLUS T3の間に見られた差が、再び同じ傾向として現れるのかを確認します。
・高強度のあとにズレが大きくならないか
SHIMANOのパワーメーターで指摘されることのある、
高強度後の測定値の変化が、今回の比較にどのように影響するのかを見ていきます。
検証2回目、ほぼ確定だな。。。🫠 pic.twitter.com/ewDfAihH9A
— Teppei.Y 目指せ走れるメカニック!! (@ff_cycle) April 2, 2026
■ 第一にケイデンス
今回かなり興味深かったのはケイデンスです。
ケイデンスはパワー算出において、非常に重要な要素になります。
というのも、パワーは「トルク × ケイデンス」で決まるためです。
したがって、ケイデンスのズレは、そのままパワーのズレに直結します。
今回のデータはこちらです。

・T3:75.5rpm、
・FC-R9200-P:75.8rpm
この一致度は前回同様かなり高く、
少なくとも今回の比較においては、ケイデンスのズレがパワー差の原因である可能性は低いと考えられます。
FC-R9200-Pはマグネット方式でケイデンスを取得しているため、この精度の高さはある意味納得できます。
一方で、アルゴリズムによってケイデンスを推定しているT3も、それに極めて近い値を出してきており、この点については非常に優秀だと感じました。
今回のようにケイデンスがほぼ一致しているとなると、パワー差の原因は別の要素に絞られてきます。
具体的には、
・トルクの測定値そのものの違い
・センサー特性(歪みゲージの取得位置や構造差)
あるいは内部の補正アルゴリズムの違い
このいずれか、もしくは複合要因である可能性が高いと考えられます。
■第2回 検証結果
これらを踏まえて検査結果を見てみます。

| 区間 | 時間 | 条件 | FC-R9200-P | T3 | 差(%) | 備考 |
| 300W① | 2分 | 95rpm | 297.1 | 310.6 | 104.54% | 高負荷前 |
| 300W② | 2分 | 80rpm | 306.6 | 320.1 | 104.40% | 高負荷前 |
| スプリント① | 8秒 | 最大 | 702.1 | 693.6 | 98.79% | 高負荷 |
| スプリント② | 8秒 | 最大 | 644.8 | 624.7 | 96.88% | 高負荷 |
| 300W① | 2分 | 95rpm | 303.4 | 320.2 | 105.54% | 高強度後 |
| 300W② | 2分 | 80rpm | 308.9 | 319.6 | 103.46% | 高強度後 |
| 300W④ | 2分 | アウターインナー | 279 | 298.4 | 106.95% | |
| 300W⑤ | 2分 | アウターインナー | 272.1 | 283.9 | 104.34% | |
| 500W | 30秒 | 高強度 | 515.4 | 551.2 | 106.95% | |
| 全体平均 | 全体 | — | 180.4 | 188.9 | 104.71% | 全体傾向 |
今回は特に、トレーニングで最も重視している300W前後のパワー比較を中心に確認しました。
加えて、「高強度のあとにズレが大きくならないか」という点も検証対象としています。
これらを踏まえて結果を見ていくと、傾向はかなりはっきりしています。
まず目立つのは、前回同様に300W帯においてFC-R9200-Pが一貫して低めに出ている点です。
しかもこれは単発ではなく、ケイデンスを変えても、高負荷前後で条件を変えても、同じ方向の差が確認されています。
また、高強度前後で比較しても、この傾向に大きな変化は見られませんでした。
300W帯では、高負荷前・高強度後ともに、ほぼ同様の差が出ています。
このことから、今回の比較においては、
→ 高強度後にパワーが大きく崩れるような反応は確認されなかった
と整理できます。
これは逆に言えば、無秩序にズレているのではなく、
ある程度一定の傾向を持って差が出ている可能性が高いという見方もできます。
一方で、スプリント区間はやや様子が異なりました。
この領域ではFC-R9200-Pの方がやや高めに出ており、少なくとも今回の結果に限れば、
短時間の最大出力が大きく低く出るという傾向は確認されませんでした。
ここまでを整理すると、今回の比較から見えてくる傾向は次の通りです。
・FC-R9200-Pは常用帯〜中高強度で一貫して低め
・その傾向は高負荷前後で大きく変わらない
・スプリントでは大きな差は見られない(むしろやや高め)
・全体平均でも同様の傾向が見られる
つまり、FC-R9200-Pは全域で不安定なのではなく、
→ 常用帯〜持続系において、一定方向の差が再現している
と考えるのが自然です。
ただし、ここで重要なのは、
この差が「FC-R9200-P側の問題」なのか、あるいは「比較対象側の特性」なのかは、
この時点ではまだ確定していないという点です。
前回と今回で、常用帯の差が近い形で再現されていることから、
少なくともランダムな誤差ではなく、何らかの特性として現れている可能性は高そうです。
■ 前回の結果との比較
前回の検証では、FC-R9200-PはCYCPLUS T3と比較して、200〜300Wの常用帯で低めに出る傾向が見えていました。
しかもその差は単発ではなく、複数の区間で同じ方向に出ており、偶然の誤差というより、ある程度の傾向を持った差である可能性が示唆されていました。
そこで今回は、その傾向が本当に再現するのか、そして高強度のあとに差が大きくならないかを確認するために、あらためて比較を行っています。
今回特に見たかったのは、トレーニングで最も重視している300W前後の帯域です。
高負荷前、高強度後、ケイデンス違いと条件を変えながら確認してみましたが、結果としてはかなりはっきりしていました。
まず、300W帯では今回もFC-R9200-Pが一貫して低めに出ています。
しかもその差は、ケイデンスを変えても、高強度の前後でも、ほぼ同じ方向に出ています。
つまり、前回たまたま低かったのではなく、
→ 今回も同様の傾向が再現した
ということになります。
さらにもうひとつ重要だったのが、高強度後に差が大きくならなかったことです。
もし高強度のあとにだけ数値差が大きくなるのであれば、熱や一時的な補正の影響も考えられます。
しかし今回の結果では、高強度前後ともに、300W帯ではほぼ同じ傾向でFC-R9200-Pの方が低く出ています。
つまり、
→ 高強度後に急激に差が拡大するタイプではなさそう
ということです。
これは逆に言えば、無秩序に変動しているのではなく、ある程度一定の傾向を持って差が出ている可能性が高い、という見方もできます。
一方で、スプリント区間は少し様子が異なりました。
ここではFC-R9200-Pが大きく低く出る印象はなく、むしろ近い、あるいはやや高めに出る場面もありました。
このことから見えてくるのは、FC-R9200-Pが全域で不安定なのではなく、
→ 常用帯〜持続系で低めに出る傾向が強い
という点です。
前回と今回を合わせて整理すると、現時点では次のように考えるのが自然です。
・常用帯(200〜300W)では一貫して低め
・その傾向は高負荷前後でも大きく変わらない
・スプリントでは大きな崩れは見られない
・つまり単発の誤差ではなく、特性として再現している可能性が高い
ここまで来ると、問題点はかなり絞られてきます。
パワーはトルクと角速度(ケイデンス)で決まります。
そして今回、FC-R9200-PとCYCPLUS T3のケイデンスはほぼ一致していました。
ということは、差が出ている要因はケイデンス以外の部分にある可能性が高いと考えられます。
→ トルクの測定
→ センサー特性
→ あるいは補正アルゴリズム
といった要素です。
もちろん、現時点でまだ断定はできません。
この差が個体差なのか、それともFC-R9200-P全体の傾向なのかも、まだ判断は保留です。
ただし、前回と今回の2回でかなり近い形で傾向が再現されたことで、
FC-R9200-Pの特徴はかなり絞れてきました。
■ まとめ
ここまでの2回の検証を通して、FC-R9200-Pの数値傾向はかなり絞れてきました。
まず重要なのは、今回の結果が単発ではなく、前回とほぼ同じ傾向で再現されたことです。
ただし、これはあくまで私自身の個体における結果であり、すべてのFC-R9200-Pに当てはまるかどうかは分かりません。
また、この差がいつから発生していたのかも不明です。
導入当初からなのか、ある時点からなのか、あるいは個体差なのか。
この点については、現状のデータだけでは判断できません。
一方で、今回の結果から見えてきたのは、FC-R9200-Pが無秩序に変動しているわけではない、ということです。
・ある程度一定方向に差が出ている可能性が高い
・条件を変えても似た傾向が出ている
・ケイデンスは正確に拾えている
そう考えると、少なくとも一貫性はあり、単純に「全部ダメ」と切って捨てるのも適切ではないように思います。
ただし、ここで一つ注意しなければならないことがあります。
今回ここまで「9200Pが低い」という方向で話を進めてきましたが、それはCYCPLUS T3が正しいという前提に立った見方でもあります。
私自身、T3は精度が高いと言われている機材であることから、無意識のうちに基準として見ていました。
しかし今回の検証を進める中で、その前提自体も本当に正しいのか、改めて見直す必要があると感じています。
つまり、9200Pが低いのではなく、T3が高めに出ている可能性はないのかということです。
FC-R9200-Pは、ネット上でも何かと厳しく語られやすい機材です。
もちろん、実際に使用した上での指摘は貴重です。
ただ一方で、評判や印象だけが先行してしまうこともあります。
だからこそ、この手の話は先入観ではなく、実測で切り分けていく必要があるはずです。
ワタクシ自身もFC-R9200-Pを使用していますが、前回の記事の冒頭でも触れた通り、
左右バランスやスプリント時のパワー表示については、確かに違和感を覚えたことはありました。
しかし一方で、日常的なトレーニング運用において、
パワーが大きく外れていると感じたことはありません。
また、気温変化後の校正を行った際にも、明確な数値の変動を体感したことはありませんでした。
精度というものは「何を基準とするか」によって評価が変わりますが、
少なくとも一貫性という観点では、不満を感じたことはほぼありません。
実際に使い続ける中で、パワー値そのもの以上に、
フィジカルの状態によって出力が大きく変化するということも、強く実感しています。
今回の2回の検証で、少なくとも「傾向」は見えました。
ただし、まだ基準までは確定していません。
次にやるべきことは明確です。
第三のパワーメーターを用いた比較検証です。
これによって、
・FC-R9200-P側の特性なのか
・T3側の特性なのか
・あるいは別の見え方をするのか
を、もう一段はっきり切り分けられるはずです。
今回の記事はここまでです。
次回は、“何を基準として疑うべきなのか”その前提ごと検証していきます。
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