現在のロードバイクは、ここ数年で構造が大きく変わりました。
その中でも特に大きいのが、ケーブルルーティングの変化です。
かつて主流だったのは、ハンドルやフレームの外を通る“外装”でした。
その後、時代が進むにつれて、ダウンチューブやトップチューブ内を通す内装式が増えていきました。

もっとも、リムブレーキ時代のフレームは、ブレーキ本体の取り付け位置や構造上の制約もあり、完全なフル内装までは進みにくいものでした。
それが、現在ではディスクブレーキ化の進行によって大きく変わりました。
ブレーキキャリパーの取り付け位置の変化、油圧化、そして空力面の最適化もあって、フレームそのものが「ケーブルを外に出さないこと」を前提に設計されるようになっています。
現在の”もっともクリーンなコックピット周り”、と呼ばれる構造です。
しかしこのフル内装化に伴い、言われていたのが整備性の低下です。
僅かな空力性の向上や、クリーンなコックピット周りのために整備性を大幅に低下させたと言われていたこともありました。
では、このフル内装構造によって整備性は本当に落ちたのか、というと一概にそうだと単純なお話しではありません。
では、現在における外装式ハンドルは今でも自由度が高いと言えるのでしょうか。
確かに、従来の構造であれば、外装ハンドルには取り回しのしやすさがありました。
長さ調整がしやすく、ステムやハンドル交換、ポジション調整にいたって明確な利点があったのは事実です。
しかし、現在のフレーム構造では、その前提がそのまま通用するとは限らないからです。
では、現在のバイクでは、なぜ外装ハンドルのメリットは薄れてきたのか。
フル内装が前提となった現在において、外装式のハンドルを選ぶ意味は本当に残っているのでしょうか。
ということで今回は、フル内装時代に外装式ハンドルを選ぶ意味はあるのか? そんなお話です。
■ フル内装とセミ内装構造
本題に入る前に現在のディスクロードバイクにおける、ケーブル(ホース)の通し方、いわゆるケーブルルーティングの説明からです。
現在のロードバイクのケーブルルーティングは、大きく分けると2つの構造があります。
① 半内装式(セミ内装システム)
セミ内装と呼ばれる構造の中にも、実際には2種類があります。
a. ダウンチューブからフレーム内にホースが入るタイプ
従来のリムブレーキ時代の内装フレームに近い構造です。
ヘッドチューブ周りではホースやケーブルがある程度露出しており、そこからダウンチューブ内部へ入っていきます。
リムブレーキ時代には一般的だった構造ですが、現在のディスクロードではこのタイプはかなり減った印象があります。
b. ヘッドパーツを通ってフレーム内部へ入るタイプ

現在のディスクロードで主流となっているのは、こちらの構造です。
ホースやケーブル類はヘッドパーツ内部を通ってフレーム内部へ引き込まれます。
この構造では、主にステム下をホースが通るため、見た目はかなりすっきりします。
しかし難点としては、見ての通り、ステム下部を通ったケーブル・ホース類はほぼ直角に曲がりヘッドパーツを通りフレーム内部に引き込まれます。
油圧では操作性に大きな差は出ない場合が多いですが、機械式の場合、ケーブルの引きの問題が出てくる構造でもあります。
②完全内装式(フル内装)
現在のディスクロードでもっとも主流となっているのが、このフル内装構造です。
ハンドルとステム、あるいは一体型ハンドルの内部をホース類が通り、そのままヘッドパーツを経由してフレーム内部へ入っていきます。
ハンドル、ステム、ヘッド周り、フレームをひとつのシステムとして設計しているのが特徴です。
特に近年のモデルの多くは、フル内装を前提に設計されていることが多く、ヘッドパーツが専用設計のため、ステムも他社製品を使うことのできないモデルもあります。
✓ セミ内装と完全内装
前述した「半内装の”b”」と「完全内装」は、フレーム側の基本構造が共通している場合が多くあります。
違いは、ヘッドパーツの一部を通してホースを外へ出すか、それともそのままステム内部へ導くか、という点です。
つまり、この2つの構造はフレーム構造自体は共通で、ヘッドパーツの構造で外に出すか、それともステム内部へ導くかが決まっている場合が多いです。
この2つの組み方に対応しているフレーム(ヘッドパーツ)の場合は、
・外装ハンドル+通常ステムでセミ内装
・対応する内装ハンドルや一体型ハンドルでフル内装
という使い分けができる場合が多い、ということです。
言い換えれば、現在多くのフレームで採用されているのは、フレーム側はすでに内装前提で作られており、ヘッドパーツが対応しているものが存在すれば、完全内装でも半内装式でも組めるようになっているものが多いです。
✓ サードパーティ規格について
ちなみに様々なフレームがありますが、その中でもサードパーティ製品に対応した共通規格も存在します。
代表的なものとしては、FSAのACRやDEDAのDCRなどがあります。
これらに対応しているフレーム規格であれば、かなり自由度を高く選択肢が広がります。
しかし残念ながら、これらの規格を採用しているメーカーは決して多くありません。
実際には、各社が独自のヘッド周りや専用パーツを採用している例が多く、規格はかなり乱立しています。
このヘッド規格の乱立状況は、BBに近いものがあり、現在のBBの流れを見ても、各社今後も完全に整理されるとは考えにくい印象です。
メーカー側から見れば、専用設計によって自社規格でシステムを囲い込めるという大きなメリットがあります。
一方で、ユーザー側から見ると、互換性や選択肢が狭まりやすく、明確なメリットはあまり大きくありません。
つまり現在のロードバイクでは、ハンドルだけを外装式にしたとしても、フレーム全体の構造まで昔の外装仕様のように使えるのか、というともはや構造自体が変わっているため、従来のように利便性が高いということでもなくなってきてしまっています。
ここが、外装ハンドルのメリットを考えるうえで重要な前提になります。
■ 半内装式のメリットがうすれた理由
従来のリムブレーキフレームの場合、外装ハンドルにははっきりしたメリットがありました。
しかし現在の構造でもそのメリットがあるのかというと、一概にその限りではありません。
従来は構造上、ヘッド周りのアウターワイヤーの長さにも比較的余裕を持たせやすく、ステムやハンドル交換が比較的容易だった、ということです。
ケーブルの長さに余裕があればステム長やハンドル幅の違う製品でもポン付けて取付けられた場合もあります。
このため、ポジションがまだ確定していない人や、部品構成を細かく変えたい人にとって、外装は明確に扱いやすい構造でした。
見た目よりも実用性を重視するなら、外装を選ぶ意味は十分にありました。
しかし現在のフレームでは、このメリットがかなり薄れています。
一見ケーブル類が内装されていなければ、コントロールレバーを外して、新しいハンドルに付けるだけ、ということができそうなイメージもありますが、そうはうまくはいかないのです。
なぜかといえば、理由は単純でケーブルルーティングが余剰分を取りづらい構造になっているからです。
この構造によって、
僅かな露出部を利用し、ポジション調整のためのホース等の余剰分も、長すぎれば前側に余りが出てしまいます。逆に短すぎれば組むこと自体が難しく、物理的に成立しません。
とくにステム下部やハンドル下部の溝にピタリと収めるタイプ、またホースを固定するタイプの構造の場合、ケーブル類の余剰はほぼ取れません。
つまり外装式、特に溝を這わせる構造では、確保できる余長は思ったほど大きくなく、ほぼ余剰が取れない構造という場合もあります。
これが従来までの外装式との違いであり、メリットがかなり少なくなっている理由です。
結果的に、もちろんハンドルの構造にもよって大なり小なり差はあるものの、ハンドル内にある程度余裕を持って収められる内装構造と違い、ヘッド下を通るルートではケーブルの余剰分を逃がせるスペースが少なく、見た目と機能の両立を狙うと、長さはかなり詰めて決めることになります。
その結果、あとからハンドル幅を変えようとしても、ホース長が足りず交換できないということが起こります。
外装であれば簡単に変えられそうに見えて、実際には長さがぴったりすぎて対応できないことが多々あるわけです。
もちろん、見た目を気にしなければ最初から長めに取るという方法はあります。
ただしその場合、外装の見た目は明らかに悪くなりますし、見た目だけではなく空力的にもメリットも削がれていきます。
つまり現在の外装ハンドルは、昔のような「自由にいじれる外装」ではなく、見た目は外装でも、内装以上に制約を受ける構造になっていることが多いのです。
特にフロント側では余剰分をフレーム内部に収めることはほぼできませんので、この影響は大きいです。
■ 整備性 vs 空力 vs 剛性
では実際に、半内装式と完全内装式では何が違うのかを、整備性・空力・剛性の面から見ていきます。
✓整備性
まず整備性についてです。
一般的には外装式の方が整備しやすいというイメージがありますが、現行のフル内装前提フレームでは、その差は以前ほど単純ではありません。
確かに、完全な一体型内装システムは分解や再組み立てに手間がかかります。
しかし半内装式と比べて大きな差があるかと言うと、はっきり言って、そこまで大きな差はありません。
昨今の一体型ハンドルは内部への配線がかなり楽な構造になっているものが多く、またハンドル・ステム内部処理がかなりきれいで、通しやすいだけではなく余剰分も十分に収めておけるぐらいの構造の製品が増えてきています。
これにより、完全内装だからと言っても、整備性の悪さを少しでもカバーできるようになっています。
一方で、半内装式の場合、ホース長の制約が強く、見た目も含めて成立させるには結局かなり神経を使います。
つまり外装だから楽、ということは一概に言えなくなっており、構造次第では半内装式の方が手間がかかる、場合もあるというところです。
✓ 空力
空力に関しては、基本的にはフル内装側が有利です。
これは見た目の問題ではなく、ホースやケーブル類による気流の乱れを減らせるという意味で、構造として素直に有利です。
もちろん実走では、フレーム形状やライダーの姿勢の影響の方が大きい場面もあります。
それでも、ハンドル周りは風を強く受ける部分なので、露出物が少ないことには意味があります。
そのため、現行のエアロロードやレーシングバイクでフル内装が増えたのは、単なる流行ではなく、設計として合理性があるからです。
外装はどうしてもここで不利になりやすく、特に高速域を重視するのであれば、見逃しにくい差になります。
✓ 剛性
剛性については、少し慎重に見る必要があります。
ハンドルが外装か内装かだけで、単純に剛性の優劣を断定することはできません。
実際には、ハンドル形状、クランプ構造、一体型か別体型か、材質、設計思想などの影響の方が大きいからです。
ただし、システム全体として見た場合には、一体型の内装システムの方が設計の自由度を取りやすく、全体としてのまとまりを出しやすい傾向はあります。
ハンドル、ステム、スペーサー、フレームがひとつの構造として最適化されていれば、不要な逃げや無理な取り回しを減らしやすいからです。
メーカーがこれらのパーツをまとめて開発できるのは、剛性バランスや空力性能等をトータルで設計できるのが強みでもあります。
一方で外装は、部品の組み合わせ自由度が高い反面、全体としての統一感はやや弱くなります。
これは悪いことではありませんが、システムとして詰め切る設計とは方向性が異なる、という理解が近いと思います。
■ まとめ
現在のディスクロードは、フレームそのものが完全内装を前提に設計される時代になっています。
そのため、ハンドルが外装か内装かという見た目だけで、整備性や自由度を判断することは難しくなりました
かつての外装ハンドルには、取り回しの自由さ、交換のしやすさ、ホースやケーブル長の余裕といった明確なメリットがありました。
しかし現行フレームでは、外装ハンドルや半内装式であっても、ヘッド周りから先は内装前提の構造になっていることが多く、従来ほど自由に扱えるわけではありません。
一方で、完全内装式も以前のように「整備性が悪い構造」とは一概に言い切れなくなってきています。
近年の一体型ハンドルや内装システム、フレーム自体も、ホースの通しやすさや余長の処理が改善されているものも増えており、構造の良いモデルであれば、思っているほど極端に扱いにくいわけではありません。
もちろん、完全内装式であれば何でも良いというわけではありません。
メーカーやモデルによって、組みやすさ、整備性、専用パーツの入手性、互換性には大きな差があります.
ただ、少なくとも現在のロードバイクにおいては、昔のイメージだけで「外装のほうが整備性が良い」「整備性の面では完全内装が劣る」と考える時代ではなくなってきています。
完全内装は、もはや特別な構造ではなく、現在のロードバイクにおける主流の設計です。
そのうえで大切なのは、外装か内装かという単純な分類ではなく、そのフレームやハンドルがどのような構造で作られているかを見ることだと思います。
実際に様々なフレームを組んで。触っていて感じるのは、同じ完全内装式でも、メーカーやモデルによって整備性にはかなり差があるということです。
ホースの通しやすさ、ヘッド周りの構造、専用パーツの精度、ハンドル内部の余裕、分解時の作業性などは、見た目だけでは分かりません。
その点で、個人的に扱いやすいと感じるフレームもあります。
たとえばWINSPACEは、完全内装式でありながら、構造として無理が少なく、組みやすさも比較的良好な印象です。
最終的には、見た目やインプレッションもとても大切な要素ではありますが、今後整備を依頼するショップで相談しながら選ぶのが良いと思います。
その中でも特に大きいのが、ケーブルルーティングの変化です。
かつて主流だったのは、ハンドルやフレームの外を通る“外装”でした。
その後、時代が進むにつれて、ダウンチューブやトップチューブ内を通す内装式が増えていきました。

もっとも、リムブレーキ時代のフレームは、ブレーキ本体の取り付け位置や構造上の制約もあり、完全なフル内装までは進みにくいものでした。
それが、現在ではディスクブレーキ化の進行によって大きく変わりました。
ブレーキキャリパーの取り付け位置の変化、油圧化、そして空力面の最適化もあって、フレームそのものが「ケーブルを外に出さないこと」を前提に設計されるようになっています。
現在の”もっともクリーンなコックピット周り”、と呼ばれる構造です。
しかしこのフル内装化に伴い、言われていたのが整備性の低下です。
僅かな空力性の向上や、クリーンなコックピット周りのために整備性を大幅に低下させたと言われていたこともありました。
では、このフル内装構造によって整備性は本当に落ちたのか、というと一概にそうだと単純なお話しではありません。
では、現在における外装式ハンドルは今でも自由度が高いと言えるのでしょうか。
確かに、従来の構造であれば、外装ハンドルには取り回しのしやすさがありました。
長さ調整がしやすく、ステムやハンドル交換、ポジション調整にいたって明確な利点があったのは事実です。
しかし、現在のフレーム構造では、その前提がそのまま通用するとは限らないからです。
では、現在のバイクでは、なぜ外装ハンドルのメリットは薄れてきたのか。
フル内装が前提となった現在において、外装式のハンドルを選ぶ意味は本当に残っているのでしょうか。
ということで今回は、フル内装時代に外装式ハンドルを選ぶ意味はあるのか? そんなお話です。
■ フル内装とセミ内装構造
本題に入る前に現在のディスクロードバイクにおける、ケーブル(ホース)の通し方、いわゆるケーブルルーティングの説明からです。
現在のロードバイクのケーブルルーティングは、大きく分けると2つの構造があります。
① 半内装式(セミ内装システム)
セミ内装と呼ばれる構造の中にも、実際には2種類があります。
a. ダウンチューブからフレーム内にホースが入るタイプ
従来のリムブレーキ時代の内装フレームに近い構造です。
ヘッドチューブ周りではホースやケーブルがある程度露出しており、そこからダウンチューブ内部へ入っていきます。
リムブレーキ時代には一般的だった構造ですが、現在のディスクロードではこのタイプはかなり減った印象があります。
b. ヘッドパーツを通ってフレーム内部へ入るタイプ

現在のディスクロードで主流となっているのは、こちらの構造です。
ホースやケーブル類はヘッドパーツ内部を通ってフレーム内部へ引き込まれます。
この構造では、主にステム下をホースが通るため、見た目はかなりすっきりします。
しかし難点としては、見ての通り、ステム下部を通ったケーブル・ホース類はほぼ直角に曲がりヘッドパーツを通りフレーム内部に引き込まれます。
油圧では操作性に大きな差は出ない場合が多いですが、機械式の場合、ケーブルの引きの問題が出てくる構造でもあります。
②完全内装式(フル内装)
現在のディスクロードでもっとも主流となっているのが、このフル内装構造です。
ハンドルとステム、あるいは一体型ハンドルの内部をホース類が通り、そのままヘッドパーツを経由してフレーム内部へ入っていきます。
ハンドル、ステム、ヘッド周り、フレームをひとつのシステムとして設計しているのが特徴です。
特に近年のモデルの多くは、フル内装を前提に設計されていることが多く、ヘッドパーツが専用設計のため、ステムも他社製品を使うことのできないモデルもあります。
✓ セミ内装と完全内装
前述した「半内装の”b”」と「完全内装」は、フレーム側の基本構造が共通している場合が多くあります。
違いは、ヘッドパーツの一部を通してホースを外へ出すか、それともそのままステム内部へ導くか、という点です。
つまり、この2つの構造はフレーム構造自体は共通で、ヘッドパーツの構造で外に出すか、それともステム内部へ導くかが決まっている場合が多いです。
この2つの組み方に対応しているフレーム(ヘッドパーツ)の場合は、
・外装ハンドル+通常ステムでセミ内装
・対応する内装ハンドルや一体型ハンドルでフル内装
という使い分けができる場合が多い、ということです。
言い換えれば、現在多くのフレームで採用されているのは、フレーム側はすでに内装前提で作られており、ヘッドパーツが対応しているものが存在すれば、完全内装でも半内装式でも組めるようになっているものが多いです。
✓ サードパーティ規格について
ちなみに様々なフレームがありますが、その中でもサードパーティ製品に対応した共通規格も存在します。
代表的なものとしては、FSAのACRやDEDAのDCRなどがあります。
これらに対応しているフレーム規格であれば、かなり自由度を高く選択肢が広がります。
しかし残念ながら、これらの規格を採用しているメーカーは決して多くありません。
実際には、各社が独自のヘッド周りや専用パーツを採用している例が多く、規格はかなり乱立しています。
このヘッド規格の乱立状況は、BBに近いものがあり、現在のBBの流れを見ても、各社今後も完全に整理されるとは考えにくい印象です。
メーカー側から見れば、専用設計によって自社規格でシステムを囲い込めるという大きなメリットがあります。
一方で、ユーザー側から見ると、互換性や選択肢が狭まりやすく、明確なメリットはあまり大きくありません。
つまり現在のロードバイクでは、ハンドルだけを外装式にしたとしても、フレーム全体の構造まで昔の外装仕様のように使えるのか、というともはや構造自体が変わっているため、従来のように利便性が高いということでもなくなってきてしまっています。
ここが、外装ハンドルのメリットを考えるうえで重要な前提になります。
■ 半内装式のメリットがうすれた理由
従来のリムブレーキフレームの場合、外装ハンドルにははっきりしたメリットがありました。
しかし現在の構造でもそのメリットがあるのかというと、一概にその限りではありません。
従来は構造上、ヘッド周りのアウターワイヤーの長さにも比較的余裕を持たせやすく、ステムやハンドル交換が比較的容易だった、ということです。
ケーブルの長さに余裕があればステム長やハンドル幅の違う製品でもポン付けて取付けられた場合もあります。
このため、ポジションがまだ確定していない人や、部品構成を細かく変えたい人にとって、外装は明確に扱いやすい構造でした。
見た目よりも実用性を重視するなら、外装を選ぶ意味は十分にありました。
しかし現在のフレームでは、このメリットがかなり薄れています。
一見ケーブル類が内装されていなければ、コントロールレバーを外して、新しいハンドルに付けるだけ、ということができそうなイメージもありますが、そうはうまくはいかないのです。
なぜかといえば、理由は単純でケーブルルーティングが余剰分を取りづらい構造になっているからです。
この構造によって、
僅かな露出部を利用し、ポジション調整のためのホース等の余剰分も、長すぎれば前側に余りが出てしまいます。逆に短すぎれば組むこと自体が難しく、物理的に成立しません。
とくにステム下部やハンドル下部の溝にピタリと収めるタイプ、またホースを固定するタイプの構造の場合、ケーブル類の余剰はほぼ取れません。
つまり外装式、特に溝を這わせる構造では、確保できる余長は思ったほど大きくなく、ほぼ余剰が取れない構造という場合もあります。
これが従来までの外装式との違いであり、メリットがかなり少なくなっている理由です。
結果的に、もちろんハンドルの構造にもよって大なり小なり差はあるものの、ハンドル内にある程度余裕を持って収められる内装構造と違い、ヘッド下を通るルートではケーブルの余剰分を逃がせるスペースが少なく、見た目と機能の両立を狙うと、長さはかなり詰めて決めることになります。
その結果、あとからハンドル幅を変えようとしても、ホース長が足りず交換できないということが起こります。
外装であれば簡単に変えられそうに見えて、実際には長さがぴったりすぎて対応できないことが多々あるわけです。
もちろん、見た目を気にしなければ最初から長めに取るという方法はあります。
ただしその場合、外装の見た目は明らかに悪くなりますし、見た目だけではなく空力的にもメリットも削がれていきます。
つまり現在の外装ハンドルは、昔のような「自由にいじれる外装」ではなく、見た目は外装でも、内装以上に制約を受ける構造になっていることが多いのです。
特にフロント側では余剰分をフレーム内部に収めることはほぼできませんので、この影響は大きいです。
とはいえ、半内装式に意味がないわけではありません。
ポジションがまだ決まっていない段階で、ステム長を何度か変更したい場合や、好みのハンドルを試したい場合には、空力や見た目はいったん割り切り、ホースを少し長めに取っておくという方法もあります。
ただしその場合でも、ポジションが決まった時点で、あらためてきれいに組み直したほうが良いことは間違いありません。
■ 整備性 vs 空力 vs 剛性
では実際に、半内装式と完全内装式では何が違うのかを、整備性・空力・剛性の面から見ていきます。
✓整備性
まず整備性についてです。
一般的には外装式の方が整備しやすいというイメージがありますが、現行のフル内装前提フレームでは、その差は以前ほど単純ではありません。
確かに、完全な一体型内装システムは分解や再組み立てに手間がかかります。
しかし半内装式と比べて大きな差があるかと言うと、はっきり言って、そこまで大きな差はありません。
昨今の一体型ハンドルは内部への配線がかなり楽な構造になっているものが多く、またハンドル・ステム内部処理がかなりきれいで、通しやすいだけではなく余剰分も十分に収めておけるぐらいの構造の製品が増えてきています。
これにより、完全内装だからと言っても、整備性の悪さを少しでもカバーできるようになっています。
一方で、半内装式の場合、ホース長の制約が強く、見た目も含めて成立させるには結局かなり神経を使います。
つまり外装だから楽、ということは一概に言えなくなっており、構造次第では半内装式の方が手間がかかる、場合もあるというところです。
✓ 空力
空力に関しては、基本的にはフル内装側が有利です。
これは見た目の問題ではなく、ホースやケーブル類による気流の乱れを減らせるという意味で、構造として素直に有利です。
もちろん実走では、フレーム形状やライダーの姿勢の影響の方が大きい場面もあります。
それでも、ハンドル周りは風を強く受ける部分なので、露出物が少ないことには意味があります。
そのため、現行のエアロロードやレーシングバイクでフル内装が増えたのは、単なる流行ではなく、設計として合理性があるからです。
外装はどうしてもここで不利になりやすく、特に高速域を重視するのであれば、見逃しにくい差になります。
✓ 剛性
剛性については、少し慎重に見る必要があります。
ハンドルが外装か内装かだけで、単純に剛性の優劣を断定することはできません。
実際には、ハンドル形状、クランプ構造、一体型か別体型か、材質、設計思想などの影響の方が大きいからです。
ただし、システム全体として見た場合には、一体型の内装システムの方が設計の自由度を取りやすく、全体としてのまとまりを出しやすい傾向はあります。
ハンドル、ステム、スペーサー、フレームがひとつの構造として最適化されていれば、不要な逃げや無理な取り回しを減らしやすいからです。
メーカーがこれらのパーツをまとめて開発できるのは、剛性バランスや空力性能等をトータルで設計できるのが強みでもあります。
一方で外装は、部品の組み合わせ自由度が高い反面、全体としての統一感はやや弱くなります。
これは悪いことではありませんが、システムとして詰め切る設計とは方向性が異なる、という理解が近いと思います。
■ まとめ
現在のディスクロードは、フレームそのものが完全内装を前提に設計される時代になっています。
そのため、ハンドルが外装か内装かという見た目だけで、整備性や自由度を判断することは難しくなりました
かつての外装ハンドルには、取り回しの自由さ、交換のしやすさ、ホースやケーブル長の余裕といった明確なメリットがありました。
しかし現行フレームでは、外装ハンドルや半内装式であっても、ヘッド周りから先は内装前提の構造になっていることが多く、従来ほど自由に扱えるわけではありません。
一方で、完全内装式も以前のように「整備性が悪い構造」とは一概に言い切れなくなってきています。
近年の一体型ハンドルや内装システム、フレーム自体も、ホースの通しやすさや余長の処理が改善されているものも増えており、構造の良いモデルであれば、思っているほど極端に扱いにくいわけではありません。
もちろん、完全内装式であれば何でも良いというわけではありません。
メーカーやモデルによって、組みやすさ、整備性、専用パーツの入手性、互換性には大きな差があります.
ただ、少なくとも現在のロードバイクにおいては、昔のイメージだけで「外装のほうが整備性が良い」「整備性の面では完全内装が劣る」と考える時代ではなくなってきています。
完全内装は、もはや特別な構造ではなく、現在のロードバイクにおける主流の設計です。
そのうえで大切なのは、外装か内装かという単純な分類ではなく、そのフレームやハンドルがどのような構造で作られているかを見ることだと思います。
実際に様々なフレームを組んで。触っていて感じるのは、同じ完全内装式でも、メーカーやモデルによって整備性にはかなり差があるということです。
ホースの通しやすさ、ヘッド周りの構造、専用パーツの精度、ハンドル内部の余裕、分解時の作業性などは、見た目だけでは分かりません。
その点で、個人的に扱いやすいと感じるフレームもあります。
たとえばWINSPACEは、完全内装式でありながら、構造として無理が少なく、組みやすさも比較的良好な印象です。
最終的には、見た目やインプレッションもとても大切な要素ではありますが、今後整備を依頼するショップで相談しながら選ぶのが良いと思います。
+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
また整備内容によっては、車体メーカー、モデル名、ホイール、コンポーネントなども合わせてご連絡をお願い致します。
ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。当店の特徴・詳細ははこちらから
コメント