VO2maxのような高強度トレーニングを行ったあと、妙にお腹が空いた経験はないでしょうか。

短時間しかやっていないのに、終わったあとに強い空腹感が出る。あるいは逆に、疲れすぎて食欲がわかない。実際にはこのどちらも起こり得ます。

VO2maxは時間だけ見ればそれほど長くありません。そのため、終わったあとも「短時間だったし、そこまで消耗していないだろう」と軽く考えられがちです。ですが実際には、短い時間の中で糖質をかなり大きく使う運動です。しかも心肺だけでなく、脚や神経系にも強い負荷がかかります。

そのため、やった内容のわりに回復が遅い。翌日の練習で、本来は軽いはずのZ2が妙に重い。思ったほど高強度が伸びてこない。そうした状態になっていても不思議ではありません。VO2maxを続けているのに伸び悩む人の中には、メニューそのものではなく、その後の補給で損をしているケースも少なくないと思います。

特にVO2maxは、空腹を感じた時にはすでに遅れ気味になっていることがあります。血糖の落ち方が急で、枯渇感も強く、判断も鈍りやすいからです。だからこそ、なんとなく食べる、あとで食べる、疲れているから食べない、という対応ではもったいないです。これを防ぐためには、あらかじめ補給を手の届く場所に用意しておくなど、考えなくても動ける状態を作っておくのが有効です。

今回は、VO2maxのあとに回復を少しでも進めるための補給の基本について整理します。大事なのは糖質とタンパク質ですが、特に優先順位が高いのは糖質です。そして、それ以上に重要なのがタイミングです。




■ なぜVO2max後は回復を失敗しやすいのか
VO2maxの回復がうまくいかない理由は、単純に補給が足りていないからだけではありません。そもそも失敗しやすい条件が揃っています。

まず、VO2maxは時間が短いため、どうしても軽く見られやすいです。2分や3分、長くても5分程度のインターバルを数本行っても、全体では1時間前後で終わることが多いです。そのため「そこまで消耗していない」という感覚になりやすいです。

しかし実際には、短時間でも糖質はしっかり使われています。むしろ強度が高い分、単位時間あたりの消費量は大きく、体内のエネルギーは想像以上に削られています。

さらに厄介なのは、疲労感と食欲が一致しないことです。VO2maxのあとには強い空腹を感じる場合もあれば、疲れすぎて食欲が出ない場合もあります。どちらも自然な反応ですが、空腹に任せて雑に食べたり、食欲がないまま何も食べなかったりすると、回復は崩れやすくなります。

もう一つは、補給のタイミングを逃しやすいことです。VO2max後は血糖の落ち方が急で、枯渇感も強くなりやすく、その影響で判断も少し鈍りやすいです。「あとでいいか」となりやすいのですが、回復効率が高い時間は限られています。ここを逃すと、補給はしていても回復のスピードと質が落ちやすくなります。

つまりVO2maxは、時間が短いため軽く見てしまいやすく、食欲と疲労感もズレやすく、さらにタイミングも外しやすい。こうした条件が重なることで、回復を失敗しやすいトレーニングになっています。


■ なぜ糖質が最優先なのか
VO2max後の補給で、まず最優先に考えたいのは糖質です。

タンパク質も大切ですが、優先順位をつけるなら先に来るのは糖質です。理由は単純で、VO2maxのような高強度運動では糖質への依存度が非常に高いからです。

強度が上がるほど、身体は脂質よりも糖質を多く使うようになります。VO2maxはその中でもかなり高い強度です。時間自体は短くても、短時間の中で一気に糖質を使います。そのため、終わったあとに起きているのは単なる疲れではなく、エネルギー源として使える糖質がかなり減った状態です。

ここは誤解されやすいところですが、VO2maxは短時間だからといって補給を軽く見てよいわけではありません。たしかにSSTやロングライドのように長時間ではありませんが、時間が短い代わりに糖質を使う密度が高いです。

しかもVO2maxでは、血糖の落ち方が急で、枯渇感も強く出やすいです。だからこそ、空腹を感じた時にはすでに遅れ気味になっていることがあります。補給は感覚任せにするのではなく、「終わったらまず糖質を入れる」と決めておいたほうが失敗しにくいと思います。


■ どのタイミングで入れるべきか
VO2max後の補給で、何を食べるかと同じくらい大切なのがタイミングです。むしろ実際には、内容以上にこちらのほうが重要なこともあります。

運動後しばらくの時間は、身体がエネルギーを補充しやすい状態になっています。このタイミングで糖質を入れると、グリコーゲンの回復が進みやすくなります。逆に何も食べずに時間が空くと、その分だけ回復のスタートが遅れます。

目安としては、まず終了直後から30分以内です。この時間に糖質を入れておくと、回復の流れを作りやすいです。30分以内の補給では、マルトデキストリン系のドリンクやゼリー飲料など、すぐに摂れるものを使うと実行しやすいです。
1時間後でも食べないよりはずっと良いですが、やはり少しもったいない。2時間空いてしまうと、せっかくやったVO2maxの回復効率をかなり落としやすくなります。

ここで大事なのは、完璧を目指しすぎないことです。「帰宅してから」「シャワーのあとで」「落ち着いてから」と考えるのは自然ですが、VO2max後はその“あとで”が伸びやすいです。だからこそ、終了直後にすぐ入れられるものを持っておくのが実務的です。

ワタクシ自身も、VO2maxは時間が短いためもあってか、直前よりも直後にジェルを入れるほうが合っているように感じています。また終わったあとに枯渇感が出やすいため、そこで一度糖質を入れておくと、その後がかなり安定します。

室内トレーニングの場合は、このタイミングを逃しにくいという点もメリットの一つです。終了してすぐに補給できる環境が整っているため、回復の流れを作りやすいです。

■ どのくらい食べればよいのか
VO2max後は糖質が大事と言っても、実際にどのくらい食べればよいのかが分からないと動きにくいと思います。

ここで一つの目安になるのが、運動後の糖質を体重1kgあたり1.0〜1.2g程度という考え方です。細かく厳密にやる必要はありませんが、まずはこのくらいを基準にしておくと分かりやすいです。

例えば体重60kg前後であれば、目安は60〜70g程度になります。数字だけだと分かりにくいので、食品に置き換えると、おにぎり2個、食パン6枚切り2枚、ジェル2本前後、あるいはバナナとパンの組み合わせがこのあたりのイメージです。

大事なのは完璧な計算をすることではなく、「VO2maxのあとにはこのくらいの糖質を意識して戻す」という感覚を持つことです。

そして、糖質に加えてタンパク質も入れておくと、回復はさらに整いやすくなります。タンパク質については細かな議論もありますが、実務としては20g前後で十分だと思います。プロテイン1杯でも良いですし、その後の食事である程度入っていれば問題ありません。

優先順位としては、まず糖質を入れ、そのうえでタンパク質も足す。この順番で考えると分かりやすいです。逆に、ここで脂質の多いものばかり選んでしまうと、糖質補給の優先順位がぼやけやすくなります。脂質そのものが悪いわけではありませんが、VO2max直後の回復という意味では主役ではありません。


■ やりがちな失敗ともったいない点
VO2max後の補給は、難しいことをして失敗するというより、よくある流れの中で自然に外してしまうことが多いと思います。

まず分かりやすいのは、何も食べないことです。VO2maxは時間が短いため、「短時間だったし大丈夫だろう」と流しやすいですが、実際には糖質はしっかり使われています。何も入れないまま時間が過ぎると、回復のスタートそのものが遅れます

次に多いのが、食べてはいるけれど遅いケースです。帰宅後やシャワー後にしようとしているうちに、1時間、2時間と空いてしまう。それでも食べないよりは良いですが、やはりもったいないです。

さらに、補給の中身が脂質中心になってしまうこともあります。脂質自体が悪いわけではありませんが、このタイミングでまず優先したいのは減った糖質を戻すことです。脂質中心になると、糖質の確保が曖昧になりやすく、結果として回復の軸がずれます。

もう一つ見落としやすいのは、空腹に任せて判断することです。VO2max後はお腹が空きやすいですが、その時にはすでに遅れ気味になっていることがあります。だからこそ、感覚に任せるのではなく、終わったらまず糖質を入れると型にしておいたほうが回復は安定します。


■ まとめ
VO2max後の補給で大切なのは、糖質・タンパク質・タイミングです。
ただし、まず優先したいのは糖質で、終了直後から30分以内に入れるのが基本です。

そしてもう一つ大事なのは、直後に60〜70g前後の糖質を入れたら終わりではないということです。そこは回復のスタートであって、ゴールではありません。

VO2maxでは短時間でも糖質はしっかり削られています。直後の補給だけでは戻しきれないことが多く、そのまま終わってしまうと、回復が中途半端な状態で止まりやすくなります。

そのため、最初に糖質を入れて回復の流れを作ったあと、1〜2時間以内の食事でさらに糖質を追加していく。このときは普段通りではなく、ご飯やパンなどの主食を意識して多めに取るくらいがちょうど良いです。VO2maxをしっかりやった日であれば、「少し多いかな」と感じるくらいでも、回復という意味ではむしろ自然な範囲です。

ですので、まずはこれです。
・終了直後に糖質を入れる
・30分以内に炭水化物とタンパク質を追加する
・その後の食事で主食を意識して多めに取る

VO2maxはやる内容、その後の補給と回復。この両方が揃ってはじめて意味を持ちます。




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