富士ヒルに向けて、インターバルトレーニングを取り入れている方も多いのではないでしょうか。
最近ではGarminなどのサイクルコンピューターにプリセットされたワークアウトだけでなく、ZwiftやMyWhooshなどにも多くのメニューが用意されており、以前よりもインターバルはかなり身近なものになったように思います。
しかし、そんなインターバルトレーニングにも落とし穴があります。
インターバルはきつい練習だからこそ、「今日はしっかりやった」という実感が出やすいものです。
その一方で、頑張る方向を少し間違えるだけで、思ったほど効果が出なかったり、逆に全体の調子を崩したりすることもあります。
ワタクシ自身も、これまでさまざまな疑問を持ちながら試行錯誤を繰り返してきました。
今振り返ると、当時は練習の質を高めているつもりでも、実際にはインターバルの効果を削いでいた部分が少なからずあったように思います。
今回は、そんな自分自身の実体験も踏まえながら、インターバルトレーニングでやってしまいがちな間違いについて書いてみようと思います。
1. 高ければ高いほど良いと思っていた
インターバルトレーニングを始めた頃は、パワーが高ければ高いほど良い考えていました。
ですので、設定より高い出力でこなせれば、それだけ良い練習になると思っていました。
たとえばVO2maxなら少しでも高く、SSTや閾値系でも上振れするほど価値がある。そんなふうに考えていた時期があります。
とにかく出し切ることが大切で、SSTであってもVO2maxであっても、余裕を残さず終えるほど効果があると信じていました。
ですが実際には、インターバルはただ高い数字を出すための練習ではありませんでした。
それぞれのメニューには狙っている適応があり、そのために適した強度や時間設定があります。そこから大きく外れてしまえば、見た目の数字は立派でも、狙った練習ではなくなってしまいます。
特にありがちなのが、最初の1本を勢いで高く踏みすぎてしまい、後半で大きく落ちるパターンです。
これでは「高い出力を出した」という満足感は残っても、全体としては再現性の低い、雑なインターバルになりやすいです。きついわりに積み上がらず、次の日以降に余計な疲労だけを残すこともあります。
本来、良いインターバルというのは、必要以上に高い数字を出した練習ではなく、狙った強度を最後まで崩さずに揃えられた練習です。
少し余裕を残してでも、設定した範囲に収め、全体の質を保ったほうが、結果として練習の価値は高くなります。
ワタクシ自身も以前は、出し切ることこそ正義、きついことをすれば強くなれる!と設定より高ければ高いほうが効果があるような感覚をどこかで持っていました。
しかし振り返ると、それは強い練習をしていたというより、ただ雑にきつい練習を増やしていただけだったように思います。インターバルで大切なのは、派手な数字ではなく、狙いどおりに積み重ねられることです。
2. レストは短いほど良いと思っていた
これは前項と重なる部分もありますが、レスト時間の捉え方、考え方です。
以前は、レストが短いほど練習として優れているように感じていました。理由は簡単で、休みが短いほうがきついですし、そのぶん強い練習をしているような気がしていたからです。
いわば、“きついが正義”と考えていたわけです。
ですが実際には、レストは単なる“おまけ”でもありませんし、単なるサボりタイムでもありません。
インターバルにおけるレストは、次の1本を高い質で成立させるための重要な設計の一部です。短ければ短いほど良いわけではなく、そのメニューの目的に合った長さであることが大切です。
たとえば、VO2max系のインターバルであれば、ある程度の回復を入れながら高い酸素摂取状態を繰り返し作ることに意味があります。
一方でレストを短くしすぎると、次の1本で必要な出力が出せなくなり、ただ苦しいだけで終わってしまうことがあります。見た目には追い込んでいるようでも、実際には狙った刺激を維持できていないことにもなります。
SSTや閾値系でも同じです。
レストを詰めること自体が悪いわけではありませんが、それはあくまで練習の質が揃ったうえで、次の段階として考えるものです。最初から必要以上に短くしてしまうと、後半のフォームや出力が崩れ、全体として雑な内容になりやすいです。
以前のワタクシは、レストを短くすることそのものに価値があると思っていました。
ですが今振り返ると、それは練習を難しくしていただけで、質を高めていたとは限りませんでした。レストは削るための時間ではなく、次の1本の質を最大限に高めるための大切な時間です。インターバル全体の完成度を見るなら、苦しさよりも、最後まで狙いどおりに揃えられたかを優先したほうが良いと思います。
3. 一度でもできたら、すぐに強度を上げるほうが良いと思っていた
以前は、インターバルを一度でもクリアできたら、次はもう少し強くするべきだと思っていました。
なぜならレーニングは少しずつ負荷を高めるものだ、という考えがあったからです。
設定どおりにこなせたら次は上げる。少し余裕があったならさらに上げる。FTPも同じで、一度でもそれらしい数字が出たら、すぐ更新していた時期があります。
ですが今振り返ると、それは少し早すぎる判断だったと思います。
トレーニングで大切なのは、一回できたかどうかではなく、その内容を無理なく再現できるかどうかです。たまたま一度できたことと、安定して繰り返せることはまったく別です。
実際には、気温、風、睡眠、補給、前日の疲労、気分の乗り方などで、その日の出来はかなり変わります。
条件が良かった日にたまたま一回できたとしても、それだけですべての基準を引き上げてしまうと、その後の練習が急に苦しくなり、質が揃わなくなることがあります。1本ごとのばらつきが大きくなったり、完遂率が下がったり、回復まで崩れたりするようでは、本当に強くなっているとは言いにくいです。
特にFTPは、単に高い数字を名乗るためのものではなく、練習全体の土台になる数値です。
そこを早く上げすぎると、SSTも閾値もVO2maxも、すべての設定が微妙に高くなります。一見すると前向きな更新に見えても、実際には練習の再現性を失わせる原因になることがあります。
本当に大切なのは、少し良かった一回を追いかけることではなく、その強度を何度か繰り返しても崩れないことです。
余裕を持って成立し、後日も再びできる。そうなって初めて、その強度は自分のものになったと言えるのだと思います。
以前のワタクシは、「できたのだから次へ進むべきだ」と考えていました。
ですが今は、一度できたことよりも、それを再現できることのほうがずっと価値があると感じています。トレーニングは、単発の成功を積み上げるものではなく、再現できる強さを育てていくものです。
4. インターバル以外の日まで頑張るほうが強くなれると思っていた
以前は、強くなるにはとにかくたくさん頑張るしかないと思っていました。
そのため、インターバルの日だけでなく、それ以外の日もなるべくしっかり踏んだほうが良いと考えていた時期があります。高強度の日に頑張り、つなぎの日もある程度追い込み、毎日少しでも負荷を積み上げたほうが成長は早い。そんなイメージを持っていました。
ですが実際には、インターバルの価値は、その日だけで完結するものではありません。
大切なのは、次の高品質な練習を成立させられる状態を保つことです。インターバル以外の日まで踏みすぎてしまうと、肝心の高強度の日に脚が残らず、狙った内容をこなせなくなります。
特に起こりやすいのが、回復日のつもりで乗っているのに、気がつけば中途半端に強くなってしまうことです。
本人としては「そこまで頑張ったつもりはない」と思っていても、疲労は少しずつ積み重なります。その結果、次のインターバルで出力が揃わない、心拍の反応が鈍い、後半で急に落ちる、といった形で質の低下が表れます。
インターバルトレーニングは、単体で見れば派手な練習です。
ですが、本当に差が出るのは、それを継続して再現できるかどうかです。インターバルの日以外まで毎回頑張ってしまうと、一日は満足できても、一週間単位で見ると練習全体が崩れやすくなります。
今振り返ると、ワタクシは「今日も頑張った」という感覚を積み重ねることと、「強くなるための流れを作ること」を少し混同していたように思います。
けれど実際には、強くなるために必要なのは、毎日頑張ることではなく、頑張る日をきちんと頑張れることです。インターバル以外の日まで強くしてしまうのは、熱心に見えても、全体としては練習の効果を削いでしまうことがあります。
5. やればやるだけ強くなると思っていた
以前は、インターバルトレーニングはやればやるだけ強くなれるものだと思っていました。
本数を増やし、頻度を増やし、週の中に高強度の日を多く入れられるほど成長は早い。そんなふうに考えていた時期があります。
たしかに、一定の負荷がなければ強くはなれません。
ですが実際には、インターバルは量そのものよりも、狙った質で継続できるかどうかのほうが大切です。頻度や本数を増やしすぎると、一回一回の内容が薄くなったり、疲労が抜けきらないまま次の高強度に入ることになったりして、全体としてはかえって質が落ちやすくなります。
特に起こりやすいのが、「今日は少し軽めだから大丈夫」「短いメニューだから追加しても問題ない」といった形で、気づかないうちに高強度の総量が増えていくことです。
一回ごとには大したことがないように見えても、週単位で見ると蓄積は大きく、脚の重さや反応の鈍さ、完遂率の低下として表れてきます。
インターバルは、たくさん入れた人が勝つ練習ではありません。
必要な刺激を、回復とセットで吸収し、次もまた再現できる形で積み重ねていくことが重要です。量や頻度を増やすこと自体が目的になってしまうと、練習しているつもりで、実際には疲労を増やしているだけという状態にもなりやすいです。
以前のワタクシは、「もっとやれば、もっと強くなる」とかなり素直に信じていました。
ですが今振り返ると、大事だったのは“たくさんやること”ではなく、“必要な分をきちんと吸収できること”でした。インターバルは、量を足していけば無限に良くなるものではありません。むしろ、やりすぎたところから質は崩れやすくなるのだと思います。
6. ウォームアップや補給はそれほど重要ではないと思っていた
以前は、インターバルの本番さえしっかり踏めれば、ウォームアップや補給はそこまで重要ではないと思っていました。
極端に言えば、大事なのはメインセットであって、その前後をかなり蔑ろにしていた時期があります。
ですが実際には、インターバルの質は始める前の段階でかなり決まっています。
ウォームアップが不十分なまま入れば、1本目から必要以上にきつく感じやすくなりますし、脚も呼吸も噛み合わないまま苦しい時間が始まります。すると本来の狙いどおりの強度に持っていく前に、無駄に消耗してしまうことがあります。
補給も同じです。
特に高強度の練習では糖質への依存度が高く、エネルギーが足りていない状態では、後半になるほど脚が回らない、出力が揃わない、妙にきつい、といった形で質が落ちやすくなります。こういうときに「今日は調子が悪い」「根性が足りない」と考えてしまうことがありますが、実際には単に補給が足りていないだけ、ということも少なくありません。
ワタクシ自身も、短いメニューではそれほど気にならなくても、インターバル全体で1時間を超えてくるような日は、途中で補給を入れたほうが明らかに後半の質が高くなると感じることがありました。最初の1本よりも、むしろ後半の質に差が出やすい印象です。
インターバルは苦しい練習なので、どうしても「本数」「時間」「出力」といった目立つ部分に意識が向きます。
ですが、ウォームアップも補給も、その本数や出力を成立させるための条件です。そこが整っていなければ、どれだけ良いメニューを組んでも、安定して質を出すのは難しくなります。
以前のワタクシは、インターバルができるかどうかは気持ちや脚の強さで決まると思っていた部分がありました。
しかし今振り返ると、実際にはその前段階の準備がかなり大きかったように思います。インターバルは、始まってから頑張るだけの練習ではありません。インターバルは準備をふくめて、本番をいかに良い状態で始められるかが大切です。
■ まとめ
インターバルトレーニングは、ただ苦しいことをすれば良い練習になるわけではありません。
大切なのは、狙った強度を、狙った形で、崩さずに積み重ねることです。
高すぎる出力、短すぎるレスト、毎回の全力、無理な継続。そうした“頑張りすぎ”は、一見熱心に見えても、実際には効果を削いでしまうことがあります。
ワタクシ自身もそうした思い込みを少しずつ修正してきたことで、ようやくインターバルを「ただ苦しい練習」ではなく、「狙いを持って行う練習」として扱えるようになってきました。
ただし、今回ご紹介したことの逆であれば良い、というわけでもありません。
強度が低すぎること、いつまでも設定を見直さないこと、インターバルの量が少なすぎることも、やはり狙った効果を得にくくなります。
大切なのは、抑えることそのものではなく、適切に行うことです。
適切な強度で、適切な量を、適切なタイミングで行うこと。そのどれが欠けても、インターバルトレーニングは狙いどおりのものになりません。
インターバルで大切なのは、すごい一本ではなく、狙った内容を揃えて続けることです。
強い練習と、雑にきつい練習は別物ですし、逆に、無難なだけで刺激の足りない練習もまた別物です。
狙いに合った刺激を、無理なく継続できる形で積み重ねていくことこそ、結局はいちばん大切なのだと思います。
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