ついに関東にも真夏が到来しました。
酷暑時のライドは、とにかく暑さとの戦いです。

直射日光だけではなく、アスファルトからの照り返し、車からの熱風、そして走行中に発生する身体の熱。気温が35℃近くまで上がると、ゆっくり走っているだけでも身体にはかなりの熱がたまっていきます。

もちろん、最も確実な対策は、気温が高くなる時間帯を避けて走ることです。

しかし、真夏でもロードバイクに乗りたい場合は、できる限り早朝に走ること、水分や塩分だけではなく糖分もしっかり補給すること、頑張りすぎず強度を上げすぎないことなど、基本的な対策が重要になります。

それに加えて、身体にたまった熱を逃がす方法も考えておくとよいと思います。

以前、当ブログで「手を冷やす」という暑熱対策を紹介しました。

2023年の記事です。


当時はまだ、手のひらを冷やすという方法は、現在ほど一般的ではなかったように思います。

しかし、それから3年が経ちました。

最近ではテレビの熱中症対策や、部活動をはじめとしたスポーツ現場でも、手を冷やす方法を目にする機会が増えてきました。

さらに今年、2026年のツール・ド・フランスでは、Netcompany Ineosの選手たちが、手だけではなく前腕まで冷水に浸している様子が紹介されていました。

ということで今回は、3年前から私自身も取り入れている手のひら冷却と、現在プロの現場でも行われている前腕冷却、そして一般のサイクリストが真夏のライド中に実践できる方法について、改めて考えてみたいと思います。


▶2026年のツールでは前腕まで冷やしていた
2026年のツール・ド・フランス、チームタイムトライアルのスタート前です。

 Ineosのウォーミングアップエリアには、選手の人数に合わせて複数の大きな容器が用意されていました。

その中に入っていた水の温度は、記事によると8.8℃。

選手たちは椅子に座り、手から前腕までを水に浸していました。

実際の様子はCyclingnewsの記事で確認できます。


記事の内容を簡単にまとめると、暑い環境でタイムトライアル前のウォーミングアップを行う場合、脚の筋肉はしっかり温めたい一方で、身体全体の温度は上げすぎたくありません。

そのため、脚を冷やすことなく身体の熱を逃がす方法として、手から前腕を冷水に浸す方法を採用したのだと考えられます。

それでも、暑熱対策として手から前腕を冷やしていること自体は、写真を見れば一目瞭然です。

3年前から真夏の熱中症対策を兼ねて、あまりにも暑い時にはコンビニの氷と水で手を冷やしていた私としては、やはり手を冷やすという方法はよかったのかもしれないと思いました。


▶ なぜ手や前腕を冷やすのか
手のひらには、動脈と静脈が直接つながる「動静脈吻合(AVA:Arteriovenous Anastomoses)」と呼ばれる特殊な血管があります。

身体が暑くなるとAVAが開き、身体の熱を持った血液が手のひらへ多く流れるようになります。手のひらは、いわば身体の放熱器のような役割を持っています。

また、手のひらや前腕は体幹部と比べて、容積に対する表面積の割合が大きく、冷却しやすい部位です。

そのため、手のひらや前腕を冷水に浸すことで、そこを流れる血液から熱を奪い、身体にたまった熱を逃がす手助けになると考えられています。

日本スポーツ振興センターの暑熱対策ガイドブックでも、「手掌前腕冷却」として紹介されています。運動間に行う場合は10~15℃程度の水が効果的とされ、深部体温を下げるには10分程度が望ましい一方、短時間でも冷涼感を得られるとされています。

ここで重要なのは、冷たければ冷たいほどよいわけではないことです。

水温が低すぎると血管が収縮し、冷却効率が下がる可能性があります。また、氷を直接握ったり、痛みやしびれが出るまで冷やしたりする必要もありません。

Ineosが使用していた水温は8.8℃でした。

キンキンの氷水というほどではありませんが、冷蔵庫から出したばかりの飲み物よりは少し高めで、手を浸すとかなり冷たく感じる温度です。冷たければ冷たいほどよいわけではなく、手の血流を極端に減らさず、ある程度の時間冷やし続けられる温度が選ばれていたのだと思います。


▶コンビニでできる暑熱対策
真夏のライドでは、水分補給などのためにコンビニへ寄り、大きな水とロックアイスを購入することがあります。

水と氷の大部分はボトルの補充に使い、その際に氷の袋や容器の中へ少しだけ氷を残しておきます。そこへ余った水を入れ、手を浸します。

Ineosのように前腕まで浸すのは難しくても、手首から先を冷やすだけであれば、それほど大変ではありません。

わざわざ冷却専用の氷と水を用意しなくても、ボトルへ補充した残りを利用すればよいのです。

私自身も、真夏のライドで暑さが厳しいときには、この方法を行っています。

手やアームカバーに氷水を一度かけるだけでは、冷たさはすぐに消えてしまいます。しかし、しばらく水に浸して冷やしていると、不思議とうだるような暑さが引いていくのを体感できます。

再び走り始めた際には、周囲の気温が下がったのではないかと思うほど、暑さの感じ方が変わりました。

真夏のライド中に、コンビニで比較的簡単に実践できる暑熱対策として、ぜひ一度試していただきたい方法です。
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▶氷で直接冷やすこととの違い
手を冷やせばよいからといって、氷を直接当て続ければよいわけではありません。

過去に私も、手を冷やすのであれば効果があるのではないかと思い、グローブの中へ氷を入れる方法を試したことがあります。

しかし、氷が直接触れている部分だけが冷えすぎてしまい、次第に痛みを感じるようになりました。

冷たいボトルを握ったり、手やアームカバーへ氷水をかけたりする方法も悪くはありません。しかし私の場合は、冷たい水に手を浸したときほどの効果は感じられませんでした。

重要なのは、氷を皮膚へ直接当て続けることではなく、冷たい水で手の表面を広く、ある程度の時間をかけて冷やすことだと思います。

痛みやしびれが出るほど冷やさなくても、十分に効果を感じることができます。

▶危険を感じたら
普段の真夏のライドでは休憩時等に、ボトル補充の残りを利用し、一時的に冷やすだけでも効果は実感できるかと思います。

しかし逆に、明らかにパフォーマンスが落ちるぐらい身体に熱がこもっている、いつもより異常に暑く感じる、ぼーっとしだす、このまま走り続けるのは危ないと感じた場合は、早めに対策を取ることをお勧め致します。

数百円で身体を冷やせるのであれば、ためらうような金額ではありません。

ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、手を冷やすことは「熱中症になっても走り続けられる方法」ではないということです。

頭痛、吐き気、強いだるさ、ふらつき、判断力の低下など、熱中症が疑われる症状がある場合は、走行を中止して涼しい場所へ移動し、身体を冷やして休む必要があります。

受け答えがおかしい、意識がはっきりしない、自力で水分を飲めない場合は、手だけを冷やして様子を見る段階ではありません。救急要請や医療機関への搬送が必要です。

手の冷却は、あくまでも暑熱対策の一つです。

危険な状態から復活して走り続けるための裏技ではありません。

▶ まとめ 手を冷やすという暑熱対策
3年前に手のひら冷却の記事を書いた頃は、まだ少し変わった暑熱対策という印象がありました。

それまでは私自身、暑さが厳しいときには、冷たい水をかぶる、氷を背中に入れるといった対策を行っていました。

冷たい水をかぶる方法は、瞬間的には非常に気持ちよく、身体も一気に冷えます。しかし、どちらかといえば一時的な冷却という印象が強く、比較的すぐに再び暑さが戻ってきます。

現在では、私の暑熱対策は、すっかり手を冷やす方法へと変わりました。

なぜなら、やはり効果を感じやすく、私の場合は15〜20分程度、暑さがやわらぐように感じているからです。

また、コンビニで水分補給のために氷と水を購入し、ボトルへ補充した残りの冷水に手を浸すだけであれば、それほど手間もかかりません。

身体全体に水をかぶる必要がないため、ウェアやシューズまでびしょびしょになることもありません。

手軽な方法ですが、実際に試してみると、想像以上に身体が楽に感じられることがあります。

真夏のロードバイクでは、手を冷やす。
ぜひ暑熱対策の選択肢の一つとして、お試しいただければと思います。




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