リアディレイラーのプーリーの寿命は、何によって決まるのでしょうか。
プーリーの摩耗による寿命というと、多くの方は歯先の形を確認すると思います。プーリーの歯は使用を重ねることで摩耗し、歯先が痩せたり、欠けや割れが発生したりすることがあります。消耗品である以上、こうした経年による摩耗はある程度仕方のないところです。
しかし、プーリーが摩耗するのは歯先だけではありません。
今回点検したシマノ105 Di2のリアディレイラー、RD-R7150のプーリーには、歯先以上に摩耗が進んでいる場所がありました。
ということで今回は、少々マニアックなお話しですが、105リアディレイラー RD-R7150のプーリー摩耗は歯先だけではない|確認すべきもう一つのポイント、そんなお話です。
▶触ってすぐに気がついた異常
使用環境や雨天走行の頻度までは分かりませんが、使用3年位、距離にして1.5万キロ程度と聞いていました。
しかし実際にリアディレイラーを触ると、プーリーのガタがかなり大きいように感じました。
過去にはシマノの技術でセンタロンという、意図的にガタを作ることで静音性をあげ、滑らかさを出すという技術がありました。
しかし最近ではもうセンタロンは使われなくなった技術です。
もちろん新品でも多少のガタはありますが、その新品のガタとは比べ物にならないほどのガタが発生していました。
この新品のガタと、異常なガタ、この判断は経験的な部分です。
明らかな異常として、分解してみることに増した。
▶内部の状態
▶内部の状態
RD-R7150の純正プーリーは、ベアリングではなくブッシュを使用した構造です。
分解してみると、ブッシュが接触する部分やプーリー内側の摺動面に、はっきりとした摩耗痕が確認できました。状態のよいプーリーと比較すると、その差は一目瞭然です。
まずは、特にガタが大きかったテンションプーリーから見てみます。

左側が摩耗の進んでいないプーリー、右側が今回取り外したプーリーです。
矢印で示したカバーが接触する側面を見ると、右側は円周方向に線状の摩耗痕が入り、本来あった段差もかなり低くなっています。少なからずカバーとの接触しながら回転する部分は削れ、少しずつクリアランスが広がっていったものと考えられます。
さらに、プーリー中央の穴の内側を拡大してみます。

左側の状態がよいものは、内側の表面が比較的滑らかです。一方、右側のガタが大きくなったプーリーには、円周方向に何本もの深い線状痕が残っています。
表面が少し擦れたという程度ではなく、プーリー本体の内側が明らかに削れている状態です。これだけ摩耗すれば、ブッシュとの隙間が広がり、プーリーのガタが大きくなるのも当然です。
続いて、ガイドプーリーを見てみます。

こちらは、内部の金属製ブッシュ周辺に明らかなサビが発生していました。ただし、全体が均一にサビているわけではなく、ブッシュの内側にはサビが削り取られたような跡も見られます。
拡大すると、さらに分かりやすくなります。

赤茶色のサビが残っている部分がある一方で、軸と接触する内側は、回転によって磨かれたように金属面が露出しています。
内部に水分や汚れが入り込んでサビが発生し、その状態で回転を続けることで、サビや異物を噛み込みながら摺動面が削られていったものと考えられます。サビが発生しては擦られ、再びサビが発生する。そうした状態を繰り返すうちに摩耗が進み、ガタが大きくなっていったものと考えられます。
このように、プーリーの摩耗は外から見える歯先だけでなく、ブッシュやプーリー内側でも進行します。むしろ今回のようなケースでは、歯先よりも内部の摩耗の方が、プーリーの寿命を決める大きな要因になっていました。
▶原因を推測する
今回の摩耗が、ひとつの原因だけで発生したとは考えにくいです。おそらく、水分や砂、泥などがプーリー内部に入り込み、その状態で長期間使用されたことが大きく影響していると思われます。
RD-R7150の純正プーリーはブッシュ式です。ベアリングのように密閉された構造ではなく、カバー構造があるとはいえ、プーリーとブッシュが直接摺動しながら回転します。そのため、内部に入り込んだ細かな砂や摩耗粉が残ると、それらが研磨剤のような働きをして、プーリー内側やブッシュ表面を少しずつ削っていきます。
さらに今回は、ガイドプーリーのブッシュ周辺にサビも確認できました。内部に水分が入り込み、サビが発生した状態で回転を続けることで、サビた表面が擦られ、また水分が入ってサビる。こうした状態を繰り返すうちに、摩耗が進んでいった可能性があります。
使用期間はおよそ3年、走行距離は1万5,000km前後とのことでした。雨天走行や保管環境、洗車方法などは不明ですが、それだけ使用されていれば、内部に汚れが入り込む機会も相応にあったはずです。
もちろん、砂や泥だけが原因ではなく、潤滑状態や個体差、使用環境など、複数の要因が重なった結果と考えるのが自然です。
ただし、今回の状態を見る限り、歯先の摩耗より先に内部の摺動部分が摩耗し、それによってプーリーのガタが大きくなった可能性は高いと思います。
▶対策
対策として、定期的にプーリーを分解し、内部を洗浄しておくことは有効だと思います。ただし、すでにガタが大きくなっている場合は、洗浄で元に戻るものではありません。その段階では交換が必要です。
交換するのであれば、候補となるのがアルテグラRD-R8150用のベアリング入りプーリーです。
以前、DURA-ACEのプーリーへの交換が流行った時期もありましたが、実は公式でも互換性がほぼなく、かえって変速の具合が悪くなる場合もありました。上位グレードの部品だからといって、何に付けても良くなるわけではありません。
一方、RD-R7150とRD-R8150のプーリーは、シマノの互換情報上ではB互換です。完全に同一仕様ではありませんが、使用可能な組み合わせとされています。今回は、RD-R7150純正のブッシュ式プーリーから、RD-R8150用のベアリング入りプーリーへ交換しました。
どちらもシマノ純正品で、歯数や形状も純正設計の範囲内です。社外製の大型プーリーのように変速機全体の設計を大きく変えるものではなく、純正らしい変速性能を維持したまま交換できます。
価格差はおおよそ1,000円ほどです。せっかく交換するのであれば、この差額でベアリング入りを選べることを考えると、RD-R8150用を選ぶ価値は十分にあると思います。
また、ブッシュ式からベアリング入りになることで、回転部のガタが抑えられる可能性もあります。新品同士でどこまで変速性能に差が出るかは断言できませんが、プーリーの動きが安定することは、構造的には変速の安定性にも良い方向へ働くと考えられます。
▶まとめ
プーリーはリディレイラーの中の一部であり、見えづらく小さな部品ですが、リアディレイラーの変速性能を支える重要なパーツです。
ガイドプーリーはチェーンをスプロケットの正しい位置へ導き、テンションプーリーはチェーンの張りを保ちながら、駆動を安定させています。そのため、内部の摩耗によってガタが大きくなれば、チェーンの駆動の安定性だけではなく、変速性能にも大きな影響を与える可能性があります。
プーリーの寿命は、歯先の摩耗だけで判断できるものではありません。今回のように、歯がある程度残っていても、内部のブッシュや回転部が摩耗し、大きなガタが発生している場合があります。
ガタが明らかに大きい場合は交換が必要なのは、公式のマニュアルにも記載があることです。
ただし、プーリーには構造上の遊びもあるため、正常な範囲なのか、摩耗による異常なガタなのか判断が難しい場合は、プロショップで点検してもらうのが確実です。
ただし、プーリーには構造上の遊びもあるため、正常な範囲なのか、摩耗による異常なガタなのか判断が難しい場合は、プロショップで点検してもらうのが確実です。
小さな部品だからこそ見落とさず、状態のよいものを使う。それもまた、マージナルゲインのひとつだと思います。
ということで今回は105リアディレイラー RD-R7150のプーリー摩耗は歯先だけではない|確認すべきもう一つのポイント、そんなお話しでした。
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