このたびFF-Cycleでも、X-LAB製品を取り扱わせていただくことになりました。

今回ご紹介するのは、X-LABのハイエンドエアロロードに位置づけられる「AD9」です。代理店のご厚意により試乗車をお借りすることができましたので、車体の細部を確認するとともに、実際に約100km走ってみました。

AD9は、2025年からUCIワールドチームのXDS Astana Teamへ供給されている、正真正銘のワールドツアーバイクです。2026年のツール・ド・フランスでも、平坦ステージから山岳ステージまで、世界最高峰のレースを戦いました。

印象的だったのは、2026年ツール最終日の第21ステージです。

モンマルトルを含むパリの難しいコースでマチュー・ファンデルプールが劇的な勝利を収めるなか、XDS Astana Teamのマックス・カンターも最後のスプリントに加わり、ステージ4位に入りました。優勝には届かなかったものの、AD9が世界最高峰のスプリントで上位争いを演じたことは、この車体の実戦性能を示す結果のひとつといえるでしょう。

そしてAD9でもうひとつ注目したいのが、その価格です。

フレームセットは税込39万6,000円。専用ハンドルは付属しませんが、現在の他社製ハイエンドフレームと比較すると、かなり抑えられた価格設定です。

完成車は、SHIMANO DURA-ACE Di2、Branta C50 ULRカーボンホイール、カーボン製パワーメータークランクを装備しながら、税込119万9,000円。現在のワールドツアークラスの完成車としては、比較的手の届きやすい価格にまとめられています。

もちろん、ワールドツアーで使用されていることや、スペックに対して価格が抑えられていることだけで、ロードバイクの本当の走りまでは分かりません。

今回は車体の仕様や各部の作りを確認しながら、普段乗っているWINSPACE SLC5やM6とも比較し、X-LAB AD9がどのような性格を持ったロードバイクなのか、実走を通して詳しく見ていきたいと思います。

▶車体詳細
PXL_20260723_202003369
※画像は実際に試乗した際の状態です。普段使用している車体との違いをできるだけ少なくするため、ボトルやサドルバッグなども、いつもの走行環境に近い状態に揃えています。

X-LAB AD9  
コンポーネント:SHIMANO DURA-ACE R9200シリーズ Di2
ハンドルバー:Branta Carbon Integrated(一体型カーボンハンドル)
クランクセット:Branta Carbon Power Meter Crankset(52-36T/165mm)
ホイールセット:Branta C50 ULR(カーボンスポーク/セラミックベアリング)
タイヤ:MICHELIN PRO5 28C
最大タイヤクリアランス:32C
サドル:Selle Italia SLR Boost(カーボンレール)
完成車重量:6.82kg(カタログ値・ペダルを除く)
※UDH対応

PXL_20260723_205142256
Branta C50 ULR
チューブレスレディ対応
リム素材:T800カーボン
リムハイト:50mm
リム外幅:29mm
リム内幅:21mm
重量:1,230g(前後セット)

AD9は、本格的なエアロロードでありながら、完成車重量を約6.8kgに抑えています。

フレーム重量については、Mサイズの未塗装フレームで約850gという情報があります。一方、海外でアスタナカラーの市販フレームを実測した記事では、小物類を含むフレームが1,001.8g、フォークが383.9gとされています。

とはいえ、AD9はダウンチューブやフォーク、シートチューブなどに、かなりボリュームのあるエアロ形状を採用しています。それだけしっかりとしたエアロ形状でありながらも、塗装済みの完成車を約6.8kgとなっています。

このエアロ形状フレーム+フォーク重量であれば、完成車で公称6.82kgを実現するのは、フレームだけでなく、前後セットで1,230gというBranta C50 ULRホイールや、カーボン製のパワーメータークランクなども、大きな役割を果たしていると思います。

とはいえ、軽量化を優先するあまり、実用性を大きく犠牲にしているような印象はありませんでした。実際に各部を確認した範囲では、極端に肉薄で、取り扱いに不安を感じるような部分もありませんでした。

今回お借りしたAD9のカラーはアスタナ、重量だけでなく、ワールドツアーバイクらしい存在感のあるデザインも、AD9の大きな魅力だと感じました。

シートポストは、完成車・フレームセットともにオフセット0mmのものが標準で付属します。サドルを後方へ引きたい場合には、別売りで15mmオフセットのシートポストも用意されているため、ポジションに合わせて選択することができます。
PXL_20260723_221243114.PORTRAIT


▶インプレッション
現在、私がメインで使用しているバイクはWINSPACE SLC5で、ホイールにはHYPER LIGHTを組み合わせています。

今回の試乗では、AD9本来の走りを確認しながら、普段のバイクともできるだけ公平に比較できるよう、ボトルやサドルバッグなども含め、日常的な走行環境に近い状態へ揃えました。

今回お借りした車体はMサイズです。サドル位置やハンドル高などは、普段使用しているSLC5との差をおおむね3mm以内に収めました。ハンドル幅は同じですが、ステム長はAD9のほうが若干短い仕様です。

タイヤはMICHELIN PRO5 28Cクリンチャーで、空気圧は前後約5bar。クランク長は普段使用している170mmに対して、AD9は165mmでした。

ポジションやクランク長、ホイール、タイヤまで完全に同一ではないため、以下は今回お借りした完成車仕様で約100km走行した範囲での印象となります。

✓乗り出した瞬間に分かる軽さ
まず、AD9に乗って最初に強く感じたのは、漕ぎ出しの圧倒的な軽さです。

純粋なエアロロードでありながら、瞬間の反応が非常に速く、停止状態からの一踏み目は驚くほど軽快です。完成車重量が約6.8kgに抑えられていることに加え、1,230gのカーボンスポークホイールや、剛性の高い車体構成も、この鋭い初速に大きく影響していると思います。

信号からの再発進や、速度が落ちたところからの立ち上がりでは、エアロロードというよりも軽量ロードに近い軽快さがあります。ダンシングへ移った際も車体を左右へ振りやすく、非常に軽く感じました。

また、短時間に強い力を加えた際の反応も良好です。

車体全体の剛性感はかなり高く、力を掛けてもフレームが曖昧に動く感触はほとんどありません。入力に対する反応は明確で、短い登り返しやコーナー後の再加速、スプリントの立ち上がりなどでは、AD9の軽さと瞬発力を生かしやすいと感じました。

✓ダイレクトで機敏なハンドリング
ハンドリングも軽快で、わずかな操作に対してフロントが素早く反応します。

大柄なエアロ形状を持つ車体ですが、動きが鈍く感じることはなく、切り返しや進路変更も軽いものです。どっしりとした安定性を前面に出した車体というより、ライダーの操作へ機敏に反応する、まさにレーシングバイクらしい味付けだと思います。

その一方で、今回の完成車仕様では、片手でボトルを取った際や横風を受けた場面、高速の下りなどで、フロントの動きをやや繊細に感じることがありました。

使用されていたホイールは50mmハイトで非常に軽量です。また、普段使用している車体よりステムが若干短かったことなども影響している可能性があります。そのため、これをフレームだけの性格とは断定できませんが、普段、落ち着いたハンドリングの車体に乗っている方は、最初に少し慣れが必要かもしれません。
PXL_20260723_214913862

✓高い剛性
速度を上げていった際も、車体の反応はダイレクトです。

ただし、AD9は一度速度へ乗せると自然に巡航速度が伸びていくタイプというより、高い剛性と軽さを生かし、ライダーが積極的に入力して走るほうが合うように感じました。

私自身は、エアロロードらしくギアを一枚、二枚と掛けながら加速した際に、もう少し速度が伸び続ける感覚を想像していました。しかし実際には、最初の反応こそ非常に鋭いものの、高速域では車体の剛性に対して、こちらが少し踏み負けてしまうように感じる場面もありました。

これは絶対的に速度が出ないという意味ではありません。平坦でも十分に速く走れますし、下りで速度が伸びないわけでもありません。ただ、M6のように、速度が上がるほどさらに前へ引っ張られるような巡航感とは、少し異なる感覚です。

AD9は、脚を止めずに一定速度を淡々と維持することを得意とするというよりも、短い加速や速度変化の多い展開で、軽さと瞬発力を発揮するバイクだと思います。

✓しっかりとした硬質な乗り味
乗り味はかなり硬質です。

車体自体はかなりの剛性を持っていると感じた一方、荒れた路面でも車体全体が大きく跳ねたり、路面の追従性が悪いとは感じませんでいた。一方で、路面から伝わる細かな振動や衝撃は分かりやすく、車体の高い剛性感がそのまま身体へ伝わってくる印象があります。

今回装着されていたタイヤは、MICHELIN PRO5の28Cクリンチャーです。タイヤの仕様や空気圧によっても乗り心地は変わるため、30Cや32Cのチューブレスタイヤを使用し、空気圧を最適化することで、AD9の乗り味はさらに調整できると思います。

約100km走ったなかでは、走り始めよりも後半のほうが車体の進め方への理解が進み、徐々に踏めるようになりました。ただし、強度が特別高くなかった割には、身体や脚にはしっかりと疲労が残りました。

AD9の高い剛性を生かすには、ライダー側も車体へ合わせた乗り方や、タイヤ・空気圧を含めたセッティングが重要になると思います。

✓AD9の印象
AD9は、乗り出しの軽さ、短い加速への反応、ダンシング時の軽快さが非常に印象的なバイクです。

エアロロードでありながら約6.8kgという軽さを実現し、踏み込んだ際には車体が力を受け止め、素早く反応します。特に、コーナーや減速後の立ち上がり、登り返し、スプリントなど、速度変化の多いレースでは、この瞬発力が大きな武器になるでしょう。

一方、高速巡航で自然に速度を維持してくれるタイプではなく、ライダーが積極的に入力し続けることで、本来の性能を引き出せる性格に感じました。

一言で表すならば、AD9は、軽量ロードのような初速の軽さと、エアロロードらしい高剛性を組み合わせた、瞬発力型のレーシングバイクです。

万人に対して穏やかで乗りやすいバイクというよりも、硬質でダイレクトな反応を好み、自ら積極的にバイクを走らせたいライダーに合う一台だと思います。

▶整備面
ここからは、メカニックとして気になった部分を少し見ていきます。

✓リアディレイラーハンガーはUDH対応
AD9のリアディレイラーハンガーには、SRAMのUDH規格が採用されています。
PXL_20260723_221348164.PORTRAIT
最近では、UDHに対応したフレームが本当に増えてきました。

従来のディレイラーハンガーはフレームごとに形状が異なります。そのため、転倒などでハンガーが曲がった際、純正部品が欠品していたり、将来的にメーカーからの供給が終了したりすると、交換部品の確保に苦労することがあります。

一方、UDHは共通規格のため、メーカー純正品だけでなく、規格に対応したサードパーティ製品も選択できます。フレーム専用品と比べて交換部品を入手しやすく、長期間車体を使用するうえでも安心材料になります。

また、強い衝撃を受けた際にはハンガーが後方へ回転し、リアディレイラーやフレームへ伝わる衝撃を逃がす構造も備えています。

個人的には、世界中のロードバイクがUDHへ統一されてほしいと思うほど、ユーザーと整備店の双方にとってメリットの大きい規格です。


✓ハンドルの互換性
AD9のフレームセット価格は税込39万6,000円と、現在の他社製ハイエンドフレームと比較すると、比較的抑えられています。
PXL_20260727_075137433
ただし、フレームセットに一体型ハンドルは付属しません。
そこでメカニックとして気になるのが、専用のBrantaハンドル以外を使用できるのかという点です。

実際にXDS Astana Teamの車体では、BrantaだけでなくVISION METRONシリーズのハンドルも使用されています。そのため、少なくとも純正ハンドルだけに限定された完全な専用設計ではないことが分かります。

代理店からは、基本的にACR系の内装構造になっていると聞いていましたが、今回は実際にヘッド周辺の構造を確認し、ACR対応のHYPERハンドルバーを仮組みしてみました。

結論としては、取り付けることは可能でした。
PXL_20260727_075520831
完全なポン付けというわけではなく、ごにょごにょとした調整は必要です。しかし、適切に部品を選びながら組み付ければ、純正ハンドルと大きく変わらない外観で使用できます。

メーカーが公式にすべてのACR対応ハンドルとの互換性を保証しているわけではないため、個別のハンドルについては実物確認が必要です。それでも、専用ハンドルしか選べない構造ではなく、ある程度の選択肢を持たせられる点は、フレームセットから組み上げる場合のメリットだと思います。


▶まとめ
今回はX-LAB AD9をお借りし、実際に約100km走行しました。

ワールドツアーで使用されているバイクということで、見た目どおりの高速巡航型エアロロードを想像していました。しかし実際に乗ってみると、最も印象的だったのは、俊敏な反応と、強い入力をしっかりと受け止める剛性感と高い路面の追従性です。

特に、停止状態からの漕ぎ出し、コーナーや減速後の再加速、短い登り返し、ダンシングなどでは、エアロロードというよりも軽量ロードを思わせる軽快さがあります。ボリュームのあるエアロ形状から想像する以上に、瞬発力を生かして積極的に走らせることができるバイクでした。

一方、今回は完成車仕様での試乗です。ホイールやハンドルなどは、XDS Astana Teamが実戦で使用している構成とまったく同じではありません。特にホイールは、重量やリム形状、剛性によってバイク全体の印象を大きく左右する部分です。

しかし逆に今回の仕様では、高速域で自然に速度が伸び続ける感覚については、もう少し欲しいと感じる場面もありました。ただし、ホイールやタイヤ、ハンドル周辺の仕様を変更することで、巡航性能やハンドリングを含め、さらに違った一面を引き出せる可能性はあると思います。

AD9は、軽さ、高い剛性、瞬間的な反応の速さを備え、ライダーが積極的に入力した際に持ち味を発揮する、俊敏なレーシングバイクという印象でした。

そのようなワールドツアークラスのAD9が、フレームセットで税込39万6,000円。SHIMANO DURA-ACE Di2、パワーメーター付きカーボンクランク、軽量カーボンホイールを装備した完成車でも、税込119万9,000円に抑えられています。
実際に世界最高峰のレースで使用されているエアロロードとしては、非常に現実的な価格設定だと思います。

そして何より、個人的には今回お借りしたアスタナカラーはなんといっても格好良いです。複雑な塗装とグラフィックは写真以上に存在感があり、ワールドツアーバイクを所有する満足感もしっかりと感じられる仕上がりでした。

ということで今回はX-LAB AD9を100km試乗インプレ|世界最高峰で戦うエアロロード、その走りは?そんなお話しでした。

X-LAB AD9、ならびにX-LAB製品のご購入を検討されている方は、お気軽にFF-Cycleまでご相談ください。




+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
また整備内容によっては、車体メーカー、モデル名、ホイール、コンポーネントなども合わせてご連絡をお願い致します。
ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。
当店の特徴・詳細ははこちらから