ロードバイクでは、仲間と一緒に走るグループライドも大きな楽しみのひとつです。一人で走るのとは違い、会話を楽しみながら走ったり、ときには先頭を交代しながら走ったりすることもあります。

ただし、複数人で走る集団走行では、自分のちょっとした動きが後続にも影響します。自分一人なら何でもない減速や進路変更でも、すぐ後ろに人がいれば接触につながる可能性があります。

もちろん、公道では交通ルールを守り、車や歩行者など周囲の交通に十分配慮し、安全を最優先することが大前提です。そのうえで今回は、私自身がグループライドをするときに特に大切だと思っている、集団走行の3つのポイントについてまとめてみたいと思います。

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① サインは「行動してから」ではなく「行動する前」に

まず一番大切だと思っているのが、何か行動を起こす前に後続へ知らせることです。

減速する、止まる、曲がる、障害物を避ける。集団走行では、このような動きを突然行わないことがとても重要です。

例えばブレーキであれば、「ブレーキをかけてからサインを出す」のではなく、「これから減速することを知らせてから減速する」という順番です。

後ろを走る人は、先頭ほど前方の状況が見えているわけではありません。先頭にとっては余裕のある減速でも、何も知らされていない後続から見れば突然のブレーキに感じることがあります。さらに人数が増えれば、その動きが後ろへ伝わるまでに時間差も生まれます。

特に減速や停車については、上り坂や強い向かい風の中では、ペダリングを止めただけでも思った以上に大きく減速することがあります。ブレーキ操作をしていなくても後続との車間が急に詰まることがあるため、こうした場面も注意が必要です。

これは障害物を避ける際も同じです。できるだけ早く知らせ、急激なライン変更をしない。後ろから見て動きが予測できることが重要です。

ハンドサインについては、ある程度共通した方法を知っておくことも大切ですが、個人的にはサインの形そのもの以上に「早く知らせること」のほうが重要だと思っています。

ハンドルから手を離せない場面や、サインを出す余裕がないこともあります。そんなときは無理に片手を離すより、「減速します」「止まります」「よけます」など、声で伝えるのも有効です。

ただし、走行中の声は風切り音などで思った以上に後続へ伝わりにくいため、できるだけ大きな声ではっきりと伝えることを心がけるとよいと思います。

要するに、後ろの人が次に何が起きるのかを少しでも早く知ることができればいいのです。

② 左側へ寄りすぎない。安定したラインと「逃げ場」を残す

公道では、自転車は原則として車道を通行し、道路の左側に寄って走ることが基本です。ただし、だからといって道路の左端ギリギリを常に走り続けることが、安全な走り方になるとは限りません。

集団走行では、交通状況や道路状況に十分配慮したうえで、できるだけ一定のラインを保ち、必要以上に左へ寄りすぎないことも大切だと考えています。

道路の端には段差や砂、落下物、グレーチングなどがあることもあります。左端いっぱいまで寄って走っていると、何かを避けなければならなくなったとき、回避できる方向がほぼ右側しかなくなってしまいます。

単独走なら後方を確認して避ければ済むことでも、集団走行では後ろに人がいます。例えば先頭がかなり左へ寄っていて、後続がその少し右側を走っていた場合、先頭が突然右へ障害物を避ければ、後続とのラインが重なってしまう可能性があります。

だからこそ、必要以上に道路端へ張り付くのではなく、交通状況や道路状況に応じて、できるだけ一定で予測しやすいラインを走ることが大切だと思います。

もちろん、「道路の中央寄りを走ればいい」という意味ではありません。公道では周囲の交通状況に十分配慮することが大前提です。その範囲の中で、左側にもある程度の余裕を残し、何かあったときに急激な右方向への回避しか選択肢がない状態を作らない、という考え方です。

これは先頭交代をするときにも関係してきます。

※進行方向 ↑

|←①
| ②
| ③
| ④

例えば、上のように隊列の左側に少し余裕を残して走っていれば、①は周囲の安全を確認したうえで左側へ外れ、②以降は大きくラインを変えずにそのまま前へ進むことができます。

一方、最初から左端ギリギリを走っていた場合はどうでしょうか。

|①
|②
|③
|④

①が左へ外れるスペースがないため、②が先頭へ出るには右方向へ動く必要が出てきます。

|①
|②→↑
|③→↑
|④→↑

すると③、④も同じように右へラインをずらすことになり、隊列全体の横方向への移動が増えてしまいます。

横へ動けば、その分だけ後続とのラインが交差する可能性も増えます。特に人数が増えるほど、一人の横移動が後続へ連鎖しやすくなります。

そのため、単に「できるだけ左へ寄る」のではなく、周囲の交通に十分配慮したうえで、集団全体が安定して走れるラインを意識することが大切だと思います。

③ 先頭交代は「後ろが抜く」より「先頭が外れる」

複数人で走っていると、先頭を交代する場面もあります。

このとき私が基本として考えているのは、2番手が先頭を追い越していくというよりも、先頭を走っている人が隊列から外れることで、2番手が自然に先頭になるという形です。

例えば一列で走っているとします。

※進行方向 ↑

| ①
| ②
| ③
| ④

①が先頭を交代する場合、周囲の安全を確認したうえで、いきなり真横へ動くのではなく、左前方へ少し外れていきます。

|①↖
| ②
| ③
| ④

②は大きく横へ動く必要はなく、そのまま直進すれば自然に新しい先頭になります。①は速度を調整しながら後方へ下がっていきます。

| ②
|①③
|↓④
|

こうすれば、隊列そのものを大きく左右へ動かさずに先頭を交代できます。

ここで気をつけたいのが、新しく先頭に出た②が、①の前へ出た直後にすぐ左へ寄ってしまう動きです。

②がそのまま先頭を走り続けるのであれば、①が下がり切るまでは②がそのままのラインを保ちます。

  ↑
| ②
|①③
|↓④
| ↳

ところが②が①の前へ出た直後にすぐ左へ寄ってしまうと、③から見れば、そのまま前へ出るべきなのか、②の後ろへついていくべきなのか分かりにくい動きになります。

|←②
|①③
|↓④
| ↳

実際、レースなどで先頭交代を繰り返しながらローテーションする場合、新しく先頭へ出た人がすぐに外れる動きは、次の人に「そのまま前へ出てほしい」という意思表示にもなります。

|②
|①③??
|↓④
| ↳

そのため、②がそのまま先頭を走り続けるのであれば、①が後方へ下がり切るまでは、それまでの走行ラインを維持したほうが後続にとっても分かりやすくなります。

反対に、②がすぐ左へ動けば、③以降にも進路を判断させることになり、集団内の不要な横移動や速度変化を増やす原因にもなります。

2人だけで走っている場合と、3人、4人、それ以上の人数で走っている場合では状況も違いますし、道路幅や交通量によって安全な方法も変わります。そのため、どんな状況でもこの形が絶対という話ではありません。

重要なのは、先頭交代の形そのものよりも、不用意な横移動をできるだけ減らすことです。

誰か一人が横へ動けば、その動きに合わせて後ろの人もラインを変えなければならなくなることがあります。人数が増えるほど、その影響も後ろへ伝わっていきます。

そのため、先頭交代では「後ろの人が避けながら抜く」のではなく、「先頭が安全に隊列から外れる」という考え方のほうが、集団全体のラインを安定させやすいと考えています。

集団走行で大切なこと

今回挙げた3つは、「サインを早く出す」「左へ寄りすぎない」「先頭交代で急な横移動をしない」と、それぞれ違う話に見えます。しかし、根本にある考え方は同じです。

それは、一緒に走っている人も安全に走りやすい動きをすることです。

集団走行が上手な人の後ろを走ると、速い、遅いとはまた別に、とても走りやすく感じることがあります。急にブレーキをかけない。突然ラインを変えない。何かあれば早めに知らせてくれる。こうした一つひとつの動きによって後続にも判断する時間が生まれるため、安心して走ることができます。

逆に、どれだけ速く走れたとしても、急な動きが多かったり、予想外の動きをしたりする場合は、後ろを走る側は常に警戒しなければなりません。

集団走行では、特に注意したいのが横方向への動きだと考えています。これは巡航時だけではなく、コーナリング時や加減速時も同じです。もちろん障害物を避けるなど横移動が必要になる場面はありますが、その回数や移動量をできるだけ小さくし、周囲の人が予測できる形で行うことが大切です。

そのためには、「どうすれば自分だけでなく、後ろの人も余計な横移動をせずに済むのか」という視点を持って走ることも重要だと思います。

ただし、周囲への配慮を意識するあまり、自分自身の安全がおろそかになっては本末転倒です。必要以上に左へ寄って落車のリスクを高めたり、後方確認ばかりしてふらついたり、前方確認がおろそかになったりしては意味がありません。

そして何より、走り方以前に大切なのが安全な速度で走ることです。

グループライドはレースではありません。公道では交通ルールを守ることを第一に、無理な速度や無理な先頭交代をせず、車や歩行者など周囲への配慮を忘れないこと。

そのうえで、「後ろから自分がどう見えているのか」「自分の動きによって後ろの人がどう動くことになるのか」を少し意識してみる。

自分が安全に走るだけではなく、一緒に走っている人も安全に走れるようにする。

そんな視点を持って、できるだけリスクの少ない走り方を考えることが、グループライドを安全に楽しむうえでは大切なのではないかと思います。


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