少々ざわつき始めた、新型DURA-ACEの噂。なんでも13速になるとか、トップギアが10Tになるとか……。
もちろん現時点ではまだ確定した情報ではありませんが、もし本当にトップギアが10Tになるのであれば、気になってくるのがフリーボディの互換性です。というのも、現在SHIMANOロードで使われている従来型のHGフリーボディでは、10Tトップを採用することができないからです。フリーボディ外径との関係上、11Tより小さなトップギアを収めることができません。
ではトップ10TのためにMicro Splineになるのか。それとも新しい規格が登場するのか。そんなことを考えつつ、今回はフリーボディの規格についてのお話です。
まず意外と誤解されがちな部分なのですが、SHIMANOの現行ロード用カセットにMicro Spline対応モデルは存在しません。
「SHIMANOの12速=Micro Spline」と思われている方もいるようですが、ロードの場合は違います。特にややこしいのが、ロード12速には「HG Spline L2」という、従来のHGとは形状の異なるフリーボディが存在すること。Micro SplineもHG Spline L2も細かいスプラインが並んだ形状をしているため、混同しやすいのかもしれません。
今回は、少々間違えやすいSHIMANOの12速ロードで使われているフリーボディ規格と、その互換性について簡単に整理してみたいと思います。
▶ロード12速はMicro Splineではない
まず、一番大切なところです。冒頭にも記載した通り、現在のDURA-ACE、ULTEGRA、105といったSHIMANOの12速ロード用カセットは、Micro Splineには対応していません。
例えば、「12速用のホイールだからMicro Splineで大丈夫」「Micro Splineのフリーボディが付いているから、12速のDURA-ACEスプロケットも付くだろう」ということにはなりません。現行のロード12速カセットをMicro Splineフリーボディへ取り付けることはできません。
同じSHIMANOの12速でも、使用する規格が違います。Micro Splineは主にMTBの12速で使われている規格で、大きな特徴のひとつが10Tのトップギアを使用できることです。またGRXの1×12速でも、10Tトップのカセットを使用する仕様ではMicro Splineが使われます。
一方、現行のSHIMANOロード12速は11Tトップです。ここを分けて考えると分かりやすくなります。
▶ロード12速で出てくるのは「HG Spline L2」
では、ロード12速で登場したフリーボディは何なのか。それがHG Spline L2です。
1世代前のDURA-ACE WH-R9200系などで採用された、ロード12速用のフリーボディです。このHG Spline L2も従来のHGとは異なり、細かなスプラインが並んでいます。そのため見慣れていないと、「これがMicro Spline?」と思ってしまうかもしれません。
しかし、WH-R9200系に採用されているHG Spline L2フリーボディは、Micro Splineとはまったく別の規格です。もちろん互換性もありません。
Micro Splineのフリーボディにロード12速カセットを取り付けたり、HG Spline L2にMicro Spline用カセットを取り付けたりすることはできません。
▶さらにややこしいのが、ロード12速は従来HGにも付くこと
そしてSHIMANOロード12速をさらに分かりにくくしているのがここです。ロード12速用としてHG Spline L2が登場したにもかかわらず、普段よく見かける現行のロード12速カセットは、従来のロード用SHIMANO 11速フリーと呼ばれる「HG Spline L規格」にも取り付けることができます。
つまり、「ロード12速=HG Spline L2専用」ではありません。
従来の11速ロード用HGフリーボディを採用したホイールでも、対応する12速ロードカセットをそのまま使用できます。反対に、WH-R9200系に採用されているHG Spline L2はロード12速専用のため、従来の11速ロードカセットを使用することはできません。
簡単に整理すると、
・Micro Spline:MTB12速、GRX 1×12の10Tトップ仕様など
・HG Spline L2(WH-R9200系):ロード12速専用
・HG Spline L(現在主流のフリーボディ):ロード11速だけでなく、現行ロード12速にも対応
となります。
左:HG Spline L 右:マイクロスプライン
「12速」という数字だけでフリーボディを判断してはいけない、ということです。
▶なぜMicro SplineとHG Spline L2を分けたのか
Micro Splineの大きな目的のひとつは、従来のHGでは難しかった10Tトップギアを使用できるようにすることです。一方、現在のSHIMANOロード12速は11Tトップ。そのため、従来のロード用HGフリーボディとの互換性を残すことができました。
これはユーザーにとってかなり大きなメリットです。11速時代のホイールを持っていても、フリーボディまで交換することなく12速へ移行できるケースが多いからです。
HG Spline L2はロード12速に特化した規格ですが、ロード12速そのものをHG Spline L2専用にはしなかった。このあたりは、従来製品との互換性を残したSHIMANOらしい設計ともいえるかもしれません。
▶では、噂されている13速ではどうなる?
ここからは正式発表前の話なので、あくまでも推測ということを念頭に置いての話です。
現在、SHIMANOの次世代コンポーネントについては13速化を示唆する情報が出てきています。E-TUBE PROJECTのアプリ上に13枚目のギア表示が確認されたほか、「Shimano 13-speed」と記載された未発表のフリーボディに関する情報も出ています。
ただし、現時点でSHIMANOから13速ロードコンポーネントが正式発表されたわけではありません。
ここで気になるのが、もし13速ロードで10Tトップが採用された場合です。現在のHG Spline LやHG Spline L2は11Tトップのロードカセットで使われています。もし10Tまで小さくするのであれば、現在のロード用フリーボディとは違う構造が必要になる可能性が高いです。
そこで考えられるのがMicro Splineです。Micro Splineはもともと10Tトップに対応する規格なので、将来的にロードでもMicro Spline、あるいはそれをベースとした規格が使われる可能性は考えられます。
一方で、「Shimano 13-speed」とされる別のフリーボディに関する情報も出ているため、13速ロード用としてまったく新しい規格が登場する可能性もあります。このあたりは正式発表を待たなければ分かりません。
ただ、もし13速化と同時にロードでも10Tトップが採用されるのであれば、フリーボディ規格にも大きな変更が入る可能性はありそうです。
▶まとめ
少々ややこしいところだとは思いますが、SHIMANOの12速だからMicro Spline、ということではありません。
少なくとも現行のSHIMANOロード12速カセットにMicro Spline仕様はなく、Micro Splineフリーボディへ取り付けることもできません。
現在のロード12速で使用するのは、WH-R9200系などで採用されるHG Spline L2、または従来から使われているHG Spline L。この2つです。
Micro SplineとHG Spline L2は、どちらも細かなスプラインを持つため見た目では混同しやすいのですが、まったく別の規格です。ホイールやフリーボディを購入するときは、「SHIMANO 12速対応」というだけで判断せず、どのフリーボディ規格なのかを確認することが大切です。
そして今後、本当に13速ロードが登場し、さらに10Tトップまで採用されるのであれば、この規格にあらたなものが追加されるかもしれません。
現在は、「ロード12速とMicro Splineは別物」。まずはここを覚えておけば、現行製品の組み合わせで迷うことはかなり減ると思います。
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