ロードバイクで、わざわざ雨の中を走るという方はそこまで多くないと思います。
路面が滑りやすく危ない、せっかくきれいにした車体を雨の中で使いたくない、その後のメンテナンスが大変、理由はいろいろあると思いますし、室内トレーニングの環境がこれだけ整っている今、無理に雨の中を走る必要もありません。
とはいえ、レースやライドイベントの日がたまたま雨だったり、出先で思わぬ雨に降られてしまったり。ロードバイクに乗っていれば、雨の中を走らなければならない場面がまったくないわけではありません。
では実際、雨の中を走るとロードバイクにはどのような影響があるのでしょうか。
今回はその中でも、BB周辺について見ていきたいと思います。
私は基本的に、寒くなければある程度の雨であれば普通に走ります。この3か月弱だけでも、雨の中を走ったのはおそらく10回前後。雨そのものは降っていなくても、濡れた路面を走った回数まで含めれば、もう数え切れません。
しかも、少し濡れた程度ではなく、数時間にわたってしっかり雨の中を走った日もあります。
では、そんな使い方を3か月弱続けたロードバイクのBB周辺は、実際どうなっているのか。
今回は実際にクランク、BB周辺を分解しながら、画像とともに状態を確認していきたいと思います。

▶BB周りをバラしていく
①クランク
使用しているクランクはSHIMANO DURA-ACEのパワーメーター付きクランク、FC-R9200-Pです。
フレームのBB規格はねじ切りのBSA。BBにはTOKEN製のBSA用BB(ベアリングは安い方)を使用しています。
耐久性だけを重視するのであれば、個人的にはSHIMANOのBBはかなり強い印象があります。SHIMANOのBBは回転こそ非常に軽いというタイプではありませんが、シール性能は高く耐久性に関してはトップクラスではないかと思っています。
今回は回転性能を重視し、試験的にBSAでもTOKENを使用しているものどのぐらいもつのか、実際に使ってみないとわからないからです。

よく見るとわずかにサビのような色が付いている部分もありますが、この程度であれば拭き取れば落ちる程度。クランク軸そのものにサビが発生したり、サビが移ったような跡もありません。
そして、こうして分解してみると改めて感じるのが、SHIMANOのクランクの堅牢性です。
クランク軸端のフィキシングボルト周辺には多少ゴミの入り込みが確認できます。しかし、そのさらに内側、パワーメーターのコネクター部分にはほとんどゴミの侵入が見られません。
雨やウエット路面でも幾度となく使用し、洗車でもかなり水を使っています。それでも購入当初から現在まで、パワーメーターの通信不良や通信切断といったトラブルは一度もありません。
こういったところを見ると、実際の使用環境まで考えた防水・防塵性の高さを感じます。
このあたりは、やはり安定のSHIMANOクオリティといったところだと思います。
今回はクランク軸にもサビや腐食は見られませんでした。
SHIMANOのクランク軸自体は比較的サビに強く、通常の雨天走行だけで簡単に腐食してしまうようなものではありません。
ただし注意したいのが、BB側のベアリングがサビてしまった場合です。
BB内部に水分が残った状態でベアリングのサビが進行すると、ベアリングと接触しているクランク軸側にもサビや腐食が広がってしまうことがあります。
クランクそのものがサビに強くても、BB側の状態が悪ければクランクまで無傷とは限りません。
そういう意味でも、BBのベアリングのサビ等には注意をしておきたいところです。
②BB
こちらも正直なところ使用期間約13,000kmを超えてきておりますので、ぼちぼちかとも思っていたのですが、結論から言えば、ベアリングに問題はありませんでした。
現在でもゴリゴリ感や引っ掛かりはなく、極めて滑らかな回転を保っています。


これだけ雨の中等水に影響が大きいライドを繰り返し行っていることを考えれば、なかなか優秀です。
そしてあくまでも私自身の整備経験から感じていることですが、BBの耐久性はBB単体だけではなく、フレーム側のBB規格やベアリングが配置される位置によってもかなり変わるように感じています。
例えばBSAのようにベアリングがBBシェルの外側に配置される構造は、比較的長持ちする印象があります。
逆にBB86やT47インターナルのように、ベアリングがフレーム側へ入り込む構造では、フレーム外部を伝ってきた水の影響を受けやすい可能性が考えられます。
そのため私の経験上では、
・BB86のベアリングがフレーム内部に入る構造よりも、ベアリングが外部に位置するねじ切り式のBB
・T47なら、インターナルよりもエクスターナル
こういった構造のほうが、比較的長持ちする印象があります。
まそそれだけではなくフレーム内部への水の入り方、排水構造、BBそのもののシール性能、組み付け状態などによっても結果は変わります。
実際に今回のBBを見ても、外側にはそれなりに汚れが付着しています。
それでもシールの内側やベアリング部分まで汚れが入り込んでいる様子はなく、外側でしっかりと食い止めてくれていることが分かります。
雨天走行を10回前後、そのほかウエット路面も数え切れないほど走ってこの状態であれば、今回の車体とBBの組み合わせについては、かなり良好と言ってよさそうです。
▶結果
今回は3ヶ月、雨の中でも普通に走って使った、BB周辺を分解して確認してみた結果、状態は想像以上に良好でした。
目立った錆はなく、クランクスピンドルにもサビや腐食は見られません。BB周辺にも深刻な水分残りはなく、ベアリングの回転も滑らかなまま。ゴリゴリ感や引っ掛かりもありませんでした。
今回確認したように、基本的に極端にシールド性能が低いBBでもない限り、一度や二度雨の中を走ったからといって、すぐにダメになるわけではありません。
※製品によっては、雨天走行や洗車後に注油などのメンテナンスを推奨しているBBもあります。必ずメーカーの使用方法をご確認ください。
※製品によっては、雨天走行や洗車後に注油などのメンテナンスを推奨しているBBもあります。必ずメーカーの使用方法をご確認ください。
ですので、すべてのロードバイクが同じ結果になるわけではありません。
そして注意点としては「まだ壊れていなかった=まだメンテナンスしなくてもよかった」ではないということです。
実際、今回分解してみてですが、接触面やシール周辺にはある程度の汚れも付着しており、グリスも当然ながら新品時の状態ではなく劣化は見られていました。
このままさらに長期間使い続ければ、水分や汚れの影響が少しずつ蓄積し、グリスが流れたり内部への水分や汚れの混入、そしてそれからベアリングの回転不良や錆、異音などにつながる可能性があります。
またBB自体の耐久性は、フレーム構造やBB規格、使用するBBによっても変わります。そして個人的には、組み方による差もかなり大きいと考えています。
どこに、どの種類のグリスを、どの程度使うのか。水が入りやすい場所や溜まりやすい場所を考えながら組むことも大切です。
こういった部分は、実際にいろいろな車体を組み、走らせ、その後に分解して状態を確認してきた経験が生きるところだと思います。
私自身がメカニックでありながらロードバイクに乗り続けている理由の一つもそこにあります。
・雨の中を何度も何時間も走ったらどうなるのか
・洗車時にどこにどのぐらい水をかけるのを繰り返したらどうなるのか
実際に経験し、自分の目で確認することはとても大切だと思っています。
・雨の中を何度も何時間も走ったらどうなるのか
・洗車時にどこにどのぐらい水をかけるのを繰り返したらどうなるのか
実際に経験し、自分の目で確認することはとても大切だと思っています。
プロが整備する自転車は、単にその場で正常に動けばよいのではなく、できるだけ長く良い状態を維持できるように組み上げることも大切です。
▶まとめ
では実際にBBの適切なメンテナンス周期は?というと、正直なところ半年、1年、○kmと一律に決められるものではありません。
雨天走行の頻度や走行距離、洗車頻度、フレーム構造、BB規格などによって大きく変わります。
だからこそ大切なのは、最初から限界まで使おうとせず、少し早めに状態を確認することです。
一度開けてみて、水分の侵入もなく、グリスもしっかり残り、ベアリングにも問題がなければ、次回は少し期間を延ばせるかもしれません。
逆に、水が入っていたり、グリスが流れていたり、サビが出始めている、ベアリングの状態が悪くなってしまっているのであれば、次からはもう少し早めに確認したり、メンテナンスの方法を見直してみるのも良いと思います。
またBBは消耗品なので、いつかは交換が必要になります。ゴリゴリになったベアリングを清掃やグリスアップだけで新品に戻すことはできません。
ですが、適切にメンテナンスすることで、ダメになるまでの時間を延ばすことはできます。
つまり定期メンテナンスとは、部品を壊れなくするためのものではなく、良い状態で使える時間をできるだけ長くするために行うことです。
もし予想していたよりもパーツの寿命が短かったのであれば、単純に「この部品は耐久性が低かった」で終わらせるのではなく、組み付け方法、使用環境、洗車やメンテナンス方法などを改めて確認してみると、別の原因が見つかることもあります。
実際、日々さまざまな車体を見ていると、雨天走行そのものよりも、洗車やメンテナンス方法が適切でなかったことで、部品の寿命を縮めていると思われるケースを見ることもあります。
実際、日々さまざまな車体を見ていると、雨天走行そのものよりも、洗車やメンテナンス方法が適切でなかったことで、部品の寿命を縮めていると思われるケースを見ることもあります。
単に壊れた部品を交換するだけではなく、なぜそうなったのかを考え、その車体や使い方に合ったメンテナンス方法や周期まで提案する。
それもプロショップとして大切な仕事だと考えています。
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
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また整備内容によっては、車体メーカー、モデル名、ホイール、コンポーネントなども合わせてご連絡をお願い致します。
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